ニカラグア主要紙でのコラム掲載

2007年2月19日

JICA専門家によるコラムがニカラグア主要紙に掲載されました。

新聞記事ニカラグアの2大主要新聞の一つ、ヌエボ・ディアリオ紙2月19日付11面に、ニカラグアの貧困と教育をテーマにした短いコラムが掲載されました。
これはプロジェクト広報の一環として専門家が同紙に投稿したものです。
記事の要訳を以下の通り、掲載します。

「算数は好き?」 

中原篤史(JICA専門家)

議論の余地無く、開発途上国における主要な問題は貧困であろう。
解決策を議論するのは容易ではないものの、もし述べるとするならば長期的観点から見た教育の改善は重要な回答の一つであろう。
2006年のUNDPの人間開発報告書における人間開発指数(HDI)によれば、ニカラグアは0.698で、ホンジュラスの0.683やグアテマラの0.673よりも高い数値を示している。しかし教育に関しては若年識字率(15歳から24歳までの若者)がニカラグアは86.2%(2004年)と、ホンジュラスの88.9%(同年)よりも劣っている。同様にして、初等教育の純入学登録者数はニカラグアの88%(2004年)に対して、ホンジュラスの91%(同年)、グアテマラの93%(同年)と劣っているのである。
ニカラグアの教育において問題を引き起こしている要因は数多くあり、例えば、学校教育の質、インフラの不足または劣悪な教育環境などにさらされており、それは特に農村部において深刻である。つまり質的、量的の双方で問題なのである。

ニカラグアは他国から多額の経済援助を受けており、量的には比較的改善が見られている。しかし、質的に見ればまだまだ問題も多く、先のUNDPの指標によれば、1年生の児童が5年生に到達できる率は、コスタリカの92%(2004年)やグアテマラの78%(同年)に比べて、ニカラグアは59%(同年)に過ぎないのである。
学力から見ても、教育省が2002年に実施した全国調査では3分の2の児童が学校で得るべき算数の知識を得ておらず、基本的な知識を得ているのは6年生のうち88.1%、3年生は61.7%のみである。

勿論、これら問題は一朝一夕に解決できるものではない。時間が必要であるもの、これらに対して我々はすでにアクションを起こしている。

JICAは算数指導力向上プロジェクト(PROMECEM)を教育省と実施しており、日本人専門家が教育省技官に技術指導を行い、ニカラグア人自身によって教員用指導書と教科書が作成されている。JICAは外国人コンサルタント等の外部委託をしていない。ニカラグア人官僚自らを指導して、指導能力を高めているのである。
プロジェクトの主要目標は、教員の指導力向上を通じて児童の算数に対する理解と関心を深めていこうとするものである。このために「算数大好き」プロジェクトでは、プロジェクトで作成された教員用指導書と教科書を通じて授業を改善していこうとしているのである。
教員用指導書では、(より良い授業が可能となるように)教員に授業の年間計画、授業の展開、授業の狙い、必要な教材の作成方法または作成支援のページ等が示されている。また教科書では児童が自身で考え、問題解決を可能にすることを促進するために様々な問題やアクティビティーが用意されている。

今年度、ニカラグア教育省は、プロジェクトで作成された1年生から3年生までの教員用指導書と教科書『算数大好き1〜3年生』を全国の公立小学校に印刷・配布予定である。同様に今年は4年生と5年生を作成し、来年は6年生を完成予定である。
JICAと教育省は、「算数大好き」のスローガンを通じて、学校、教室、各家庭での現実にある問題に取り掛かれると確信している。
これが、この国が苦しんでいる貧困を打ち負かすための前進の一つとなるであろう。

(了)

記事の原文(PDF:628KB)