マンスリーレポート(2020年2月号)

2020年2月29日

『みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクトフェーズ2』では、初等教育分野と中等教育分野、二つの分野にて活動しています。初等教育分野においては、住民支援の校外学習に効果的なツールを導入することですべての児童の“読み書き”と“計算”の基礎学力改善を目指す『質のミニマムパッケージ』の開発と普及に取り組み、中等教育分野においては、アクセス、格差解消、教育の質の改善など、様々な教育開発課題の改善に貢献する“機能する”学校運営委員会(COGES)モデルの全国普及を進めています。

「初等教育分野」活動では、今学期、短期間で児童の基礎学力改善をより効果的に促進するモデル開発へ向けて、正規授業時間に「質のミニマムパッケージ」の要素の一部を導入する試行に取り組みました。ニジェール初等教育省では、全国の小学校にて、新学期の3か月間の授業時間を通常のカリキュラムではなく、読み書き算数の基礎学力向上のために充てる「学力向上プログラム」を2年前より実施しています。そこで、今年度新学期の3か月間、教育省の「学力向上プログラム」時間に、「質のミニマムパッケージ」モデルの習熟度別学習(TaRL;Teaching at the Right Level)活動を試験的にいくつかの学校に導入しました。その結果、約3か月の活動を通して、読み書き・算数(数と計算)共に、飛躍的な向上が見られました。学力テスト結果を見ると、ベースライン時には2年生中誰も単語が読めなかったのが、エンドラインでは38%もの児童が単語を読めるようになりました。3~6年生では、短文が読める子は2割にも満たなかったのが、3か月後にはその割合は5割に上っています。

【画像】枠内:単語が読める児童の割合(2年生)、文が読める児童の割合(3年~6年生)

算数に関しても、数の認識(数字が読める児童)が格段に伸びており、計算力も全体的な向上が見られます。

【画像】枠内:3桁の数字が読める児童の割合

【画像】グラフ下部:四則計算別「計算ができる3~6年児童の割合」

また、学力向上プログラムの終了時に実施された「ニジェール全校共通の学力テスト」の結果を「学力向上プログラム」に「質のミニマムパッケージ活動」を導入した学校と導入していない学校間で比較したところ、質のミニマムパッケージ活動導入校では、導入していない他校に比べ、エンドラインでの結果の伸びが、読み・算数共に平均10~20ポイントも上回る改善を遂げていることも確認されました。まだまだ試行のスタートを切った段階の取り組みではありますが、この今回の結果が大きな一歩となり、全国の小学校で実施されている「学力向上プログラム」とともに、「質のミニマムパッケージ」も全国に広がるよう取り組んでいきます。

学力向上プログラム内での質のミニマムパッケージ活動の様子-子どもたち自らが読み、書き、聞き、話し、行動し、学んでいきます。

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