プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)地方都市における水道事業強化プロジェクト・フェーズ2
(英)Capacity Development Project for the Improvement of Water Supply Management in Semi-Urban Areas(WASMIP-2)

対象国名

ネパール

署名日(実施合意)

2015年12月22日

協力期間

2016年6月10日から2022年3月18日

相手国機関名

(和)給水省上下水道局
(英)Department of Water Supply & Sewerage Management, Ministry of Water Supply and Sanitation

背景

ネパールにはこれまでに、ネパール政府及び様々な開発パートナーの協力を通じて、全国の地方都市及び村落部に40,000以上の給水施設が建設されている。村落部のほとんどの給水施設は小規模且つ単純な構造となっており、公共水栓による給水も多く、維持管理のシステムも比較的単純である。一方、地方都市における水道施設の多くは規模が大きく、各戸給水が一般的であり、電気設備を備えている場合が多いために維持管理のシステムも複雑である。

これら全ての給水施設の維持管理責任は、建設実施機関に関わらず、WUSC(Water Users Sanitation Committee)という地域の水利用衛生委員会に移管することとなっている。WUSCは、利用者に対して十分な量の給水を行うこと、水質の管理を行うこと、水道料金の徴収を行うこと、水道施設を良い状態に保つために人的・財政的な資源の管理を行うことが義務付けられている。

一方で、政府は2010年までは主に施設建設に注力しており、WUSCによる維持管理の能力強化に係る活動に取り組めていなかった。そのため、JICAはDWSSM(Department of Water Supply and Sewerage Management)という給水省上下水道部門からの要請に基づき、2010年1月~2013年9月に技術協力プロジェクト「地方都市における水道事業強化プロジェクト」を実施し、WUSCの維持管理強化に取り組んできた。同プロジェクトでは、ネパール東部に位置するジャパ郡のWSSDO及びドゥラバリ地区、ゴウラダ地区を所管するWUSC、並びに、モラン郡のWSSDO及びマンガドゥ地区を所管するWUSCをパイロットとして選び、パイロット地区の経験を基に「小中規模給水施設の維持管理モデル」及び「WSSDOによる支援モデル」(双方のモデルを合わせてWASMIPモデルと称する)を策定した。

DWSSMは持続可能かつ機能的な給水システムの維持管理における上記モデルの重要性を認識しており、同モデルを2012年に策定された水供給運用指針(Water Supply Operation Directives)の実施のための主要なツールとしている。しかし、パイロットとして選定されたWUSC以外は同モデルを十分に実施できていなかった。

上記を踏まえ、WUSCの事業運営及び維持管理の強化に係る取り組みを組織的に広げていくことを目的とし、技術協力プロジェクト「地方都市における水道事業強化プロジェクト・フェーズ2」(以下「本プロジェクト」という。)が現在実施されており、WUSCの事業運営を改善するためのモデル構築、及び研修関連機関の研修能力強化等に向けて活動がなされている。

(注)記載時点の当該セクター関係機関及び役割を下記のとおり補足する。
地方都市及び村落部では、主に政府機関である上下水道局(DWSSM:Department of Water Supply and Sewerage Management)が水道事業を所管している。DWSSMは給水省(MoWS:Ministry of Water Supply)の下に設置され、カトマンズの本部に加え、全国各地にFWSSMP(Federal Water Supply and Sewerage Management)と呼ばれる15の出先機関を持つ。バクタプール郡ナガルコットには、国家水衛生研修センター(NWSSTC: National Water Supply and Sanitation Training Center)を有する。また、7つの州(Province)に分けられるネパールでは、各州政府の傘下にMoPID(Ministry of Physical Infrastructure Development)と呼ばれる機関があり、さらにその下部組織として、WSSDO(Water Supply and Sanitation Division Office)と呼ばれる28の出先機関があり、それらの州政府機関も一部の水道施設建設を担っている。

