プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)東ビサヤ地域母子保健サービス強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening Maternal and Child Health Services in Eastern Visayas

対象国名

フィリピン

署名日(実施合意)

2010年2月19日

協力期間

2010年7月15日から2014年7月14日

相手国機関名

(和)保健省本省、保健省東ビサヤ地域局、レイテ州保健局、オルモック市保健局
(英)Department of Health, Department of Health(DOH)-Center for Health Development, Eastern Visayas, Provincial Health Office-Leyte, City Health Office-Ormoc

背景

フィリピンにおいては、約半数のお産が、第4子以上であることや前回の出産との間隔が24カ月以内であるなど、少なくとも一つのリスク要因を伴うとされている。2006年の家族計画調査によれば妊産婦死亡比は出生十万あたり162となっており、1998年の国家人口保健調査(National Demographic and Health Survey=NDHS)の172と比較して若干減少しているものの 、今後その減少が大幅に加速されないかぎり2015年までのMDG達成(出生十万あたり52)は無理であるとの見解が支配的である。一方、5歳未満児死亡率は過去15年の間に出生千あたり55(1998〜92年)から34(2003〜07年)へと、また乳児死亡率は同34から25へと減少傾向が認められ(NDHS:2008)、保健省では今後、新生児の死亡を抑えることで、MDG目標である5歳未満児死亡率21が達成可能であると見ている 。こうしたなかで保健省は、母子保健プログラムを最優先課題として、分娩ケアの質向上に焦点を絞った意欲的な母子保健政策(MNCHN政策=Maternal, Neonatal and Child Health and Nutrition:AO 0029, series of 2008) を発表し、活動の強化を図っている。

JICAは2006年3月より、母性の安全と新生児の健康改善を目標とし、緊急産科体制導入を中心とした母子保健サービスの質的改善をめざして、「母子保健プロジェクト」 を実施している。同プロジェクトはMNCHN政策を現場において実施し、その有効性をはじめて実証したという点で高く評価されており、さまざまなグッドプラクティスを生み出し、州内や地域内など対象地域以外にもインパクトを与えている。2009年10月に行われた終了時評価では、プロジェクト活動への地方自治体の積極的な関与によって、母子保健が地域の開発課題の中心に据えられ、国家戦略の基本的方針の下、地域のニーズに応じた、効率的な保健サービスの提供体制が作り上げられていることが確認された。同プロジェクトの終了を受け、プロジェクトの成果を地域内の他州にも広げるべく、保健省東ビサヤ地域局より要請がなされた。

JICAは2009年11月に詳細計画策定調査団を派遣し、要請内容の妥当性・必要性を確認した。その内容に基づき、2010年2月19日には討議議事録(以下R/D)が署名された。

目標

上位目標:

東ビサヤ地域の対象地域における妊産婦死亡比と乳児死亡率が減少する

プロジェクト目標:

東ビサヤの対象地域において安全な分娩および産前産後のケアを受ける妊産婦および新生児が増加する

成果

  1. 基礎的緊急産科・新生児ケア(BEmONC)サービス提供施設、またはMNCHN政策を実践する施設が増加する
  2. 公共部門の保健医療従事者のBEmONC/MNCHNサービス提供にかかる専門技術が向上する
  3. 質の高いBEmONC/MNCHNサービスを確立・維持するための保健省東ビサヤ地域局および州・市保健局のマネジメント機能が向上する
  4. BEmONC候補施設の保健区域において女性の健康チームが組織化され、運営される
  5. BEmONC候補施設の保健区域において、妊婦(とその家族)がBEmONC/MNCHNサービスを得るための政策的支援が強化される

活動

(成果1にかかわる活動)

1-1
BEmONC候補施設の機材状況を評価し、BEmONCおよびフィリピン健康保険公社の妊産婦ケア・パッケージ施設と認証されるために必要な機材のギャップを確認する。
1-2
BEmONCならびにMCP認証に必要とされる機材を候補とされる町保健所/地区保健所ならびに病院に対して供与する。
1-3
MCP認証申請と保険金還付申請について町保健所/地区保健所とバランガイヘルスステーションを対象とした事務手続きの支援を提供する。
1-4
対象施設の機材維持管理システムの確立を支援する。

