プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)母子保健リプロダクティブヘルス向上プロジェクトフェーズ2
(英)Improving Maternal and Child Health/Reproductive Health in Palestine (Phase 2)

対象国名

パレスチナ

署名日(実施合意)

2008年11月5日

プロジェクトサイト

パレスチナ自治区全域(ヨルダン川西岸地区及びガザ地区)

実施期間

2008年11月15日から2012年11月14日

相手国機関名

(和)保健庁
(英)Ministry of Health

背景

パレスチナ自治区では、イスラエル政府による長期の分離政策の影響により分離壁や検問所、外出禁止令が女性の行動を阻害し、また、経済活動の停滞による貧困とも相俟って、母子保健に深刻な影響を与えている。パレスチナ自治区の人口は、約374万人、うち160万人が難民登録されており、人口の65%は一日あたり2ドル未満の生活を強いられている。2003(平成15)年の保健庁統計によると、初婚年齢は男性23.6歳、女性19歳と比較的低い。合計特殊出産率は3.89、人口増加率は2.4%となっている。妊産婦死亡率(対10万人)は、保健庁発表では12.7人であるが、2001(平成13)年の推計値は100であり死亡届システムに障害あることが推察されている。

また、5歳未満乳幼児死亡率(対1000人)は、2003年の保健庁統計では20、2005(平成17)年UNICEF統計では27となっている。妊婦の32.5%、生後9ヶ月以下の乳児の40.5%に貧血があることも指摘されている。貧困による母子保健への影響が指摘される中で、母子保健・リプロダクティブヘルス・サービスの向上と利用の拡大が喫緊の課題となっている。

かかる状況に鑑み、パレスチナ自治政府(以下、「パ」自治政府」)は日本政府に対し技術協力プロジェクトの実施を要請し、わが国は「母子保健に焦点を当てたリプロダクティブヘルス向上プロジェクト」(2005年8月〜2008年7月)を実施した。2008年5月に実施された終了時評価では、協力開始当初の期待に反して「パ」の政治・社会情勢が悪化するなか概ね初期の成果を達成したこと、「パ」全国における母子保健サービスの向上に向けて長期的展望に立った支援が必要であることが確認された。

そのような中、「パ」自治政府より、同プロジェクトで導入された母子健康手帳を定着・自主財源化し、パイロット地区で改善された母子保健・リプロダクティブヘルス・サービスを質的・面的に拡大するためのフェーズ2プロジェクトが要請された。

上位目標:

パレスチナ自治区全域における女性と子供の健康が改善される。

プロジェクト目標:

パレスチナ自治区全域における母子保健リプロダクティブヘルス(RH)サービスが改善される。

成果

成果1
母子健康手帳の普及率(カバレージ)及び活用方法が向上する。
成果2
MOHのPHCセンタースタッフの周産期に係る知識及び技術が強化される。
成果3
「国家母子健康手帳調整委員会(NCC)」が母子健康手帳に関わる政策立案、事業実施及び監督母体として機能する。
成果4
地域住民の母子保健・リプロダクティブヘルスに関する知識・意識が向上する。
成果5
プロジェクト活動のモニタリング及び評価を通じ、プロジェクトの実施がより一層強化される。

活動

1-1
母子健康手帳の普及/カバレージ及び活用に係るオリエンテーションを実施する。
1-2
母子健康手帳の普及/カバレージをモニターする。
1-3
母子健康手帳の供給と在庫を管理する。
1-4
母子健康手帳の利点及び活用方法を、医学部、看護学部・学科のカリキュラムに導入する。
2-1
MOHのPHCセンターの全ての看護師・助産師に対し、産前・産褥(産後)ケア及び乳幼児ケアに係る技術研修を実施する。
2-2
一般医に対し、産前・産褥(産後)ケア及び乳幼児ケアに係る技術研修を実施する。
2-3
MOHのPHCセンターに供与した、技術研修内容と関連した機材を利用することにより、母子保健・リプロダクティブヘルスサービスが向上する。
3-1
母子健康手帳に係る戦略および活動計画を立案する。
3-2
母子健康手帳の運営管理に係る「NCC」及び「タスクフォース(TF)」を設立する。
3-3
「NCC」によって普及/カバレージ及び活用に係る、計画、実施、監督、必要な政策の立案を行う。
4-1
地域啓発活動のニーズ分析を行う。
4-2
全国規模のヘルスプロモーションを実施する。
4-3
集約的な地域啓発活動を実施する。
5-1
モニタリング/評価に係るデーター及び情報の収集と分析を行う。
5-2
プロジェクトの進捗状況及び活動を評価するための「合同調整委員会(JCC)」を開催する。
5-3
JCC、中間評価調査、終了時評価調査の提言により、プロジェクト活動の修正・変更を行う。

投入

日本側投入:

(1)人材の投入
チーフアドバイザー、業務調整、母子保健サービスマネジメント、母子保健・パートナーシップ調整、等
(2)研修員受け入れ
本邦研修(母子健康手帳マネジメント、母子健康政策)、第三国研修(RH地域経験共有セミナー(ヨルダン))、現地国内研修
(3)資機材
母子保健センターサービス強化のための資機材等
(4)必要経費
現地研修実施経費等

相手国側投入:

(1)人材の投入
プロジェクト・ディレクター、プロジェクト・マネージャー
(2)施設
ラマラにおけるプロジェクトオフィスおよび設備
(3)必要経費
カウンターパート人件費
(4)その他
合同調整委員会の設置と運営
プロジェクトに関する保健データや資料の提供、等

事業ハイライト

母子健康保健手帳導入による健康管理

【写真】

母子健康手帳

母子健康手帳の導入により、母子健康保健が、国家レベルで標準化された。母子の健康管理に対する認知度が高まると共に、公衆衛生も改善された。

不安定な情勢下で、医療機関の変更を迫られた場合でも、母子健康手帳には必要な健康情報が網羅されている。継続的な医療を受けることが可能になった。

医療従事者に対して行われた研修の成果として、保健従事者が母子健康手帳の正しい利用法を身につけ、母子保健サービスの質が向上した。

難民キャンプでも広がる母子健康手帳

「母親たちが、母子健康手帳の重要性を理解し、母子健康手帳を大切に保管するようになった。産前産後を通し、母子の健康管理ツールとして、活用されている。」と語るのは、看護婦のMrs. Naila Manasra。UNRWAジャラゾン保健センターに通う初産を経験した女性は、「母子健康手帳を持っていることで、自分と子供の健康が安全に管理されているという安心感がある。保健センターが使い方を説明してくれたので、自分でも簡単に必要事項を記載することができる。」とコメントしている。

【写真】

Mrs. Nalia Manasra(UNRWA:ジャラゾン保健センター看護婦)

【写真】

生後10か月の第一子(女子)を抱く母親