「国家乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト」プロジェクトがスタートしました

2016年6月22日

セルビア共和国ではがんによる死亡が心臓血管病についで2番目に多く、このうち乳がんは各種がんの中で最も高い罹患率、女性における最も高い死亡率を示しています。この高い死亡率の背景として、早期発見の遅れ、検診や治療に必要な機器の不足、医師や医療技術者の不足、研修の機会の不足などが考えられています。

この状況に対して、セルビア政府は2009年にがん対策プログラム、および乳がん予防プログラムを制定しました。2010年には日本から39カ所の保健医療施設に対してマンモグラフィー(乳房X線撮影装置)と関連機器が供与され、その後2012年のEUによるマンモグラフィーと関連機器の供与も併せ、国内の乳がん検診の環境は整いつつあります。2013年には乳がん予防プログラムに変わる乳がん早期発見プログラムを制定され、現在は本プログラムのもと乳がん対策を実施しています。しかし一方で、本プログラムは乳がんの早期発見における各組織の役割やプロセスの記述にとどまっており、具体的な目標設定や目標達成に向けた計画や手段の記載など、乳がん早期発見の改善に向けた具体的な道筋が示されておりません。

これらの状況を改善すべく、2015年11月、セルビア共和国保健省のイニシアチブのもと、JICA技術協力「国家乳がん対策プログラム改善プロジェクト」が開始されました。本プロジェクトは国家乳がん早期発見プログラムの責任部局の計画立案、実施支援、モニタリング評価に関する能力強化を行うことで、プログラムをより効率的、効果的に実施し、乳がん検診率の改善による早期発見率の向上、ひいては乳がんによる死亡率の減少を目指しています。

プロジェクトの開始にあたって、保健省は同省公衆衛生セクターと国際協力セクター、がん・放射線専門病院、公衆衛生院等より選出された専門家からなるナショナルタスクフォースを発足させました。プロジェクトではこのタスクフォースの構成員をカウンターパートとし、乳がん対策を進めていきます。

参考資料1:日本から供与されたマンモグラフィーのパンフレット(JICAwebサイトより、セルビア語)

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