プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)南スーダン放送局組織能力強化プロジェクト
(英)The Project for Institutional Capacity Development of South Sudan Broadcasting Corporation

対象国名

南スーダン共和国

署名日(実施合意)

2012年8月23日

プロジェクトサイト

南スーダン共和国ジュバ市

協力期間

2012年12月1日から2018年3月31日

相手国機関名

情報省(Ministry of Information and Broadcasting)
南スーダンTV・ラジオ(South Sudan TV and Radio)

背景

南スーダン国は、2011年7月9日に、スーダンから独立した世界で最も新しい国である。20年にわたる長期の内戦の影響から、これまで国家運営に必要な制度が十分に確立されておらず、独立国家の政府機構を確立するための課題が山積している。
現在、国際社会の支援を得ながら国家建設を進めているが、民主的な国家建設のプロセスにおいては、「第四の権力」であるマスメディアの役割が重要になる。特に紛争終結直後の国においては、新国家が健全に運営され、かつ紛争再発を予防するよう監視する上で、メディアの果たす役割は極めて大きい。また、紛争の影響で国内のインフラが荒廃し、都市間の移動が制約されているのが現状だ。国民の生活に必要な情報(教育、保健、防災等の情報)を中央から地方に提供することが困難な状況を、メディアを通じて克服することが期待されている。
南スーダンでは、放送メディアに広告を提供できる企業が少なく、民間放送局は未発達であり、TV局は、最近放送を始めたシチズンTV(Citizen TV)以外は、国営南スーダンTV(South Sudan TV)のみである。ラジオについては、国営南スーダンラジオ(South Sudan Radio)の他、36局が登録しているが、ほとんどがドナー、国際機関、NGOが資金援助しているコミュニティFMである。また、メディアの独立性や財源不足の問題に加え、あらゆるメディアで、報道技術、放送機材維持管理、番組内容等の改善が課題となっている。
国内最大のカバーエリアを持ち、現在情報省傘下にある国営南スーダンTV・ラジオ(South Sudan TV and South Sudan Radio)は、今後、公共放送局化されることが予定されている。公共放送化された南スーダンTV・ラジオは、正確・公正な報道、多文化・多民族に配慮した番組制作を行うことで民主国家を支える健全な市民社会の形成に資することが期待されている。
しかし、公共放送局化に向けた具体的な計画は、まだ策定されておらず、職員は、放送機材維持管理及び番組制作に係る十分なトレーニングを受けた経験がなく、正確かつ公平な報道を行う能力が不足している。こうした背景から、南スーダンTV・ラジオの公共放送局化に向けたプロセスを支援するとともに、同局職員の人材育成を図ることが不可欠な状況にある。
本プロジェクトは、南スーダンTV・ラジオが公共放送局化に向けた課題と対処方針及び組織ビジョンをまとめるとともに、南スーダンTV・ラジオで、放送機材管理、番組制作、報道に携わる職員の能力を強化することで人材育成を図ることを目的として実施するものである。

目標

上位目標

南スーダンTV・ラジオによって、正確・公平・中立な情報が国民に届けられる。

プロジェクト目標

南スーダンTV・ラジオにおいて、正確・公平な情報を国民に届けるメディアに必要とされる人材が育成される。

成果

成果1:
南スーダンTV・ラジオにおいて、公共放送局化に向けた組織運営上の課題が明確化され、同課題解決のための対処方針及び組織ビジョンが纏められる。

成果2:
南スーダンTV・ラジオにおいて、職員の放送機材運用・維持管理にかかる能力が向上する。

成果3:
南スーダンTV・ラジオにおいて、番組制作を担当する職員の番組制作能力が向上する。

成果4:
南スーダンTV・ラジオにおいて、報道担当者のプロフェッショナリズム(正確・
公平な報道)に関する意識が向上する。

活動

1-1:南スーダン国のメディアの現状を把握するとともに、南スーダンTV・ラジオ及びその聴衆・視聴者にかかるベースラインデータを収集・分析する。
1-2:各国の公共放送局に関する情報提供を行う。
1-3:公共放送局化に向けた課題(持続的な経営を可能とする予算措置を含む)の抽出に必要な助言・指導を行う。
1-4:公共放送局化するための課題への対処方針作成に必要な助言・指導を行う。
1-5:公共放送局化するための組織ビジョン作成に必要な助言・指導を行う。
1-6:メディア法案に基づき、公共放送局化に向けた中長期ロードマップの作成を支援する。

2-1:放送機材の運用及び維持管理にかかる課題を分析する。
2-2:南スーダンTV・ラジオの機材担当部門に対し、放送機材の運用及び維持管理にかかるOJTを実施する。
2-3:OJTの結果を踏まえ、放送機材の運用及び維持管理にかかるマニュアル作成に必要な助言・指導を行う。

3-1:番組制作にかかる課題を分析する。
3-2:南スーダンTV・ラジオの番組制作部門に対し、番組制作の基礎研修及びOJTを実施する。
3-3:OJTの結果を踏まえ、番組制作ガイドライン作成に必要な助言・指導を行う。
3-4:国民の啓発を目的とした番組や生活に必要な情報番組などの制作に必要な助言・指導を行う。

4-1:報道にかかる現状と課題を分析する。
4-2:南スーダンTV・ラジオの報道担当部門に対するOJTを実施する。
4-3:報道担当者向けの倫理規範の作成に必要な助言・指導を行う。
4-4:独自報道の実施方法を紹介する。
4-5:独自報道を実施するために必要な助言・指導を行う。
4-6:OJTの結果を踏まえ、記者ハンドブックの作成に必要な助言・指導を行う。

投入

日本側投入

・日本人専門家
 (1)総括/放送局運営/民主化
 (2)機材管理(機材メンテナンス、技術的ワークフロー改善)
 (3)番組制作(番組編成、人員配置、ワークフロー)
 (4)報道(民主的なジャーナリズムの在り方、選挙報道)
 (5)業務調整/民主化補助
・機材供与
・本邦研修、第三国研修
・活動実施に必要な経費・措置

相手国側投入

・南スーダンTV・ラジオ職員
・情報省職員
・施設と機材
 (1)ワーキンググループ活動のための会議室/研修室
 (2)その他関係する施設と機材
・施設と機材の保守管理費用