はじめに

プロジェクトが始まって約1年と2ヶ月が経過しました。

前半の半年間で、フィリピンにおけるミルクフィッシュ養殖の現状と、養魚家を取り巻く社会経済状況や経営状況を把握し、本プロジェクトが取り組むべき課題が明らかになり、プロジェクトの方向性を確認しました。ローカルコンサルタントを動員した包括的な社会経済調査を実施し、その結果は「養殖業の現状と課題に関する調査報告書」として纏められました。

後半の半年間では、同調査結果を踏まえて、カウンターパート機関であるNIFTDCとナウハン(オリエンタル・ミンドロ)のふ化場を技術的に支援するとともに、パイロットサイトで活動を立ち上げ、対象地の養魚家と普及員に研修を行いました。その評価は抜群で、参加者の多くがこのプロジェクトに興味を示すとともに、その後のパイロット活動に積極的に参加してくれるようになりました。

NIFTDCでは、取水施設の不備や指揮系統などふ化場運営上の諸問題に直面し、技術的な支援だけでは、飛躍的な増産を達成できない現実に、プロジェクト団員全員が愕然としました。これらの問題点を解決するには、ふ化場運営の基礎的な部分を含めて支援し、総合力を高めていく以外にはないことを実感しています。ナウハンふ化場に対しては、ミルクフィッシュ稚魚を生産できない現実を踏まえ、当地で稚魚生産するための最低限のインプットは何か、という観点から提言書を作成し、今年度から本格的な支援が始まります。

パイロットサイトでは、現在合意書(MOA)を交わしている8つの活動のすべてが始まりました。これまでの活動で、それぞれの地域でパイロット活動として取り組むべきテーマもはっきりしてきました。

  1. オリエンタルミンドロ:モジュラーシステムを使ったグループアプローチの可能性を追求することで、養殖普及分野における貧困対策として、ひとつの方法論を提供する。
  2. パンパンガ:塩分濃度0に適応した稚魚配布の普及で、パンパンガに中間種苗育成という新たなビジネスを導入する。
  3. パンガシナン:天然餌料を有効に利用するため、天然餌料のひとつであるラブラブを大量に栽培し、それを加工して生産するドライ・ラブラブの普及を試みる。それによって、年間を通した天然餌料利用の可能性を追求する。

実質的に活動が始まってからまだ14ヶ月足らずですが、カウンターパートと共にいろいろなアイディアを出しながら試行錯誤でプロジェクトを進めています。まだま乗り越えなければならない壁はたくさんありますが、ひとつひとつ着実にして行きたいと思います。

総括 北窓 時男

以上