プロジェクト活動の成果報告

2016年4月4日

今回は、プロジェクト活動のうちアウトリーチ活動(注1)とデフォルターの追跡(注2)の現時点での成果について報告します。

まず、各PHCが提供する予防接種および産前健診の利用者数にアウトリーチ活動がどのような影響を与えるのか見てみましょう。この活動が本格化した2015年8月から12月までの利用者数をみてみると、全体的に増加傾向にあることが確認できました。ワード保健委員会(注3)との連携を強化し、より効果的な訪問場所の選定、住民への事前呼びかけの強化などが増加の主な理由であると考えられます。一方、2015年10月以降、減少傾向も見られることからプロジェクト対象地域(エティ・オサ地方行政区)の保健行政官、PHCスタッフ、WHC委員長とプロジェクト専門家でその原因を分析し、改善策を検討しているところです。主な原因として、保健人材の不足からアウトリーチ活動を実施できないことが挙げられました。また雨季による移動制限ややクリスマス休暇中の移動などが考えらます。今後は施設間で保健人材をうまくまわしながら、アウトリーチが予定通りに実施できるようにしていく予定です。

デフォルターの追跡については、活動が本格化した2015年6月から同年10月までの成果を紹介します。効果測定方法としては、デフォルターを追跡する週(介入郡)と追跡しない週(対照郡)を無作為に抽出し、利用者が再受診する率を比較します。結果として、介入群で31%、対象群で5%が施設に戻ってくることが分かり、一定の効果があると思われます。一方、携帯電話番号の間違いで追跡したくても出来ないケースも散見され、課題の一つとなっています。番号の間違いには、単純な記憶や記入ミスだけでなく、ある事情(違法滞在など)から本当の番号を教えたくない利用者もいると考えられています。分析実施期間も短いため、今後も引き続き分析を行っていく予定です。

(注1)プライマリー・ヘルス・センター(PHC)のスタッフが特にアクセスの悪いコミュニティに足を運び予防接種などの保健サービスを提供する活動。
(注2)予防接種や産前健診などの保健サービス利用中断者を追跡し、これらのサービスを引続き受けるように促す活動。
(注3)ワードはナイジェリアの最小行政単位。プロジェクト対象地域のエティ・オサ地方行政区には5ワードある。各ワード保健委員会のメンバーは5名で、PHCとコミュニティとの連携強化を担うことが期待されている。

【画像】

アウトリーチ活動の様子