2014年11月28日
南スーダンでは、9月にサルバキール大統領が公共放送法案に署名し、国営の南スーダンTV・ラジオ(SSTVR)が政府から独立して「公共放送化」されることが決まった。
この公共放送にとって最も大切なのは、正確・公正な報道である。本プロジェクトでは、10月13日から24日まで、将来の公共放送を支えてゆく報道担当者を日本に招いて研修を実施した。研修には、南スーダンTV(SSTV)とラジオ(SSR)から編集長と記者合わせて4人が参加し、ニュース取材やリポート作成に取り組んだ。SSTVRの記者たちは、これまで政府の情報に頼った原稿を作成するのみで独自の視点に基づくニュースリポートを作成した経験がほとんど無い。そのため研修では、テーマの設定、取材、構成、リポートの収録、更には映像編集を経験し、記者が自ら選んだテーマで質の高いリポートを作成できる能力を育成した。
折からNHKでは、年に一度の教育番組国際コンテスト「日本賞」の選考会が行われていた。研修参加者は企画提案部門にノミネートされているアフリカからの参加者を中心に取材し、テレビ放送を子供たちの教育にどのように役立てるべきかという視点からリポートを作成した。企画提案部門の最優秀賞には、研修生がスポットをあてたナミビアのプロデューサーが選ばれるという結果になり、同じアフリカ出身者の活躍に一同勇気づけられていた。このリポートは日本からインターネットで南スーダンに送られ、早速現地のテレビとラジオで放送された。参加者は研修を通じて、世界各国の放送人が日々奮闘している様子に刺激を受けた様子で、次回は自分たちも「日本賞」に番組を提案したいと意欲を見せていた。
公共放送の記者にとって大切なのは、政府の情報だけに頼らず、自ら取材を元に正確・公正な報道を実践することで、今後、研修に参加した記者たちが独自のニュースリポートを数多く放送し、視聴者の信頼を勝ち取ってゆくことを期待したい。
(澤 善規/副総括/放送局運営)