ドミニカ共和国での第三国類似案件技術交換

2016年10月7日

10月2日から5日間の日程で、ドミニカ共和国の「第三保健地域母と子のプライマリヘルスケアプロジェクト」を訪問しました。2013年5月に開始された同プロジェクトは、研修を通じた医療従事者の能力向上やレファラル・カウンターレファラルのシステム強化、母子保健活動の改善など、当プロジェクトと共通する課題に取り組んでいます。お互いの経験と工夫、課題や解決策などについて意見交換を行い、そこで得られた情報やアイデアを、今後のプロジェクト活動に活用して母子保健サービス向上につなげることが今回の目的です。
4つのパイロット支所からひとりずつ選出された、医師または看護師のカウンターパートに、母子保健専門家の石原が同行しました。到着後、先方のチーフアドバイザーから、二国間の保健システムの違いについてオリエンテーションを受けたのち、第一次保健施設とコミュニティのほか、県病院や県保健事務所等を視察して、「母子保健研修」「レファラル・カウンターレファラルシステム」「ヘルスプロモーション手法」等の実際を知るとともに、ニカラグアでの取り組みも紹介しながら、プロジェクト関係者と意見交換を行いました。
今回の訪問は、ニカラグアのカウンターパートたちにとって、ほかの国で行われている類似プロジェクトの活動を知るだけでなく、自国の強みを発見する機会にもなりました。例えば、当たり前に存在すると思っていたマタニティホームが設置されていない国もあり、この施設をもっと活用することで、へき地の妊婦へ質の高い継続ケアを提供できることや、他国と比較して、ニカラグアはコミュニティネットワークシステムが非常に発達しており、医療従事者とコミュニティネットワーク(保健ボランティアや伝統的助産師など)のさらなる連携強化により、集落での保健活動を促進・継続できることなどに改めて気づきました。
また、ドミニカ共和国で進められている産後のカウンターレファラルシステム強化の取り組みに刺激され、ニカラグアでプロジェクトを通じて取り組みが始まった「妊産婦管理台帳」と「向こう4週間の出産予定者リスト」を用いた妊産婦の管理と監視体制を、今後、産後の褥婦ケアのために活用することも検討しています。
カリブ諸島に多大な被害をもたらしたハリケーン「マシュー」の影響で、一部計画通りに視察できなかった場所もありましたが、ドミニカ共和国のプロジェクトチームの周到な受入れ準備とフレンドリーな対応により、無事にまた有意義に全行程を終了できました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

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ニカラグアのプロジェクト活動を紹介するサント・ドミンゴ支所のマルジン・ブラボ支所長

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コミュニティ活動視察

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ドミニカ共和国プロジェクトチームとの合同写真(最前列がニカラグアからの参加者)