新しくなった予約確認と未再来者追跡自動システム(Appointment Reminder and Defaulter Tracing:AR&DT)試験運用開始

2019年1月30日

2018年7月にシステム再構築するという決定をした後、開発してきたシステムが、ようやく試験運用できるレベルになりました。新システムは、現場の保健従事者の負担をできるだけ減らし、かつ必要な情報を全て把握できるように工夫してあります。妊婦手帳や予防接種カードなど既存の仕組みをそのまま利用し、そこにクライアント各個人にユニークなQRコードシールを張り付けることによってクライアント情報をコード化しました。下図は、システム全体の流れを現したものです。まずはクライアント登録を行い、QRコードを割り当てます。QRコードをモバイルアプリで読み込むことによって、瞬時にクライアントの情報をモバイルアプリに取り込み、保健サービス利用状況を確認すると同時に次の予約を入力できます。次の予約の2日前に、予約確認SMSをMyHealthというタイトルで自動送信。再来しなかった場合は、その1週間後に再度SMSを送信。それでも再来しないクライアントは、モバイルアプリが未再来者名のリストを保健サービスごとに電話番号とともに提供し、各PHCで追跡しやすくしてあります。

試験運用、そしてその後の拡大展開にあたっては、ラゴス州プライマリーヘルスケア庁(LSPHCB)の部長級スタッフを中心とする技術部会(TWG)が中心となって進めていけるような仕組みづくりにも力を入れました。これまでも、このTWGを相談役に新システム開発を進めてきましたので、新システムに対するオーナーシップはメンバーの中では十分高まっていました。1月18日に行われたTWGミーティングには、LSPHCBの事務次官にも参加してもらい、システム全体の仕組みの理解、試験的導入の実施方法、その後の拡大方針と3月中旬までの拡大計画などを話し合い、かつモバイルアプリの実際の使い方も確認しました。事務次官は、2019年1月に着任したばかりの新しい方でしたが、このシステムには強い関心を抱いていただきました。また、事務次官の前で、本介入拡大にあたっては、TWGメンバーによる実践オリエンテーションおよびスーパービジョンを各プライマリーヘルスケアセンター(PHC)において実施することの重要性を再確認しました。その上で、メンバー各自がスケジュールをやり繰りして現場に行くと同時に、プロジェクト終了後も本介入においてTWGが継続的にかじ取りができるように、毎週金曜日を定例ミーティングの日とするいうコミットメントを引き出すこともできました。加えて、現場に行くためのLSPHCBの公用車と運転手の使用許可も取り付けました。

試験運用は、近隣のPHC2箇所を選定し、管轄の行政区医務官(MOH)に対するオリエンテーションを実施、その上で各PHCにおけるインターネットの接続状況を確認しつつ、現場でオリエンテーションを実施しました。アジアボPHCにおけるオリエンテーションでは、MOHの呼びかけで、地区保健委員会(WHC)のメンバーも集まり、このシステム導入の意義とWHC、保健スタッフ、それぞれの役割の確認をしました。

1週間の試行期間中に、現場からのフィードバックで、早速いくつかの課題が発見され、これら課題は、TWGにおいて共有し、解決策を話し合い、モバイルソフト開発業者と打ち合わせながら課題解決に取り組んでいます。

【画像】予約確認と未再来者追跡自動システム図解

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保健スタッフにモバイルアプリの使用方法を説明するプロジェクトスタッフ

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アジアボPHC施設長、WHCメンバー、LSPHCBスタッフと角井チーフアドバイザー