プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)理数科教育質の改善プロジェクト
(英)The Project for Improving Quality of Mathematics and Science Education

対象国名

パレスチナ

署名日(実施合意)

2019年1月29日

協力期間

2019年3月1日から2022年8月31日

相手国機関名

(和)教育庁
(英)Ministry of Education

背景

パレスチナ自治政府(以下、「パレスチナ」)は、1994年の自治政府樹立後、紛争影響地域としての政治的特殊性・脆弱性を抱えつつも人的資源開発を重視した国家開発に取り組んでいる。
教育に関しては、自治政府による初等教育普及振興策が功を奏し、2013年には初等教育の総就学率95%とアラブ諸国平均と同等レベルでの就学達成がなされている。他方、学力においては国際比較テストでは低位に甘んじるなど、教育の質の面では多くの課題が指摘されており、中でもカリキュラム改訂が喫緊の課題とされていた。
2015年に教育・高等教育庁(当時)は初等から後期中等教育までのカリキュラム・教科書を改訂することを決定し、日本からの支援を要請した。これを踏まえ、当機構はパレスチナの教育セクターで初めての技術協力プロジェクトとなる「パレスチナ日本初等理数科カリキュラム・教科書改訂協力プロジェクト」(PAJEC)において、初等理数科の教科書改訂に対する技術支援を2016年11月から2018年10月まで実施した。
このように、カリキュラム・教科書改訂は一応の完了を見たが、新しいカリキュラムの中心的概念である「生徒中心型」の教育は、それまでパレスチナで実施されてきた知識伝達型の教育とは大きく異なり、教授法の大きな転換が求められているため、教育・高等教育庁は当機構に対し、理数科教員が効果的な生徒中心型授業を実施するための技術支援を要請した。

目標

上位目標

理数科教育の強化を通して、全国の生徒の創造性、批判的思考力が改善される。

プロジェクト目標

理数科教育の強化を通じて、ターゲット校の生徒の創造性、批判的思考力が改善される。

成果

1. 理数科教育の強化を通じた生徒の創造性、批判的思考力の改善のための有効で実行可能な介入策が開発される。
2. 理数科教育の強化を通じた生徒の創造性、批判的思考力の改善のための最も有効で実行可能な介入策が特定され、ターゲット校に普及される。

活動

1-1. 教員や視学官に対して、新しい教科書を用いた効果的な授業を実践するための技術的支援を行う。
1-2. 教育庁による教員職能開発活動に関するデータ・情報を収集し分析する。
1-3. 学力診断テストを開発・実施し、理数科教育における生徒のつまづきを診断する。
1-4. 理数科授業のビデオを撮影する。
1-5. 授業ビデオと学力診断テストを分析し、結果をまとめる。
1-6. 分析結果に基づき、生徒の創造性、批判的思考力を改善するための、教員職能開発活動の改良を含めた幾つかの介入計画を立案する。
1-7. 立案した介入策を小規模に試行し、その有効性と実行可能性を評価する。

2-1. 成果1で試行した介入策を改善・統合し、介入モデルを開発する。
2-2. 改善された介入モデルをパイロット校で実施する。
2-3. 介入モデルを評価・改善し、対象校へ普及させる。
2-4. 介入モデルの包括的な評価を行う。
2-5. 全国に拡大可能な最終的な介入モデルを開発する。

投入

日本側投入

・専門家の派遣
・分析作業の費用
・ワークショップほか介入活動の費用(中央レベル)
・介入活動に必要な教材・教具の購入費用
・翻訳費用
・本邦研修

相手国側投入

・分析作業に必要なデータの提供
・カウンターパートや事務員によるサービスの提供
・JICA専門家のオフィススペースと必要な設備
・プロジェクトが介入や評価活動を実施するための調整作業
・ワークショップや介入活動の費用(地方レベル)