「1992年ニカラグア津波27周年記念セミナー」を開催しました

2019年9月3日

2019年9月3日にニカラグア国土調査院(以下、INETER)において「1992年ニカラグア津波27周年記念セミナー」が開催され、ニカラグアの防災関連機関、ニカラグア国立自治大学(UNAN)地質・地球物理センター(CIGEO)から約70名が参加しました。

本セミナーの目的は以下のとおりです。
・2019年8月に開始した中米津波警報センター(以下、CATAC)の試験運用を防災関連機関に説明する。
・防災関連機関間の情報共有や連携強化を図る。
・CATACの試験運用開始を広くニカラグア国内に広報する。
・防災関係者と津波災害軽減に向けた教訓を共有するとともに津波に関する知識向上を図る。
・セミナーの広報やメディアをとおして、津波に対する市民の関心を高める。

1992年9月1日に起こったニカラグア津波は170名を超える死者を出し、ニカラグアの太平洋沿岸300キロメートルに渡り大きな被害をもたらしました。ニカラグアではこの津波災害を契機にINETERでの地震・津波監視24時間体制をはじめとする津波防災の取り組みが始まりました。1992年以降のINETERの努力と取り組みにより、ニカラグアの地震・津波監視の能力は向上し、2015年にUNESCO政府間海洋学委員会(IOC)の国際的な津波監視体制の枠組みにおいて、INETERが中米6カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマ)を管轄するCATACの機能を有することについての提案が承認され、2016年に開始した本プロジェクトとともにCATAC運用開始に向けてINETERの能力強化を進めてきました。プロジェクト期間をとおしたINETERの能力強化、中米各国との調整、標準運用手順書(SOP)の公式化により、2019年8月からCATACの試験運用(津波アドバイザリー情報の発信)が開始しています。

本セミナーでは、プロジェクトコーディネーターのストラウチ氏がCATACのサービスや試験運用開始について説明を行い、ニカラグア国家総合防災システム局(CD-SINAPRED)や市民防衛局(Defensa Civil)などの関係者にCATACの津波情報発信の運用や発信される情報の内容について共有しました。また越村短期専門家(東北大学災害科学国際研究所教授)が「2011年東北地方太平洋沖地震津波の教訓」、榊原短期専門家(気象庁地震火山部地震津波監視課)が「気象庁による津波警報及び2011年東北地方太平洋沖地震津波後の改善」に関した講演を行い、津波災害軽減に向けた教訓について、関係者と広く共有することができました。
また本セミナーはメディアでも大きく紹介され(注)、津波に対する市民の関心を高めることにもつながっています。

CATACプロジェクトは2019年10月に終了しますが、プロジェクト終了後も過去の津波災害を風化させないため、またその教訓を今後の津波防災に活かすために「1992年ニカラグア津波記念セミナー」を開催し、防災関係者間の連携強化、市民への啓発活動を継続していくことを期待します。

(注)地元メディアによる紹介

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ストラウチ氏による講演

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越村短期専門家による講演

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榊原短期専門家による講演

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会場の様子