プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)基礎的技能・職業訓練強化プロジェクト

背景

スーダン国では、2005年に南北包括和平合意(Comprehensive Peace Agreement, CPA)が締結され、独立以降続いた内戦が終結しました。日本政府は同年4月に開催されたオスロドナー会合において、当面1億ドルの支援を行うことを表明しました。JICAはスーダンにおける平和の定着のため、(1)緊急課題への対応、(2)新スーダン体制定着への支援を行うこととしています。

南部スーダンでは、10月に新政府が樹立され、ジュバ市が南部スーダンの首都となりました。南部スーダンには今後、多くの国内避難民・難民がジュバ市およびその周辺地域へ帰還・定着し、人口の増加が急速に進むことが予測されています。これら帰還民を含む南部スーダン住民(特にジュバ市および周辺地域の住民)が、基礎的な職業技能を身につけ、起業・就業につなげることが、南部スーダンの復旧・復興および住民の生計維持・向上に不可欠となっています。

ジュバ市に位置するジュバ職業訓練センター(Juba Multi-Service Training Center, ジュバMTC)は、内戦が激化する以前には南部スーダンにおける職業訓練の中核機関として、8分野の訓練を行っていました。その本来の機能を回復させるため、訓練実施・管理能力の向上が急務となっています。一方、できるだけ多くの対象者に、復興事業に必要な基礎的技能を提供するという、短期的な訓練ニーズへの対応も必要とされています。以上を踏まえ、2006年6月にジュバMTCの訓練実施能力の改善・強化および基礎的技能訓練の実施を目的とした技術協力プロジェクトを実施することを南部スーダン政府とJICAが合意しました。

JICAは南部スーダン支援に係る一連の事業をファスト・トラック制度適用事業として2005年11月22日に認定しており、本プロジェクトはその一つとなっています。

目標

上位目標

基礎的技能・職業訓練メカニズムの改善により、南部スーダンにおける所得向上のための活動や機会が増加する。

プロジェクト目標

南部スーダン政府における復興事業や生計向上に必要な技能習得の体制が強化される。

プロジェクト対象地域

プロジェクトの対象地域は、南部スーダン10州です。(Western Bahar al Ghazal州、Northern Bahar al Ghazal州、Unity州、Upper Nile州、Jonglei州、Eastern Equatoria州、Central Equatoria州、Western Equatoria州、Lakes州、Warrap州)
しかし、安全への配慮から、当面の活動対象地域はジュバ市に限ることとしています。

受益者

復旧・復興を担うために訓練を必要としている若年層(無技能者、社会的弱者、失業者、帰還民、国内避難民、除隊兵士、他ドナー等からの紹介を受けた訓練受講者等)
直接受益者(訓練受講者)は当面約1,000人を予定しています。

スーダン側実施機関

南部スーダン政府 労働・人事・人的資源開発省
Government of Southern Sudan Ministry of Labor, Public Service and Human Resource Development

協力期間

2006年9月より3年間

プロジェクトサイト

ジュバ職業訓練センター(ジュバMTC)を活動拠点とします。

他援助機関との連携

このプロジェクトでは、次のような他の援助機関と連携しながら事業を進めることとしています。

GTZ

GTZは、GTZ-UNHCR Partnership Programmeという、独政府とUNHCRのパートナー事業の一環としてジュバMTCでの協力を実施することにしており、本プロジェクトを実施するうえで重要なパートナーとなっています。GTZは特に社会統合を促進するための格差(ギャップ)を埋めるための基礎的技能訓練をこれまでも実施してきており、ジュバMTCにおいてもこうした経験を生かして基礎的技能訓練を実施する予定です。また今後は、地方コミュニティへの再定住事業(Community Based Reintegration Programme)へ強力の重点を移し、地方で基礎的技能訓練を展開してゆくことも予定されています。

UNHCR

UNHCRは、周辺国に避難している難民の支援のみならず、Equatoria3州及びブルーナイル州におけるIDP帰還・定住支援のリードエージェンシーともなっています。難民キャンプにおいては、職業訓練や生活スキル向上のための訓練機会を提供しており、ジュバMTCでの訓練が再開されれば、これらの情報をジュバMTCへ提供したいとのことです。

また、UNHCRは、パートナーシップを組んで活動している各種機関に対して安全管理やプロジェクトに関する業務調整も行っていますが、本ネットワークにJICAも参加しています。

Multi Donor Trust Fund (MDTF)

MDTFはドナーおよび南部スーダン政府が共同で資金を拠出している基金で、スーダン政府・参加ドナーの管理の下、南北スーダンの開発に活用されることとなっています。現在の参加ドナーは13カ国(英、北欧諸国、EU、ドイツ、エジプト他)に上っています。2005-2006年に拠出予定のMDTFは現時点で対南部が1億5千万ドル、対北部が1億ドル程度になっています。対南部支援のうち、1千1百万ドルが公共サービス(Public Service)を強化するための支援となっており、ジュバMTCをはじめとする主要な職業訓練センターには一箇所1百万ドル程度の支援が想定されています。

WFP

WFPは2006年の計画として、スーダン全国に対し6.1百万人を対象とした746百万度ドル相当の食糧支援を行う計画を立てています。南部スーダンへの配分は、このうち約32%相当の1.9百万人分に対する支援と計画されています。重点分野は、一般食糧配布、復興のための食糧配布、帰還民に対する食糧配布等となっています。

本プロジェクトに関連するのは、Food for Training (FFT)であり、全体予算のうちFood for Work、Food for Asset スキームとともに6%が割り当てられています。WFPはJICAの技術協力との連携を重視していることから、南部スーダンでJICAまたはプロジェクト関連団体(NGO等)が実施する基礎的技能・職業訓練には前向きにFFTを実施していくとのことです。

UNICEF

UNICEFはコミュニティベースの計画策定・実施に草の根的に参加するQuick Start Community Improvement Assistance Programme を2003年から実施しています。同プログラムは、教科書の印刷所の整備、ローコスト学校建設、およびハンドポンプによるコミュニティ給水などNGOとの協働で行われています。なお、2006年4月〜6月の2ヶ月間の予定で実施しているプログラムは、社会的弱者である視覚障害者のための生活向上訓練を行っています。また2006年から開始したGo To School Initiative (GTS)は、2007年までに160万人の児童を就学させ、識字、計算、および生活技能を身につけることを目的としており、これらの分野での協力が期待されています。