目標

上位目標

DWSSM及びNWSSTCによる地方都市WUSCへの支援が継続的に実施される。

プロジェクト目標

DWSSM及びNWSSTCによる地方都市WUSCに対する支援が、官民関係組織の人材を活用しつつ強化される。

成果

1.DWSSM、NWSSTC、FWSSMP並びに対象WUSCのベースライン調査・キャパシティアセスメントが実施され、プロジェクト実施計画が確定される。
2.DWSSMによる地方都市WUSCの給水施設の運転維持管理及び事業運営に関する支援能力が強化される。
3.NWSSTC による地方都市 WUSC に対する研修実施能力が強化される。

活動

1-1.DWSSM、FWSSMP、NWSSTC、および対象のWUSCのベースライン調査と技術、財務、管理、および組織の能力評価を実施する
1-2.立法や開発計画など、準都市部の上水セクターを取り巻く状況分析を実施する
1-3.DWSSM、NWSSTC、およびFWSSMPによるWUSCへの支援メカニズムを分析する
1-4.準都市部におけるWUSCの支援については、 ADBにて実施中の”Third Small Towns Water Supply and Sanitation Sector Project”によるSector Efficiency Improvement Unit(SEIU)と調整および協議する
1-5.上記の活動の結果を反映して、PDMとPOを改訂する

2-1.準都市部のWUSCの現状に適したモニタリング・管理評価指標を調査し、準都市部のWUSCのモデルの使いやすさを向上させるための管理モデルを改訂する
2-2.DWSSMによる準都市のいくつかの対象WUSCに必要な施設改善作業を計画する
2-3.DWSSMによる準都市のいくつかの対象WUSCに必要な施設改善作業を実施する
2-4.DWSSMによる準都市の対象WUSCの施設改修に関する仕様書を作成する
2-5.DWSSMによる準都市におけるWUSCへの研修実施を担当する部門を明確化し文書化する
2-6.ベーシック研修とオンサイト研修に関する講師養成研修(ToT)の概要を策定し、DWSSMによる研修が実施されるようNWSSTCを指導する
2-7.準都市部のWUSCに対するベーシック研修の概要を策定し、DWSSMによる研修が実施されるようにNWSSTCを指導する
2-8.準都市部のWUSCに対するオンサイト研修の概要を策定し、DWSSMによる研修が実施されるようにNWSSTCを指導する
2-9.準都市部のWUSCに対するリフレッシャー研修の概要を策定し、DWSSMによる研修が実施さるようNWSSTCを指導する
2-10.NWSSTCが実施した上記の研修を評価し、その結果をDWSSMによる次の年の準都市部WUSCのマネジメントモデルに関する研修に反映する
2-11.DWSSMによる上記に述べた研修を実施するためにNWSSTCに予算を配分する
2-12.成果3からのフィードバックを受けて準都市におけるWUSCへのマネジメントモデルを更新する

3-1.NWSSTCによる研修実施体制や設備を評価する
3-2.NWSSTCによる準都市におけるWUSCマネジメントモデル研修に関する研修実施ガイドラインと研修計画を作成する
3-3.MoWS、DWSSM、NWSSTC、FWSSMP、WUSC、およびNWSSTCによるその他の組織から、準都市におけるWUSCのマネジメントモデルに関するトレーニングの講師養成研修(ToT)への参加候補者を選定する
3-4.NWSSTCによるベーシック研修やオンサイト研修に関する講師養成研修(ToT)を計画する
3-5.NWSSTCによるベーシック研修やオンサイト研修に関する講師養成研修(ToT)を実施する
3-6.NWSSTCによる準都市のWUSCに対するベーシック研修を計画する
3-7.NWSSTCによるベーシック研修を実施する
3-8.NWSSTCによる準都市のWUSCに対するオンサイト研修を計画する
3-9.NWSSTCによる準都市のWUSCに対するオンサイト研修を実施する
3-10.NWSSTCによる準都市のWUSCに対するリフレッシャー研修を計画する
3-11.NWSSTCによる準都市のWUSCに対するリフレッシャー研修を実施する
3-12.下記について改訂をする 1)研修実施ガイドライン 2)研修計画 3)研修カリキュラム 4)NWSSTCによる前述の研修結果からフィードバックを受けた研修資料

投入

日本側投入

WUSC

相手国側投入

カウンターパートの配置、案件実施のためのサービスや施設、現地経費