プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)コーディレラ地域保健システム強化プロジェクト
(英)The Project for Cordillera-wide Strengthening of the Local Health System for Effective and Efficient Delivery of Maternal and Child Health Services

【画像】

対象国名

フィリピン

署名日(実施合意)

2011年11月23日

協力期間

2012年2月1日から2017年1月31日

相手国機関名

(和)保健省 コーディレラ地域局
(英)Department of Health Center for Health Development - CAR

背景

フィリピン共和国北部のルソン島に位置するコーディレラ地域は、言語と文化の異なる先住民族が全住民の70パーセントを占めており、これらの人々は山岳部に居住することから地理的にも孤立しており、保健サービスへのアクセスが悪い。貧困層の割合も全国平均より高く、同地域のアブラ州及びアパヤオ州は全国の最貧困10州の中に位置づけられている。こうしたことから、保健省は同地域を「地理的に孤立した不利な地域」と位置づけ、保健プログラムの優先実施地域としている。コーディレラ地域では、(1)保健人材の絶対数の不足に加え、訓練を受けた保健人材が不足している、(2)多くの保健医療施設において適切な保健サービスの提供に最低限必要な機材が未整備である、(3)医薬品が不足している、(4)リフェラルシステムが効果的・効率的に機能していない、(5)適切な保健サービスの提供に必要とされる十分な保健予算が確保できていない、といったサービス提供側の問題がある一方で、多くの住民が(1)文化的宗教的理由から適切な医療にアクセスしない、(2)ユーザーフィーや医薬品のコストが負担できない、(3)保健サービスに関する知識がない、といったサービスの受け手側の問題も並存し、プログラムの効果的実施が難しい状態にある。

目標

上位目標

コーディレラ地域における人々、特に女性と子供の健康状況が改善する。

プロジェクト目標

コーディレラ地域において、母子保健サービスが効果的・効率的に提供されるための保健システムが強化される。

成果

1. プロジェクト対象サイトの保健のガバナンスと財政が、ILHZの機能を通じて強化される。
2. プロジェクト対象サイトの母子保健サービス提供の枠組みが強化される。
3. プロジェクト対象サイトの病院と町保健所が保健省からBEmONCサービスが提供できる施設として認定される一方、町保健所はフィリピン健康保険公社により、MCP施設であると認証される。
4. プロジェクトの教訓と活動にかかる普及活動が国内に向けて行われる。

活動

1-1. CHD-CARは、KPの枠組みとMNCHN政策に沿った地域保健システムの研修モジュールを作成する。
1-2. CHD-CARは対象サイトにおいて、ILHZ再編のためのオリエンテーション・ワークショップを開催する。
1-3. 対象サイトにおいて、ILHZの共同保健信託基金(Common Health Trust Find, CHTF)に関して、手続きの改善を図るなど、活用の仕組みを構築する。
1-4. 対象サイトにおいて、母子保健政策を反映したILHZ計画を策定する。
1-5. 対象サイトにおいて、地方自治体に対し、フィリピン健康保険公社の経済困窮世帯向け「貧困者プログラム」加入を働きかける。

2-1. CHD-CARは、MNCHNマニュアルをコーディレラ地域向けに改訂する。
2-2. 対象サイトにおいて、ベンゲット州のリファラルマニュアルを適用したリファラルを強化する。
2-3. CHD-CARは州保健局に対しMNCHNマニュアルの研修を実施する。
2-4. 妊産婦死亡症例検討会のための研修をCHD-CARに対して実施する。
2-5. 対象サイトにおいてCHD-CARは、妊産婦死亡症例検討会を含めたMNCHN政策全般に係るモニタリングを定期的に行う。
2-6. CHT活動実施のマニュアルをコーディレラ地域向けに改訂し、州レベルに適用する。
2-7. CHD-CARは、地域の文化に適した母子保健プログラム促進のための教育ツール(視聴覚教材など)を作成する。
2-8. 対象サイトにおいてCHD-CARは、州保健局と町保健課に対し、「バランガイの保健に関する緊急事態に備えるための計画」を策定しモニタリングする方法を研修する。

3-1. CHD-CARは、対象サイトの機材ニーズについて既存の施設マッピングを再評価する。
3-2. 対象サイトにおいて、BEmONC施設のBEmONCチームに対し研修を実施する。
3-3. 対象サイトにおいて、助産師を対象として助産師版BEmONC研修を実施する。
3-4. 対象サイトにおいて、BEmONC施設に医療機材を供与し、機材保守管理の体制を整備する。
3-5. 対象サイトの町保健所に対し、フィリピン健康保険公社のMCP認証申請と保険金還付申請のための支援を行う。

4-1. CHD-CARに対し、プロジェクト実施を通じて得られた知見や教訓を広く共有するための技術研修を実施する。
4-2. プロジェクトの広報資料を作成し、配布する。
4-3. 保健省の年次総会やドナー会議などの場を通じて、プロジェクトの教訓や活動を広く共有する。
4-4. プロジェクトの成果や教訓を広く共有する目的で、全国セミナーを開催する。

投入

日本側投入

1)専門家派遣(100MM)
・保健システム、母子保健、研修監理、その他、必要に応じて

2)機材供与
・医療機材、研修機材、プロジェクト・オフィス用機材、他必要機材

3)活動費
・保健システム、母子保健などに係る本邦研修、現地国内研修、教材など

相手国側投入

1)カウンターパート人材配置
・プロジェクト・ディレクター(保健省次官)
・プロジェクト・マネジャー(保健省国際課長)
・プロジェクト・コーディネーター(CHD-CAR局長)
・地域レベル、州レベル、町レベルの保健局長及びスタッフ

2)施設
・プロジェクト執務室(CHD-CAR、アブラ州、アパヤオ州)
・BEmONCやMCPの認証に必要な保健施設拡充にかかる費用

3)活動費
・プロジェクト・オフィス電気代、水道代、電話代、インターネット代など
・対象サイト以外のBEmONC認定に必要な機材
・CHD-CARスタッフがモニタリングやフィールド訪問に必要な交通費
・ワークショップや会議開催のコスト・シェアリング
・コミュニティ・ヘルス・チーム(Community Health Team, 以下CHT)メンバーのキャパシティ・ビルディングに必要な費用
・研修員の国内移動交通費
・研修員の日当
・CHTへの金銭的インセンティブなど
・保健サービス供給に必要なロジスティックと必需品