プロジェクトレポート-第2回-(航空安全機材補給管理システムの拡張・運用)

2018年9月14日

航空灯火電気施設に係る維持管理についてネパールの現在の状況と今後の能力向上に対する指導を行うとともに、本邦における維持管理手法や教育体制について、その実施内容を説明することを目的として、航空灯火分野の専門家(国土交通省航空局 北田短期専門家)を2018年9月3日から同年9月8日にかけて派遣しました。今回のプロジェクトレポートでは、その時の短期専門家の活動結果についてお伝えします。

1.ワークショップの開催について

(1)50名ものカウンターパート職員が参加

北田短期専門家は来ネ中、飛行場における航空灯火の運用と維持管理等に係るワークショップを開催しました。
背景として、ネパールでは航空保安施設に障害が発生した際の部品の交換及び予備品の補給等に多くの時間が必要となり、その間施設が使用できない(航空機に情報が提供できない。)状況が頻発している事が上げられ、これを極力避ける必要から、補給管理システムの対象を電気、機械施設関係及び保安施設に拡大しなければならない状況があります。
航空灯火とは、飛行場及び空港周辺に多く配置されている照明器材のことです。特に今回の講義ではパイロットが着陸の際に使用するアプローチライト及び進入角指示灯(PAPI:Precision approach path indicator)についての内容で実施されました。
東京国際空港における同施設の運用維持管理状況との比較から、今後ネパールで実施すべき保守業務及び予備品管理手法についての説明があり、最後に行われた質疑応答のセッションでは航空灯火の飛行検査の実施時期や、羽田空港における航空灯火の設置上の問題点等々、真剣な質問が行われました。
手狭な空港の会議室でしたが、輪番勤務にも拘わらず50名の職員が参加してくれました。今回のワークショップの話題が、現在進行中の無償資金協力で導入が計画されている計器着陸装置(ILS:Instrument Landing System)との関連から、CNS関連の職員の参加が多数ありました。

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ワークショップ教室の様子。参加者は真剣な眼差しで講義を聴講していました。

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来ネ直後の短期専門家によるトリブバン国際空港の施設調査の様子

(2)ワークショップのまとめ

補給管理システム(SMMS)を通じての障害時の対応を主眼としての内容であった所から、1)航空灯火に係る基準類 2)運用手法 3)保守実施内容 4)保守要員の教育・トレーニングについて、本邦での参考事例を交え、広範な内容の授業を行うことが出来ました。

2.プロジェクトでの課題の提起とその改善の提案について

(1)課題の提起

本邦からの短期専門家が行う講義を始めて聴講するCAAN職員が多いため、当初計画した「予防保守」の重要性を強調しました。これは国際民間航空機関ICAOA(NNEX14)が提唱する安定した航空保安業務の提供に裏打ちされる考え方で、障害の発生を極力避ける保守手法です。航空灯火は海外製(フランス)が主であり、障害が発生した後での部品交換等の措置を行う保守方法に対する、予防保守の実践が課題として提起されました。

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アプローチライト(赤丸部分)の点検です。所々照明が消灯しいますが(球切れ?)大丈夫ですか?

(2)改善の提案

計画的な定期保守の重要性を説明し、これを効率よく実施するための我が国の取り組みを解決策とし提案しました。具体的には、計画的な維持管理を実践するため「点検マニュアル」「機材の更新計画」の整備が可能となるような「能力開発」の実施についての提案です。

3.短期専門家派遣のまとめ

今回の短期専門家の派遣を通して感じられたのは、全般的に職員に対する教育・研修及び情報提供に難があり、今後改善が求められる所です。
ネパールにおける我が国の協力も、“航空の安全”を確保するための人材育成に重点を置いた取り組みが求められています。

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ワークショップ終了後、TIA技術部長より記念品の贈呈がありました。