麻疹予防キャンペーン実施支援

2018年4月2日

「2020年までに麻疹を撲滅する」という世界保健機構(WHO)アフリカ地域の目標に向け、ナイジェリア政府もその達成への貢献を約束しています。国内各地で散発的に起こっている麻疹の流行を抑えるためには、国全体で麻疹に対する免疫性を高める必要があります。ナイジェリアにおいては、生後9ヵ月で第1回目の麻疹予防接種を実施することになっていますが、定期予防接種だけでは漏れてしまう子どもたちが大量に出ているのが現実です。そこで、キャンペーンを実施することで、生後9ヵ月以降59ヵ月までの子どもたちに対して集中的に追加予防接種を実施すると同時に、定期予防接種プログラムから漏れている子どもを見つけ出し、95%の接種率を目指しています。

ラゴス州では、3月15日~29日にキャンペーンが実施されました。目標を達成できなかった前回2015年のキャンペーンでの課題を踏まえた戦略が導入されました。州の全行政区を2つに分け、6日間ずつ期間をずらしたキャンペーンを実施することで保健人材不足を各行政区間で相互補完できるように工夫しました。また、通常の保健施設における接種に加え、学校、幼稚園、公営施設、教会、バス停、駐車場及び市場など母子の出入りの多そうな場所に臨時接種ポストを設置しました。加えて、Hard-to-Reach(アクセス困難)居住区を選定し、それら全ての場所に保健従事者、コミュニティ動員係及び薬剤が的確に配置できるよう、ワード(注)レベルでの日単位計画を策定し、その計画に沿って、4200超のチームが編成され、計画が実行されました。

プロジェクトは、計画段階から会議に参加し、プロジェクトの使命に沿った支援を提供しました。具体的には、水上地域や湿地帯などアクセス困難居住区220ヵ所への移動手段の提供、コミュニティ動員に欠かせないメガフォン供与、ローカル言語によるジングル(音楽付きのオーディオ広報メッセージ)制作などの支援です。プロジェクトのほかには、国際機関、大学、看護協会、民間医療機関、国際NGO、社会奉仕団体など多くの機関が協力して実施されました。

キャンペーンは、チームからワード、ワードからオペレーションセンターに日ごとに接種状況が報告・集計され、ワードごとの達成状況が報告された後、関係者にその進捗状況が回覧されるというシステムで実施されました。公式発表は後日になりますが、3月31日時点の集計で390万人の対象人口に麻疹予防接種を実施できたことが報告されています。これは推定対象人口を大幅に超える成果で、大成功であったと言えます。4月中に国連機関の支援の下、連邦統計局を中心にキャンペーンの評価が実施される予定になっており、良い結果が期待されます。

(注)ナイジェリアの最小行政単位

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コミュニティ動員のためのメガフォンをプライマリーヘルスケア庁に寄贈する角井チーフアドバイザー

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プロジェクトで養成した保健ボランティア(CORP)が水上スラム地区において麻疹予防接種への参加を呼び掛ける

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麻疹予防接種