本邦研修で保健政策の重点分野に沿ったアクションプランを策定しました

2019年12月12日

10月24日~11月7日にかけて、本邦研修を実施しました。研修は、日本での学びを日々の業務やプロジェクトの活動へ活用することと、さらなる連携強化を図ることを目的としています。PARSS2の重要なカウンターパートである保健社会活動省の保健公衆衛生総局アドバイザー、計画調査統計局計画課課長、活動を実施しているカオラック州、ジガンショール州、ファティック州の医務局長3人、国立保健社会開発学校ジェネラルスーパーバイザー、ティエス州保健研修センター校長の合計7人が参加しました。

研修プログラムは東京と東北地方(宮城県)の2カ所で実施しました。東京では、厚生労働省や国立国際医療研究センターを訪れ、日本の保健医療政策や保健システムに関する講義と意見交換を通して、セネガルと日本の保健システムの共通点・相違点について学びました。セネガルは、より中央集権的な保健システムであり、公的セクターによる保健医療サービスの提供が大きな割合を占めています。最も重要な保健政策のひとつとして国民の健康保険・共済の加入も推し進めています。研修員から、日本の保健システムで印象に残ったこととして、日本では県レベルでの保健政策の策定が重要で地方分権が進んでいること、民間セクターによるサービス提供が7割以上を占めているにもかかわらず公的セクターと民間セクターの診療費は統一されており患者の負担は変わらないこと、国民の健康保険は強制加入であることなどが挙げられました。

東北地方では、東北大学病院、東北メディカル・メガバンク機構(東北大学)、石巻保健所、石巻市役所での講義、視察、意見交換を通して東北地方における地域保健医療システムについて学びました。東日本大震災の経験から有事に備えた保健行政の取り組みについても理解を深めました。セネガルでも日本でも、県や市が疾病の予防や公衆衛生、社会環境の整備など地域住民の健康増進に大きな責任を担っています。日本の場合、災害などの緊急時は保健医療・福祉、消防などマルチセクターで連携する仕組みが構築されており、研修員からは「セネガルにおいても、こういった事例を参考に地方での活動や緊急時対策を進めたい」という声や、5Sが実践されている様子について、「訪問先はもちろん、日本の至るところが整理整頓され清潔であることに感銘を受けた」との声が聞かれました。

プログラム終盤、本研修のまとめとして、主な学びを洗い出し、セネガル保健政策の重点優先分野である1)ガバナンスと保健財政、2)サービス提供、3)社会保障の3分野に沿って整理しました。そのうえで、研修員全員とPARSS2のアクションプランを策定しました。PARSS2では、本研修で策定されたアクションプランに基づいて、次年度の活動を進めていく予定です。

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東北大学病院にて施設見学

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東北大学東北メディカル・メガバンク機構にて、血液などの生体試料を保存した「バイオバンク」の見学

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石巻保健所での意見交換

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石巻市役所 健康部の概要と自治体保健師の活動(通年、災害時)について講義を受ける

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JICA本部にて策定したアクションプランの発表

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アクションプラン発表後の記念撮影