ブルキナファソ国iHRIS(保健人材情報システムソフトウエア)経験共有ワークショップ開催

2017年12月14日

2017年12月12日から14日

サハラ以南アフリカ諸国の保健人材開発支援の大きな柱の一つとして、質の高い保健人材情報システムの構築があります。プロジェクト対象国の多くは、正確な保健人材情報(配置、職種、雇用形態、年齢、退職予定時期等)が不足しているために、透明性を持つ民主的な保健人材計画を作成できず、また保健人材の配置計画やそのモニタリングの実施が困難になっています。RVT2010は、仏語圏アフリカの保健人材ネットワークとして、保健人材情報システム等の保健人材開発に関わる成功事例の経験共有をおこなってきました。特にマリ国やセネガル国でUSAIDの支援により促進されてきたiHRIS(注)と呼ばれるソフトウェアの活用事例等の経験共有をしてきています。セネガルでは推測15,000人の保健人材のうち、12,966名、ポスト数(空席含む)16,149が保健省のiHRISソフトウェアに登録されています(記事執筆時点)。

今回はブルキナファソ国RVTメンバーから、同国保健省にiHRISを導入したいという要請が上がり、同国保健省関係者14名、同じく導入を検討しているガボン国保健省人材局関係者4名、セネガル保健省3名、RVT事務局から2名の計23名を集め、ワガドゥグ市内の会議室で3日間経験共有ワークショップを開催しました。JICAブルキナファソ事務所小林所長、保健省ボンクング技術顧問の開会挨拶のあと、ブルキナファソ国保健人材情報システムの現状、ガボン国保健人材情報システムが紹介されました。さらに、セネガル国保健省人材局関係者から、過去7年間iHRISを活用した保健情報システムの現状が報告されました。単にデフォルト版をそのまま導入するのではなく、各国の現状にあった形で導入することの重要性が強調されています。例えば、iHRISではスタッフの給与額なども登録できるのですが、セネガルでは第三者に給与額がわかることは好ましくないと考えられているため、現段階では入力されていません。また、各スタッフの研修参加歴も記録できますが、人材管理情報システム入力者(管理者)の負担が増大するため、今のところ、セネガルでは導入されていません。

その後、セネガル国人材局コンピュター技師がセネガル国保健省に導入したiHRISに実際に接続して、デモンストレーションを行いつつ、パラメーター設定やパスワード設定などの技術的な説明を行いました。

2日目はセネガル国保健省人材局関係者から、現実的にiHRISを導入するにあたって必要となる、開発パートナーへの働きかけ、指標(パラメーター)設定、入力の基盤になる人材シート、指導者マニュアル作成等が段階的に紹介されました。全体討議を行いつつ、ブルキナファソ国およびガボン国でのiHRISシステムに移行する戦略を確認しました。

最終日は、iHRISを導入した保健人材情報システムのモニタリング・評価方法を全体で議論し、今後のアクションプランを話し合いました。

当プロジェクトでの支援は、当該国の中央レベルでの導入部分に留まるため、県レベル、保健区レベルにシステムを広げていくには他のドナーとの連携が必要であり、加盟国RVTメンバーのリーダーシップが問われます。同様のワークショップはベナン国でも2017年3月に実施しており、2019年3月プロジェクト終了までにどこまで進むのか期待が高まります。

(注)iHRISはUSAIDの支援で開発された、保健人材管理に特化したWebベースで稼働するオープンソースの無料ソフトウェアです。予算の限られた途上国、特にアフリカを中心に導入されています。

文責 専門家(業務調整)岡安利治

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ワークショップ参加者集合写真