プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)灌漑水管理能力向上プロジェクト
(英)Project for Water Management and Capaity Building

対象国名

ルワンダ

署名日(実施合意)

2018年9月27日

協力期間

2019年4月1日から2024年3月31日

相手国機関名

(和)ルワンダ農業庁
(英)Rwanda Agriculture Board

背景

当該国における農業セクターの現状と課題

ルワンダ共和国(以下、「ルワンダ」という。)において農業セクターはGDPの約34%(2013年、世界銀行)を占める主要産業であり、全人口の約70%が従事している。ルワンダは、国家開発計画として2007年に第2次経済開発貧困削減戦略を策定し、農業を重点分野の一つに定め、農業生産性を向上させ、農民の収入の安定化を図ることを重要な開発優先課題の一つとして位置付けている。このために、ルワンダ政府は農業セクターの中期計画であるPSTA4(Strategic Plan for the Transformation of Agriculture in Rwanda Phase 4:2018-2024)において、灌漑開発可能な土地約59万ha(ルワンダ灌漑開発マスタープラン(2010)による推計)のうち、48,508ha(2017年)に過ぎない灌漑面積を、目標年である2024年までに10万haまで増加させ、天水依存型農業の脱却を目指すとしている。中でもルワンダ東部県及び南部県は半乾燥地帯に属しているが低湿地が広がり灌漑開発のポテンシャルが高いとされている。
ルワンダ政府は、これまで政府主体で行っていた灌漑施設の維持管理について、農民主体の水利組合(Irrigation Water Users Organization:IWUO)に移管し管理を実施させる灌漑施設管理移管(Irrigation Management Transfer:IMT)の実施を促進するべく、農業・動物資源省傘下のルワンダ農業庁(Rwanda Agricultural Board:RAB)に水利組合支援ユニット(IWUO-SU)を設け、既存の灌漑施設を活用する農協を水利組合に移行させる支援を行っている。しかしながら、IMTにかかる行政手続き及びIWUOの登録制度等もいまだ十分に整備されていないことに加え、IWUOの運営能力強化などを技術的に支援するIWUO-SUについても技術的知見や経験の不足からIMTにかかる合意を結んだIWUOは極めて少数に留まっている。
このような状況下、ルワンダ政府は、IWUO-SUの能力強化を通じ、IWUOの組織運営体制の強化を行い、段階的にIMTの実施、灌漑施設の維持管理及び水管理能力向上に資する人材育成にかかる技術協力「灌漑水管理能力向上プロジェクト」(以下、「本事業」という。)の要請を行った。

目標

上位目標

IWUO(灌漑水利組織)による灌漑地区管理のモデルがターゲット郡で実践される。

プロジェクト目標

モデル地域においてIWUOによるスキーム管理能力が向上する。

成果

1.IMTの実施手順、IWUOの支援体制(役割分担を含む)、支援内容及びモニタリング手法を明確にする。
2.モデル地区におけるIWUOの組織強化が図られる。
3.モデル地区における灌漑施設の維持管理が適正に行われる。
4.モデル地区における水管理が適正に行われる。
5.モデル地区における営農活動が促進される。

活動

1-1.ベースライン調査を通して、現在のIMTの実施手順の課題を整理する。
1-2.ベースライン調査を通して、IMT推進及びIWUOの支援に係る役割分担の課題を整理する。
1-3.ベースライン調査を通して、IWUOの支援システムの課題を整理する。
1-4.合同調整委員会(JCC)での承認により、モデル地区を選定する。
1-5.上記課題に対する改善活動を実施する。
1-6.改善状況のモニタリングを実施する。
1-7.IMTの実施手順、支援体制(役割分担を含む)、支援内容及びモニタリングについてのIMT実施マニュアル(案)を作成する。
1-8.カウンターパート(C/P)がIWUOの政策・戦略と省令の改正案作成を支援する。

2-1.ベースライン調査を通して、現状を整理し、例えばIWUOの登録、内規や規則、IMTAの条件、農協との連携、水利権等の課題を整理する。
2-2.上記活動2-1を踏まえて、例えばリーダーシップ、会計、総会・理事会及び農協との連携等のIWUO管理に係る改善計画を作成する。
2-3.改善計画を踏まえ、C/Pを講師として育成する。
2-4.IWUO運営強化マニュアル(案)を作成する。
2-5.モデル地区においてC/P講師によりIWUOの研修を実施する。
2-6.上記2-5の実践を踏まえ、マニュアルの改善を行う。
2-7.IWUO管理のモニタリング・評価システムを立ち上げる。
2-8.モニタリング及び評価を実施する。

3-1.ベースライン調査を通して、灌漑施設の維持管理の現状及び課題を整理する。
3-2.上記活動3-1を踏まえ、モデル地区の維持管理計画(案)を作成する。
3-3.維持管理計画(案)を踏まえ、C/Pを講師として育成する。
3-4.維持管理マニュアル(案)を作成する。
3-5.モデル地区においてC/P講師によりIWUOの研修を実施する。
3-6.上記活動3-5の実践を踏まえ、マニュアルの改善を行う。
3-7.モニタリング及び評価を実施する。

4-1.ベースライン調査を通して、灌漑地区の水管理及び圃場レベルの水管理の現状及び課題を整理する。
4-2.上記活動4-1を踏まえ、モデル地区の水管理計画(案)を作成する。
4-3.水管理計画(案)を踏まえ、C/Pを講師として育成する。
4-4.水管理改善マニュアル(案)を作成する。
4-5.モデル地区において、C/P講師によりIWUOの研修を実施する。
4-6.上記活動4-5を踏まえ、マニュアルの改善を行う。
4-7.モニタリング及び評価を実施する。

5-1.ベースライン調査を通して、普及体制、営農に係る現状及び課題を整理する。
5-2.関連プロジェクトの実施を通して得られた経験や教訓をもとに、適切な営農技術を抽出する。
5-3.適切な営農技術を踏まえ、C/Pを講師として育成する。
5-4.営農研修テキストを作成する。
5-5.モデル地区においてC/P講師により研修を実施する。
5-6.モニタリング及び評価を実施する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣:総括/灌漑政策、灌漑水利組織、維持管理/水管理、営農、業務調整/研修等
2.本邦研修及び第三国研修:灌漑施設維持管理、水利組合等
3.機材供与:プロジェクト実施に必要な機材

相手国側投入

1.カウンターパート(C/P)配置:プロジェクト・ダイレクター、プロジェクト・マネージャー、日本人専門家と活動する中央、県、郡レベルにおけるC/P
2.プロジェクト事務所(RAB内に設置)及び県事務所内の作業スペース
3.現地活動費(プロジェクト事務所等の光熱費、通信費等)