(成果2にかかわる活動)

2-1
BEmONC研修施設としての東ビサヤ地域医療センターのキャパシティ・ビルディングと機材供与を行う。
2-2
保健省東ビサヤ地域局Family Health Clusterが研修の実施に必要とされる機材を供与する。
2-3
保健省東ビサヤ地域局が女性の健康チームの研修の実施に必要とされる教材を作成する。
2-4
レイテ州とオルモック市のBEmONC候補施設の保健医療従事者を対象としたBEmONC研修を実施する。
2-5
第1次医療施設における妊産婦・新生児ケアのサービス提供マニュアル(CMMNC)に準拠した研修をすべての町保健所/地区保健所の保健医療従事者を対象として実施する。
2-6
BEmONC候補施設の傘下にあるバランガイヘルスステーションの助産師を対象としたBEmONC研修(助産師版)を実施する。
2-7
BEmONC研修後の受講者への専門技術レベルを維持するためのアセスメントを実施する。
2-8
町保健所/地区保健所と病院において定期的に妊産婦死亡症例検討会/新生児死亡症例検討会を実施する。

(成果3にかかわる活動)

3-1
定期的に合同調整委員会と地域運営委員会が開催される。
3-2
レイテ州とオルモック市においてプロジェクト執行委員会が実施される。
3-3
レイテ州自治体間保健連携ゾーン技術管理委員会とオルモック市地区保健所所長に対してプロジェクトに関するオリエンテーションを実施する。
3-4
レイテ州ILHZ理事会およびオルモック市保健理事会に対してプロジェクトに関するオリエンテーションを実施する。
3-5
州・市レベルおよびILHZレベルで妊産婦死亡症例検討会/新生児死亡症例検討会を定期的に実施する。
3-6
MNCHNプログラム・マネジメントにかかる本邦研修を行う。
3-7
MNCHN/EmONCにかかるモニタリング書式を改訂し、活用する。
3-8
町保健所や保健医療従事者に対して、正しい保健情報記録(保健所利用者基本台帳など)記入方法についての指導を行う。
3-9
ILHZを通してリファラル・システムの実施を支援する。
3-10
プロジェクトを通して得た成果や教訓を、地域・国レベルの会議等の場で報告/宣伝する。

(成果4にかかわる活動)

4-1
WHTガイドを作成する。
4-2
州・市レベルでWHTの組織化を推進するコア・チームを編成し、活動展開のための戦略を策定する。
4-3
WHTガイドの活用について指導者向けオリエンテーションを実施する。
4-4
WHTガイドを活用してBEmONC候補施設の町保健所/地区保健所に対するオリエンテーション/研修を実施する。
4-5
コミュニティにおけるWHT活動をモニター・支援する。
4-6
WHTの大会を開催する。
4-7
WHT活動の有効性を計る調査を実施する。

(成果5にかかわる活動)

5-1
母子手帳あるいは妊婦カード(母子手帳の簡易版)の印刷と配布を地方自治体などへ働きかける。
5-2
MNCHN支援の予算増額の必要性についてILHZを通じて働きかける。
5-3
MNCHN支援のためのフィルヘルスの経済困窮世帯向け「貧困者プログラム」への加入促進を、ILHZを通じて働きかける。
5-4
MNCHNサービスの持続に必要な自治体レベルの財政・規約メカニズムの改善に向けてILHZを通じて支援する。

投入

日本側投入(総額4.2億円):

  1. 専門家派遣(76MM)
    母子保健、研修管理
  2. 研修員受け入れ(4名)
  3. 供与機材
    BEmONC/MCPサービス提供施設に必要な機材
    研修用資機材(コンピューター、プロジェクターなど)
  4. その他(プロジェクト活動費)

相手国側投入:

  1. カウンターパート人件費
  2. 施設手配(プロジェクト事務所)
  3. その他(ローカルコスト負担)