ネパール2018年経済センサスの確報結果(第六報)が公表されました

2020年6月1日

ネパールでは史上初めてとなる、すべての事業所(注1)を調査対象(注2)とする2018年経済センサス(事業所の国勢調査)が、2018年4月14日を調査期日として実施されました。その後、14か月に及ぶ集計期間等を経て、2019年7月1日、確報結果の第一報が公表されました。続いて、同年9月1日に第二報、また、2020年1月2日に第三報、同年5月5日に第四報及び同月18日に第五報が公表され、このたび、第六報が公表されました。その概要は、以下のとおりです。

1.カトマンズの年間売上高は、ネパール全体の3割近くを占めている。

2017/18年(ビクラム暦では2074年)におけるネパール全国の事業所の年間売上高は、2兆9156億ルピー(1ルピー≒¥1)でした。これを県(District)別にみると、カトマンズが8318億ルピーで最も多く、全体の28.5%と3割近くを占めています。次いで、ラリトプールが2884億ルピー(同9.9%)、モランが1550億ルピー(同5.3%)、ルパンデヒが1321億ルピー(同4.5%)などと続きました。
一方、マナンが5.36億ルピーと最も少なく、全体の僅か0.018%となっています。次いで、ルクム・イーストが6.70億ルピー(同0.023%)、ドルパが13.63億ルピー(同0.047%)、ラスワが16.23億ルピー(同0.056%)、ジャジャルコットが17.61億ルピー(同0.060%)などとなっています。
また、カトマンズ盆地内の3県、すなわち、カトマンズ、バクタプール及びラリトプールの3県の合計をみると、1兆2130億ルピーで、全体の41.6%と4割超を占めるに至っています。さらに、ジャパ、モラン及びスンサリの南東部3県の合計をみると、3521億ルピーで、全体の12.1%とラリトプールを上回る数字となっており、これら南東部3県の一帯が、一大経済圏であることが改めてわかる内容でした。
なお、上記の規模を日本と比較すると(2016年経済センサス活動調査の全国結果による)、全国は1624兆7143億ルピーとなっており、都道府県別にみると、東京都が738兆6348億ルピーと最も多く、全体の45.5%となっています。次いで、大阪府が148兆7015億ルピー(同9.2%)、愛知県が112兆3556億ルピー(同6.9%)、神奈川県が64兆7911億ルピー(同4.0%)などとなっています。

次に、1事業所当たりの年間売上高(注3)でみると、ラリトプールが1104万ルピーで最も多く、続いて、ムスタンが737万ルピー(これは、分母となる事業所数が726事業所と少ないことが影響している。)、カトマンズが682万ルピー、バクタプールが485万ルピー、バラが465万ルピー、モランが448万ルピーなどと続いています。
一方、ジャジャルコットが55万ルピーと最も少なくなっており、次いで、バジューラが58万ルピー、ルクム・イーストが69万ルピー、バイタディが70万ルピーなどとなっていました。

次に、1従業者当たりの年間売上高(注3)でみると、ラリトプールが218万ルピーで最も多く、続いて、ムスタンが182万ルピー(これは、分母となる従業者数が2,935人と少ないことが影響している。)、バラが136万ルピー、モランが134万ルピー、カトマンズが128万ルピーなどとなります。
一方、ジャジャルコットが22万ルピーと最も少なくなっている。次いで、バジューラが24万ルピー、バイタディが26万ルピー、ルクム・イーストが28万ルピーなどとなっています。

2.カトマンズの年間利益が、ネパール全体の4分の1以上を占めている。

2017/18年におけるネパール全国の事業所の年間利益は、8532億ルピーでした。これを県(District)別にみると、カトマンズが2221億ルピーで最も多く、全体の26.0%と4分の1超となっています。次いで、ラリトプールが705億ルピー(同8.3%)、ルパンデヒが387億ルピー(同4.5%)、モランが326億ルピー(同3.83%)、ジャパが325億ルピー(同3.81%)、カスキが308億ルピー(同3.60%)などと続きました。
一方、マナンが1.22億ルピーと最も少なく、全体の僅か0.014%となっています。次いで、ルクム・イーストが2.45億ルピー(同0.029%)、ラスワが3.17億ルピー(同0.037%)、ドルパが4.27億ルピー(同0.050%)などとなっています。
また、カトマンズ盆地内の3県、すなわち、カトマンズ、バクタプール及びラリトプールの3県の合計をみると、3195億ルピーで、全体の37.4%と4割近くを占めるに至っています。さらに、ジャパ、モラン及びスンサリの南東部3県の合計をみると、925億ルピーで、全体の10.8%とラリトプールを上回る数字となっており、これらの数字も南東部3県の一帯が、一大経済圏であることを示しています。

次に、1事業所当たりの年間利益(注3)でみると、ラリトプールが270万ルピーで最も多く、次いで、ムスタンが205万ルピー(これは、分母となる事業所数が726事業所と少ないことが影響している。)、カトマンズが182万ルピー、バクタプールが140万ルピー、バンケが113万ルピーなどと続いています。
一方、ボジプールが18万ルピーと最も少なくなっており、次いで、トゥルハタムが20万ルピー、ジャジャルコットが23.3万ルピー、ダンクータが24.3万ルピー、ラスワが24.4万ルピーなどとなっています。

その次に、1従業者当たりの年間利益(注3)でみると、ラリトプールが53万ルピーで最も多く、次いで、ムスタンが51万ルピー(これは、分母となる従業者数が2,935人と少ないことが影響している。)、カトマンズが34.1万ルピー、ナワルパラシ・イーストが33.9万ルピー、バンケが33.6万ルピー、バクタプールが33.2万ルピーなどと続いています。
一方、ボジプールが7.4万ルピーと最も少なくなっており、次いで、マナンが7.9万ルピー、トゥルハタムが8.0万ルピー、ラスワが8.9万ルピーなどとなっています。

(注1)ここでいう事業所とは、固定の場所で経済活動を営み、固定的な設備を所有しているところであり、国際標準産業分類第4版(ISIC)におけるEstablishmentの定義に準じている。ネパールでは、このISICに基づいたネパール標準産業分類(NSIC)が使用されている。
一方、広義の事業所には、Fixed(固定の事業所)及びMovable(移動可能であるが、固定の場所で営業している事業所)のほか、Mobile(移動しながら営業している事業所)も含めて3種類とする場合があるが、この結果には、Fixed及びMovableのみが含まれており、固定的でないMobileは含まれていない。

(注2)ネパール2018年経済センサスでは、次の産業に属する事業所は、国際的な実例に基づき調査対象としていないため、結果には含まれていない。農林漁業(NSIC Section A)に属する事業所のうち公的な機関に登録されていない事業所、官公庁等(NSIC Section O)、個人のホームヘルパーなどの世帯活動(NSIC Section T)及び大使館や国際機関等の外国公務の施設(NSIC Section U)。

(注3)1事業所当たりの売上高及び利益の分母となる事業所数は、単独事業所及び本社(本所及び本店を含む)のみの事業所数であり、支社(支所及び支店を含む)は含まれていない。また、1従業者当たりの売上高及び利益の分母となる従業者数も同様である。

2018年経済センサスの結果は、中央や地方政府における各種政策や計画の立案に利用されるほか、大学や研究所における学術研究、民間部門における経営戦略や市場調査等に利用されます。この結果の英語版は、次のネパール中央統計局(CBS)等のページから参照可能です。