TICAD VI 記念シンポジウム「UHC達成に向けた保健人材課題へのアプローチ−世界の潮流の中で地域ネットワークが果たす役割」開催

2016年9月8日

2016年9月6日−7日

今回のシンポジウムはRVT総会(9月7日および8日)の翌日、「UHC達成に向けた保健人材課題へのアプローチ-世界の潮流の中で地域ネットワークが果たす役割」と題して、国立国際医療研究センター(NCGM)5階の大会議室に、仏語圏12か国からのRVTネットワーク関係者、JICA関係者、NCGM関係者、省庁関係者(外務省、厚生労働省)、在日本大使館関係者(セネガル、ガボン、コートジボワール)、一般参加者、メディアと約150名の参加で開催されました。

セネガルでの「僻地における医療従者者の定着」ビデオ上映のあと、世界保健人材連盟(GHWA)の初代事務局長を務めたフランシス・オマスワ氏の基調講演「アフリカにおける保健人材開発の課題と可能性」では世界の保健人材の3%しかアフリカが占めるにすぎないがアフリカ人自身のリーダーシップが重要であることを強調しました。その後、設立から5年目を迎えたRVT概要紹介、セネガル国僻地での人材定着調査結果発表、RVTを軸にした「西アフリカでおけるエボラウィルス病流行対策へのコンゴ民主共和国の貢献」の事例発表がおこなわれました。僻地での人材定着調査結果では、僻地手当支給より公務員としての安定した身分を求めていることが示唆されたとの報告があり、島根大学・山口学長より、日本の僻地への人材定着対策としての島根大学の取組の紹介がありました。RVTメンバーも一定年度を僻地で勤務することにより学費が免除されるなどの仕組みに関心を示していました。WHO AFRO地域事務所アメット氏も「アフリカの保健人材UHCへの挑戦」と題して、講演を行いました。

当シンポジウムの要となるパネルディスカションでは「保健人材課題解決のための地域ネットワークが果たすべき役割及びRVTの今後の展望」をテーマに6名のパネリストが議論を交わしました。会場の参加者からも活発な意見や質問があり、アフリカ諸国の連帯感の力強さやネットワークが継続している理由をこのシンポジウムで十分に理解したというコメントもありました。一方で、ネットワークでは加盟国での共通課題について、地域で共通して活用できる政策文書モデルを策定しているが、それぞれの加盟国が自国の背景に即して修正し、政策策定するに至っていないことがネットワークの活動としての課題として挙げられました。

シンポジウムの最後にRVTメンバーが「東京宣言」をまとめ、加盟国政府やWHOに対して、UHC達成のために保健人材開発介入のさらなる強化、日本に対して、保健システム強化の柱となる保健人材開発への支援継続を訴えました。また、RVT事務局としては各RVTメンバーが効果的・持続的解決策を探求できるようにリーダーシップを発揮し、メンバー国で分担金を拠出して、持続的資金支援のメカニズムに向けて、努力することを宣誓しました。(以上)

文責:専門家(業務調整)岡安利治

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会場の様子

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パネルディカッション

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「東京宣言」引渡し スカンデラ・ジョフRVT事務局長(右)と滝澤郁雄人間開発部次長(左)