再出発

2018年5月14日

2018年3月

2016年3月末に開始した本プロジェクトは、同年4月の大統領選挙と7月の新政権樹立の結果、ペルー政府の新たな方針とニーズに応えるべく、実施体制やプロジェクト活動を見直しました。カウンターパートと度重なる議論を重ね、ペルーの森林保全に必要な活動を再確認しながら、先進的衛星データ技術の開発と能力強化を進めました。2016年11月と2017年5月にJICA本部による運営指導調査が実施され、2018年2月にプロジェクトの枠組みを正式に刷新しました。その概要を示したのもが下記の図です。

【画像】

日進月歩で進化する衛星データの分析技術により、実際に森林に行かなくても、広大な森林の状態がわかるようになってきました。この技術を用いて、プロジェクトでは主に3つの森林情報を創出する活動を支援しています。それらは、上図の上部にある:1)森林減少早期警報、2)森林ゾーニングとそのモニタリングに必要な森林マップ、3)乾燥林と浸水林の情報です。これら3種類の情報やそれに関するプロジェクト活動に関しては、今後のプロジェクトニュースで順次紹介してゆきます。ペルーの森林情報の質と技術は、全体としてはまだまだ改善の余地が有ります。例えば、衛星データが雲の影響を受けたり、データの解像度不足などのために地上の状況が適時に・的確に把握できない、乾燥林と浸水林に至っては、正確な森林図がありません。

森林の詳細かつ正確な地理情報がないと、適正に森林をゾーニングすることができません。森林ゾーニングとは「どの森林をどのように利用・管理・保全するか」を決定・計画することで、それが不在だと、十分に木がない森林を木材生産に利用してしまう(あるいはその逆)などが起こります。

これらが原因で森林が減少した場合、それを早急に検知して、取締りなどの対策を取る必要があります。ペルーの早期警報システムは、技術的な制約から、情報の質や量が十分ではありません。

このように、上記の3種類の森林情報はお互いに関連し合っており、プロジェクトでは、こうした技術的課題を包括的に取り組んでいます。

一方、情報があるだけでは森林減少は止まりません。森林情報をもとに、現場レベルでの取締りを強化することが重要です。森林管理のさまざまな権限が地方分権化されているペルーでは、州政府が取り締まりの重要な役割を担っています。プロジェクトでは、州レベルにおける森林情報の利活用も支援し、能力強化などを行っています。

【画像】

【画像】

ペルーの熱帯乾燥林はこんな感じです

【画像】

熱帯乾燥林の農地転換が進んでいます

【画像】

ペルーの熱帯雨林はこんな感じです

【画像】

熱帯雨林における農地転換や違法伐採が進んでいます