2015年6月22日
テレビ局長や技術部長、ニュースキャスターなど顔見知りの幹部や職員たちが次々と満面の笑顔で握手を求めてきた。SSTVRの敷地の中にあるプロジェクト事務所に着いた時、これまでの研修で親しくなったメンバーが集まってきたのだ。2013年12月発生したクーデター未遂事件以来、現地の治安が悪化したため、私たちのプロジェクトメンバーも南スーダンに入国できない状況が続いた。実に1年6ヶ月ぶりの首都ジュバでの活動再開だ。
南スーダンに入国できない間も、プロジェクトでは第三国で活動を継続し、ケニア、ウガンダ、アラブ首長国連邦、日本の各国に幹部や職員を招聘して研修を続けてきた。ジュバでは、これまでの研修で学んだ成果を実際にそれぞれの現場で活用してもらえるよう、技術・番組制作・報道の専門家がOJTを行う活動が中心になる。
まず、7月6日の独立記念日に向けた特集番組プロジェクトを立ち上げた。複数の番組の内容を検討するとともに、プロジェクトで行うべき共同作業の基本を指導している。また、職場環境の改善を目指しPCとLANを整備するため、各職場の業務フローを調査・検証し、適切なシステムを提供するための検討が進んでいる。
折しも新しい公共放送局の経営委員が大統領に指名され、SSTVR公共放送局化のプロセスが動き出した。経営委員の指名は、放送法に規定された手続きを経ず、大統領令によって突然発表された。現在、議会で審議されているものの、選出過程は透明性を欠き、メディア団体は議会に意見書を提出して、一部不適格な委員を排除するよう求めている。第三国研修に参加したSSTVR職員の多くは、公共放送局化されれば政府から独立した放送が可能になり、現状が改善されるという希望を抱いていた。今後、大統領と議会の駆け引きが続くものと予想されるが、SSTVRの職員が望んでいる国民に信頼される公共放送局となるため、中立・公正で見識の高い経営委員会が発足することを期待したい。
ニュース研修
番組制作指導(ロケ・インタビュー風景)