(和)南部スーダン都市水道公社水道事業管理能力強化プロジェクト
(英)The Project for Management Capacity Enhancement of Southern Sudan Urban WaterCorporation
スーダン
南部スーダン、ジュバ及び地方都市
2010年7月8日
2010年11月14日から2013年11月13日
(和)南部スーダン政府水資源省
(英)Ministry of Water Resources and Irrigation (MWRI), Government of SouthernSudan
スーダン共和国では、20年以上にわたる政府とスーダン人民解放運動との間で内戦が続き、2005年1月の南北包括的和平合意(CPA)の締結の後、南部スーダンは暫定政府を樹立した。その首都となったジュバでは国内外からの帰還民により人口が急増し、現在では30万人から40万人程度と推計されている。しかし、都市インフラについては、内戦の影響で維持管理がほとんど行われてこなかったため、多くの施設が老朽化しており、住民へのサービス提供機能が著しく低下している。
ジュバの上水道施設は、1930年代に建設され、1970年代までは施設更新等も行われてきたが、内戦中はその他の都市インフラ同様に維持管理はほとんど行われていない。内戦前よりあった浄水場(7,200m3/日)は、2009年5月にマルチ・ドナー信託基金(MDTF)により修復されたものの、ジュバ地域内の商業や工業にも活用されていることもあり、人口の約8%程度をカバーしているに過ぎず、多くの市民はナイル川から取水され給水車によって運搬される高価で未処理の水や、塩分濃度の高い浅井戸の水に依存している。
ジュバの上水道は南部スーダン都市水道公社(South Sudan Urban Water Corporation:SSUWC)ジュバ支所(職員数164名)によって運営され、浄水場および送配水施設からなる水道施設の運転・維持管理、料金徴収等を行っている。しかし、施設の老朽化に加えて、上水道施設の運転・維持管理にかかる職員の知識・技術不足、運転・維持管理計画の欠如による場当たり的な問題対応、必要な維持管理資機材や予算の不足などにより、計画的かつ効率的な配水が困難な状態になっている。また、給水水質の検査・確認や市内の配水状況の把握、均等配水を目指すための配水制御も行われていない。
ジュバ支所の運営は、支出の80%以上を政府からの補助金に依存している。水道料金の徴収は、手書き台帳による管理など非効率な徴収システムに加えて、運転・維持管理に関する予算や年間計画がないため事業運営に必要な全体予算もはっきりしておらず、給水原価やこれをカバーするために必要となる料金水準も把握されないままに安価な定額制の料金体系を採用しており、事業運営に必要な経費を賄いきれていないとされている。
SSUWC本部(職員数38名)は、こうした各支所が抱える技術的・制度的な問題に対する指導監督を行うとともに、支所運営に必要な予算を確保・措置する立場にあるが、対といった支所の運営実態を把握する制度上の枠組みがない中で適切な支援を行うことができない状態となっている。
かかる状況の下、ジュバの給水事情の改善に向けて、SSUWCジュバ支所の水道事業運営管理能力の強化を目的とした本技術協力プロジェクトが要請された。これを受けてJICAでは2010年2月から3月にかけて詳細計画策定調査団が派遣し、プロジェクトの概要に関する合意を形成するとともに、2010年7月8日に南部スーダン政府財務計画省とJICAスーダン駐在員との間で討議議事録(R/D)が署名された。
1) SSUWCジュバ支所が提供する給水サービスの質が向上する。
2) SSUWC本部のジュバ支所以外に対するサポートが強化される。
運転・維持管理能力の改善を通して、南部スーダン都市水道公社ジュバ支所の水道事業運営能力が強化される。
1) SSUWCジュバ支所の取水・導水・浄水施設の運転・維持管理能力が向上する。
2) SSUWCジュバ支所の送配水施設の運転・維持管理能力が向上する。
3) SSUWCジュバ支所の水質検査能力が向上する。
4) SSUWCジュバ支所の財務状況に関する理解が向上する。
5) SSUWC本部のSSUWCジュバ支所サポート能力が強化する。
【成果1:SSUWCジュバ支所の取水・導水・浄水施設の運転・維持管理能力の向上】
【成果2;SSUWCジュバ支所の送配水施設の運転・維持管理能力の向上】
【成果3:SSUWCジュバ支所の水質検査能力の向上】
【成果4:SSUWCジュバ支所の財務状況に関する理解の向上】
【成果5:SSUWC本部のSSUWCジュバ支所に対するサポート能力の強化】
専門家(業務実施契約、8名(業務調整を含む)71.6MM)
機材供与(水質検査ラボ機材、水道事業に必要な観測機器、研修用コンピュータ、等)
携行機材(車輌、衛星インターネット施設)
本邦/第三国/現地での研修にかかる経費
カウンターパート、研修スペース、研修実施経費(燃料、消耗品)、免税措置