現場の様子:健康推進員と村落保健委員を対象とした研修の実施(その1)

2018年4月6日

2017年11月~12月に実施された健康推進員研修の第2部として、健康推進員の村での活動を支援する村落保健委員にも参加してもらい、それぞれの村の問題分析を通じて、優先課題の選定し、実現可能な活動プランを立ててもらった。

2018年3月1日~9日 マキラ・ウラワ州ウラワ島にて研修を実施

2月28日、ホニアラからプロジェクトチームがウラワ島に到着した時には曇り空だったが、夜中から夜明けにかけて大雨になった。「この大雨の中、参加者はちゃんと来てくれるのだろうか」と心配しながら、研修初日の朝、プロジェクトチームは会場で待っていた。

というのも、今回の研修を実施するウラワ島は、66平方キロメートル(沖縄県久米島と同じくらい)、人口3,300人程の小さな島。ここには十数台のトラックがあるが、幌が付いていない為、雨になると荷台に乗っている人たちはずぶ濡れになってしまう。今回プロジェクトで借り上げたトラックも、例外ではない。

一番遠い対象村から研修場所までは、トラックで約1時間。しかし、集合時間に参加者全員がちゃんと集まっているとは考えにくい。「ソロモンタイム」で9時に研修を開始するためには、朝6時には最初の村で研修員を乗せ、移動を開始しなくてはならない。朝4時頃には迎えのトラックが出発したのは確認しているが…。

8時半過ぎ、参加者20名を乗せたトラックが研修場所に到着。「この大雨の中、本当によく来てくれた!!」感動の瞬間だった。

【画像】パラソルやビニールシートを駆使して雨を凌ぎ、トラックの荷台に揺られながら大雨の中研修会場に到着した参加者

2日間の研修を通じて、各村の健康推進員と村落保健委員はビレッジプロファイリング(村の保健関連情報を収集し整理すること)を行い、活動計画を作成した。

活動計画には、トイレ(ぼっとん便所のような簡単なもの)の建設や、生活習慣病や健康に関する啓発活動実施、家庭菜園を広める、衛生上家畜の糞が周辺にないようにするため家畜用フェンスの設置やゴミ収集等が上げられ、それぞれの村の健康推進員と村落保健委員は、自分達で決めた優先課題に取組むこととなる。

【画像】マジョア村活動計画について話し合っている様子

【画像】アロアハ村の健康推進員と村落保健委員の話し合い

一般的に炭水化物の芋やバナナ、お米やインスタントラーメンばかり食べているソロモン人の食習慣を改善するため、3日目以降は、州の農業局と協力して、家庭菜園(ソロモンでは「スプスプ・ガーデン」と呼ばれることが多く、スプスプはスープからきているという。スープに入れる野菜を育てるという意味らしい)の研修を行った。肥料の作り方、野菜の育て方についての講義とデモンストレーションを行った。

ここ、ソロモンでは、写真のサンプルのように葉野菜は比較的頻繁に食べられているようだが、雨が続く等の理由から自分達の畑(1-2時間歩くケースも多くある)まで出掛けられない日が続くと、緑黄色野菜が食卓に上がらない日もあるという。よって、「スプスプガーデン」で育てた野菜を毎日の食事に使い、生活習慣病の予防に役立てもらいたいという考えから、この研修を実施している。

また、プロジェクトではたんぱく質の摂取についても指導している。しかし、実態としては、動物性たんぱく質を取る機会は少なく、豆やナッツ等の植物性たんぱく質も紹介しながら、今後も更に工夫を重ねていく必要がある。

【画像】ある家庭での食事。

【画像】別の家庭での食事

さて、ウラワ島の対象村の1つにアロアハというところがある。ちょっと「アロハー」にも似ていてハワイを連想させるこの村には、ワイキキのようなビーチも。

【画像】誰も人がいない、静かすぎるアロアハのビーチ

ウラワでの研修終了後、プロジェクトチームはウラワ島からマキラ島のキラキラというマキラ・ウラワ州州都にボートで移動。天候不順のため、うねる波、水しぶき、雨と風でボート は大揺。3時間の移動の間、大海に胃液をまき散らす専門家もいた。

その2に続く