浸水林マッピングへの挑戦2-泥炭調査で世紀の大発見?-

2019年2月1日

以前ご紹介しましたが、プロジェクトでは浸水林マッピングの方法論開発を支援しています。

浸水林には、貴重かつ脆弱な生態系が分布し、地下部には泥炭がたまっています。泥炭とは、水がたまりやすい場所で植物遺体が水に浸かったまま分解せずに堆積した有機質土壌で、大量の炭素が蓄積されています。したがって、浸水林の保全は生物多様性保全と温室効果ガス排出量削減の観点から重要と言われています。そのためには、正確な地図とそれをもとにした森林減少モニタリングが重要ですが、ペルーの浸水林マップは不正確で、モニタリングも行われていません。

そこでプロジェクトではマッピングの精度を上げるため、日本の衛星(だいち2号)が搭載するレーダーセンサーやその他の衛星画像を活用したマッピング方法論を開発中です。

泥炭林マッピングへの挑戦1は下記参照:

上記の記事で紹介した調査を経て改善されたマッピング手法を検証するため、今回は2州(Ucayali州とSan Martin州)で泥炭サンプル収集を行いました。今回の調査では、泥炭自体の分布とその厚みも把握しました。

具体的には、ピートサンプラーという特殊な機器を用いて、表層から最下部(土壌鉱質層と泥炭の境界部)まで採取し、1)全体の土壌プロファイルを記録、2)50cmごとに区切ってサンプリングし、3)ペルーの大学にて比重、灰分・炭素量の分析を行い、4)3)の結果が「泥炭」の定義基準に合致するかどうかを評価し、泥炭の厚さを把握しました。

調査結果から、改善された方法論の精度が飛躍的に向上し、正確な泥炭林の把握に大きく前進しました!

さらに、高地熱帯林(San Martin州)において深さ3メートル以上の泥炭が見つかりました(恐らく世界初の発見!?)。アマゾンの泥炭は、インドネシアなどの他の熱帯林に比べて泥炭層は浅い(つまり温室効果ガスの単位面積あたりの保有量が少ない)といわれていましたが、今回の調査結果はその説に一石投じることになるかもしれません。

こちらのマッピングの方法論と泥炭調査の結果をもとに、学術論文発表などを準備中です、乞うご期待!

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浸水林の様子

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泥炭サンプリングの様子

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採取された泥炭サンプルの様子 深度が深い部分(写真右側)は左側の泥炭と色が違っています。この境目を突き止めて、泥炭の厚みを調べました。