(和)サヘルオアシス開発計画調査
(英)The study on Sahel Oasis Development in the republic of Niger
ニジェール
2005年2月3日
調査対象は、タウア州、ティラベリ州、ドッソ州、ニアメ州及びマラディ州の5州に位置する66サイトの貯水池。
パイロットプロジェクト対象はタウア州の4サイト。
2005年11月17日から2009年11月16日
農業開発省
ニジェールは、国土面積が126万km2(日本の3.4倍)であり、このうち約65%をサハラ砂漠が占めている。また、国土の12.1%は、降雨量が200〜400mmと少ないサヘル地帯に含まれる。人口は1,100万人で、その約80%が農村部に居住し、自給的な農業を営んでいる。「人間開発指標2002」では177カ国中176番目に位置しており、世界で最も貧しく、同国の経済は、総輸出額の75%とGDPの20%を占めるウランの市況に大きく左右され、経済成長率は、近年のウラン価格の低迷により、0.6%(1965年〜1998年平均)である。同期間の人口増加率は3.1%と非常に高く推移しており、一人当たりGDPは、長期間にわたり縮小傾向にある(2001年の一人当たりGDPは180ドル)。
同国の主要産業は農業であり、労働人口の約90%、GDPの41%を占める。主要作物はミレット及びソルガムで、全農地(1,500万ha)の3分の2で生産が行われている。同国の農業は、ほとんどが天水農業地域で営まれており、収穫量は降雨量によって大きく左右される。長期的な降雨量の減少傾向や過剰耕作により、単収も低下している。さらに、農村部では家庭用エネルギーを薪に依存しており、高い人口増加率と相まって、森林の荒廃を加速している。また、農村住民のうち、約50%が安全な水へアクセスできず、成人識字率は都市部を含めても15%に過ぎない等、人間の安全保障が確保されていない状況にある。
ニジェール政府は、農村開発の推進を貧困削減と砂漠化防止のための重要事項と位置づけ、重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブによる債務救済資金及びアフリカ開発銀行からの資金による「大統領特別プログラム」を実施した。同プログラムでは、農村開発と基礎的な生活条件の改善のために、2000年以降4年間で100箇所の小規模貯水池と100本の井戸が建設され、地方農村部の給水強化を推進している。しかしながら、小規模貯水池は、一部を除き十分に活用されておらず、活用するための戦略も策定されていない。また、ニジェールでは、農業省をはじめとする農村開発を実施するための行政体制が脆弱である。同国において農村開発を推進するためには、既に建設された小規模貯水池等の効果的な活用を含む持続的な農村開発を実施するための戦略の具体化とともに、行政体制の強化が求められている。
農村開発戦略(Strategie de Developpement Rural: SDR)。食糧の安全保障や持続的な自然環境の保全が可能になる。
持続的な農村開発を通じた砂漠化の防止の実施に関する体制強化と事業実施の適正化が図られる