プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)シャーガス病対策プロジェクト
(英)Strengthening of Activities of Survey and Control for Chagas Disease

対象国名

ニカラグア

プロジェクトサイト

マタガルパ県、マドリス県、ヌエバセゴビア県、ヒノテガ県、エステリ県

署名日(実施合意)

2009年5月21日

協力期間

2009年9月1日から2014年8月31日

相手国機関名

(和)ニカラグア共和国保健省
(英)Ministry of Health

背景

シャーガス病は中南米特有の寄生虫症で、感染経路にはサシガメという吸血性カメムシ(昆虫)が媒介して人間に感染する媒介虫感染、輸血などによる血液感染、そして母親から胎児への母子感染がある。シャーガス病は中南米に広く分布しており、当地域において推定で750万人以上の感染者が存在すると推定され、PAHO(米州保健機構)はマラリアに次いで深刻な熱帯病であると位置づけている。このような中、中米7カ国(グアテマラ、ホンジュラス、ベリーズ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ)及びPAHOは、「2010年までに中米におけるシャーガス病の感染を中断する」という目標を掲げた中米シャーガス病対策イニシアティブを1997年に開始し、一方でJICAは、1991年よりグアテマラで熱帯病研究対策プロジェクトによるシャーガス病研究に着手して以来、グアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドル、パナマで広域的に技術協力を展開している。

ニカラグアでは総人口約514万人のうち、少なくとも5万人の感染者が存在すると推定されている。媒介中のサシガメは土壁や藁葺きでできた家屋を好んで生息するため、リスク人口の多くがそのような家屋に居住する貧困層となっており、特に北部地域に集中している。

また、ニカラグアでは主に外来種のR.p.種(以下R.p.)と在来種のT.d.種(以下T.d.)の2種類の媒介虫が生息している。保健省はこれまで、R.p.の生息が確認された北部地域の村落で重点的に殺虫剤散布を実施してきている。しかしながら、未調査村落も多く残されており、媒介虫生息のデータが正確に把握されていないために、それら村落でのアタックフェーズの活動は手付かずの状態となっている。また、殺虫剤散布後のメンテナンスフェーズも体系的に導入されていないため、住民の媒介虫発見に対する保健省側のフィードバックが十分になされておらず、監視システムの構築も急務の課題となっている。

このような状況において、JICAはニカラグア政府の要請を受け、これまで他国で培ってきた知見・経験を活用し、2009年9月より5年間の予定で、ニカラグア北部5県(ヌエバ・セゴビア県、マドリス県、マタガルパ県、ヒノテガ県、エステリ県)において、媒介虫による感染を持続的に制御することを目標として、1)調査能力の強化(血清検査・昆虫学的調査)、2)殺虫剤散布の運営管理能力の強化(アタックフェーズ)、3)監視システムの運営管理能力の強化(メンテナンスフェーズ)、4)住民のシャーガス病予防能力の強化(メンテナンスフェーズ)、の4つの能力強化を主眼としたプロジェクトを開始することとなった。

目標

上位目標:

対象県において、シャーガス病の媒介虫による感染が中断する。

プロジェクト目標:

対象県において、シャーガス病の媒介虫感染が持続的にコントロールされる。

成果

  1. 保健省における昆虫学・疫学の両分野で統合/調整された調査を実施する能力が強化される。
  2. 保健省における殺虫剤散布の運営管理能力が強化される。
  3. 保健省における監視システムの運営管理能力が強化される。
  4. 住民のシャーガス病予防能力が強化される。

活動

1-1
ベースライン調査(血清検査・昆虫学的調査)を設計・計画する。
1-2
データ収集と検査を担当する保健スタッフに対して研修を行う。
1-3
ベースラインデータを収集・分析する。
1-4
1-3に基づき、対象市選定のための指標とその基準値を決定する。
1-5
1-4に基づき対象市を選定する。
1-6
エンドライン調査(血清検査・昆虫学的調査)を設計・計画する。
1-7
エンドラインデータを収集・分析する。
1-8
1-7を1-3と比較することで介入のインパクトを推定する。
2-1
殺虫剤散布の暫定指針を策定する。
2-2
ベクターコントロールの研修を行う。
2-3
1-3に基づき、殺虫剤散布を計画する。
2-4
2-3に基づき、殺虫剤散布を行う。
2-5
2-3に基づき、散布後の効力評価を行う。
3-1
現行のシャーガス病患者及びベクターの情報システムを調査する。
3-2
3-1に基づき、現行の情報システムを改善する。
3-3
監視システムのM&Sチェックリストを作成する。
3-4
3-2,3-3を含めた監視システムの暫定指針を策定する。
3-5
1-3および社会経済/人口統計情報に基づき、対象市の中からモデルパイロット市を選定する。
3-6
県保健局担当者に、監視システムの運営管理およびTOTの研修を行う。
3-7
県保健局担当者が保健センター/ポストのスタッフおよびコミュニティ保健ネットワークのメンバーに対し、監視システム運営に関する研修を行う。
3-8
3-4に基づき、保健センター/ポストのスタッフおよびコミュニティ保健ネットワークのメンバーが監視システムを運営する(1)ベクター届出と対応、2)疑い症例のリファー・カウンターリファーなど)。
3-9
改善された情報システムを通して県保健局が保健省に監視システムに関するデータを報告する。
3-10
M&Sチェックリストを用いて監視システムのM&Sを行う。
3-11
県保健局間でM&Sの結果を共有するための定期会合を行う。
3-12
普及パイロット市に監視システムを導入する。
3-13
境界諸市におけるシャーガス病の最新情報を交換するために、ホンジュラスの国家シャーガス病プログラムと技術会合を行う。
4-1
対象市において、コミュニティの社会関係資本(コミュニティ保健ネットワーク、学校、市役所、住民組織、NGO、農協等のステークホルダー)を調査する。
4-2
4-1に基づき、対象市におけるステークホルダーの中から潜在的協力者を特定する。
4-3
協力者とともに、モデルパイロット市において、ヘルスプロモーション活動(ベクター捕獲、生活改善、住居改善など)を計画する。
4-4
ヘルスプロモーションの教材を作成する。
4-5
県保健局及び保健センター/ポストのスタッフにシャーガス病予防のためのヘルスプロモーション活動のTOTを行う。
4-6
4-4を用いて協力者に対してヘルスプロモーション活動の研修を行う。
4-7
県保健局、保健センター/ポスト、協力者が住民に対してヘルスプロモーション活動を行う。
4-8
普及パイロット市にヘルスプロモーション活動を導入する。

投入

日本側投入:

  1. 専門家
    • 長期専門家3名(チーフアドバイザー、住民参加、業務調整・研修計画)
    • 短期専門家(昆虫学、疫学、保健情報システム、健康教育、社会関係資本分析など)
  2. 資機材
    • プロジェクト車両、バイク
    • 殺虫剤、殺虫剤散布機材
    • 血清検査用キッ
    • コンピュータ、プロジェクター、デジタルカメラなど
  3. 在外事業強化費
    • 教材作成費、研修・ワークショップ経費、運転手・アシスタント傭上費等

相手国側投入:

  • 人材の投入
    • カウンターパート配置(公衆衛生監視総局、同局疾病予防局、ケアの質・普及総局普及班局、対象県の各県保健局、国立診断検査センター昆虫局/寄生虫局等)
  • 資機材
    • 殺虫剤、殺虫剤散布機材
    • 血清検査用キット
  • 施設
    • プロジェクト事務所
  • 必要経費
    • 車両・バイク維持管理費・保険料・燃料代
    • プロジェクト事務所運営費
    • 保健省スタッフ出張旅費等