プロジェクト概要
プロジェクト名
(和)南部スーダン戦略的保健人材育成プロジェクト
対象国名
スーダン
プロジェクトサイト
南部スーダン ジュバ
署名日(実施合意)
2008年12月15日
協力期間
2009年3月27日から2012年3月26日
相手国機関名
(和)南部スーダン政府保健省人材育成・計画局
背景
南部スーダンでは、1983年以降2005年1月に南北包括和平合意が成立するまで、スーダン連邦政府と反政府勢力であるスーダン人民解放戦線の間で長い内戦が続き、保健医療分野も大きく影響を受けた。乳児死亡率は出生1,000件あたり150(2001年)、5歳未満児死亡率は出生1,000件あたり250(2001年)、妊産婦死亡率は出生10万件あたり1,700(2000年)といずれも世界最悪の水準である。また保健人材は、人口約800万人に対して医師が225人、医療助手が443人、看護師1,335人と数的に不足しているのに加え、多くの場合教育・研修レベルも十分ではなく質的にも不足している。
南部スーダン政府保健省(以下「保健省」) は2007年に策定した「保健政策(2007-2011)」 の中で特に保健人材育成を重視しており、同年に策定した「保健人材育成計画(2007-2017)」 においては、保健省及び人材育成関係(1)保健人材育成のための体制整備、及び実施計画の作成、(2)保健人材情報システム(Human Resource Information System:HRIS)の開発、(3)保健人材育成の実施、(4)保健人材育成関係機関の能力開発、(5)保健人材の管理業務の改善、(6)保健人材の標準化と質の確保のための法的・専門的枠組みの開発、(7)資金調達に係るメカニズムの開発、(8)研究技術の向上、(9)保健人材育成のためのパートナーシップの強化の9つを柱として掲げている。(3)保健人材育成の実施に関しては、既に多国間・二国間援助機関及びNGO等(以下、「開発パートナー」)の支援により様々な保健分野の初期及び現任研修が実施されているが、保健省は支援状況を十分把握できておらず、またすべての支援が現場のニーズや保健省の方針に沿っていないという認識を有している。また南部スーダンでは地方分権が進みつつあり、保健省は保健分野の政策及び計画策定や保健人材の人事を管轄しているが、州行政の一部局として位置づけられる州保健局が保健人材育成自体は実施していく方向であり、保健人材育成を進めるにあたっては、保健省と州保健局の緊密な連携が求められる。
そのような状況から、南部スーダン政府は我が国に対し、保健行政能力の強化とパイロット的な保健人材育成研修の実施を通じ、南部スーダンの保健分野の現場のニーズに基づく人材育成研修を保健省及び州保健局が主体となって効果的に実施していくための能力強化、すなわちキャパシティ・ディベロップメント支援を要請した。
目標
上位目標
保健人材育成を通じて、南部スーダンにおける保健サービスの提供が向上する。
プロジェクト目標
保健省及び州保健局の能力強化を通じ、保健人材育成を促進する。
成果
- 保健省及び州保健局が保健人材育成に関する政策及び実施計画を効果的に実施できるよう、組織力が強化される。
- 保健省、州保健局、保健人材育成関係機関、主要開発パートナーの連携により、HRISが強化される。
- 保健省及び州保健局が自立的にパイロット研修を実施することを通じ、研修運営能力が強化される。
活動
- 1-1
- 南部スーダンにおける保健人材育成に関するベースライン調査を行う。
- 1-2
- 保健省、州保健局、保健人材育成関係機関、主要開発パートナーと協力の上、南部スーダンの保健人材育成にかかる中長期的展望について協議し、「保健人材育成計画」に基づいた実施計画を作成する。
- 1-3
- 保健人材育成に関する年間実施計画作成ガイドラインを開発し、ガイドラインに沿って、またHRISの情報を活用し、保健省及び10州保健局の年間実施計画を作成する。
- 1-4
- 保健省及び10州保健局を対象とするマネジメント研修(リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーション、計画・予算作成、5S-TQM手法による品質向上等)を実施する。
- 1-5
- コミュニケーション・ネットワーク構築のため、カウンターパート機関及び開発パートナーとの間で定期的に会議を行う。
- 1-6
- 保健省、州保健局、保健人材育成関係機関間でのサポーティブ・スーパービジョン及びコーチングに関するガイドラインを開発する。
- 1-7
- 優先的な州保健局(3州程度)の業務環境改善のための機材整備等を行う。
- 1-8
- 優先的な保健人材育成機関(JICAの安全基準も考慮して選択した数ヶ所)の環境整備のため、研修に必要な資機材及び施設の整備を行う。
- 2-1
- 開発パートナーの支援を受けて保健省が取り組んでいる、HRISの開発を補完的に支援する。
- 2-2
- 保健人材育成に関係する研修等のデータを収集し、HRISへフィードバックする。
- 2-3
- HRISに基づいた、保健人材育成報告書を作成する。
- 3-1
- ベースライン調査の結果に基づき、保健人材育成に関する優先ニーズを特定する。
- 3-2
- 保健省、州保健局、保健人材育成関係機関、開発パートナーの連携による、研修カリキュラム及び教材の開発・改訂を補完的に支援する。
- 3-3
- 作成された年間実施計画に沿って、一部をパイロット研修(対象は保健人材育成関係機関の教員を想定)として実施する。
- 3-4
- パイロット研修の成果を評価し、保健人材情報システムへフィードバックする。
- 3-5
- パイロット研修の参加者に対してモニタリングを行い、HRISへフィードバックする。
- 3-6
- 研修運営に関する組織体制及びネットワークを強化する。
投入
日本側投入
- 専門家:総括、保健人材育成計画、研修計画、保健情報システム、機材整備、施設整備
※ニーズに応じ、特定の保健医療分野の短期専門家を派遣する。 - 機材供与:プロジェクト車両、州保健局の機材、保健人材育成関係機関の機材
- 研修:現地国内研修、第三国研修、本邦研修
- プロジェクト経費:研修実施経費、保健人材育成関係機関の施設整備費等
相手国側投入
- カウンターパート人員の配置
- 執務スペース設置場所の提供
- プロジェクト経費:研修実施経費等