プロジェクト概要

プロジェクト名

非感染性疾患対策強化プロジェクト

対象国名

スリランカ

署名日(実施合意)

2013年10月22日

プロジェクトサイト

コロンボ(保健省)及び4州4県(北西部州クルネガラ県、中央州キャンディ県、サバラガムワ州ケゴール県、東部州バティカロア県)に存在する対象2次医療施設(基幹病院)の診療圏

協力期間

2014年2月1日〜2018年1月31日

相手国機関名

・スリランカ保健省保健サービス局(計画課、非感染性疾患[NCD]対策課)
・プロジェクト対象州・県保健局
・対象県所在4基幹病院

背景

スリランカは、人口の高齢化と食生活、生活習慣の変化に伴い、1980年代から心臓疾患や脳疾患等の非感染性疾患(Non-communicable Diseases: NCD)が死亡原因として感染症を上回り、2007年保健医療統計(Annual Health Statistics)では病院における5大死因(虚血性心疾患、悪性新生物、肺性心疾患、脳血管疾患、消化器疾患)すべてがNCDに起因している。スリランカ政府は、「健康な社会の形成」を重点政策とし、予防及び健康増進活動並びに早期治療を中心としたNCD対策強化による効率的で持続可能な保健医療システムの確立を国家の保健政策としている。

スリランカ政府は、JICA技術協力プロジェクト「健康増進予防医療サービス向上プロジェクト」での経験をもとに、血圧、血糖値などの測定による心疾患、糖尿病などの高リスクグループを特定する健診活動及びNCDに関する健康教育を行う「健康生活センター(以下HLC)」を全国の医療機関に設置する事業により予防対策・健診の展開を進めている。併せて、JICA円借款事業「地方基礎社会サービス改善事業(SL-P105)」(39.35億円)では、「疾病構造の変化に対応すべく、対象州でのNCDの早期発見及び早期治療(二次予防)の強化を通じて、NCD対策能力を強化する」ことを事業の目的に、(1)国立必須医薬品製造センター(SPMC)改善、(2)2次医療施設(初期的な医療を行う1次医療施設と高度な医療を行う3次医療施設との中間を担う施設)改善、(3)リファラル体制強化(救急車整備)に取り組んでいる。

一方で、健診によりNCDの高リスク者の発見が多くなることが見込まれているものの、NCDの診断や治療に関しては、十分な設備と人材が整備されていない2次医療施設において、検査機材や専門医が存在する3次医療施設へNCD疑い患者を移送する現状があり、NCD管理を進めるためには、診断検査機材と専門医の配置による2次医療施設の強化が重要となっている。また、健診を行うHLCや健診以外でNCD疑い患者が見つかる1次医療施設と、診断・治療を行う2次医療施設との患者紹介や逆紹介のための連携の強化が課題となっている。

また、スリランカ国の保健サービスはアクセスが良好である一方で、医療施設における基礎検査試薬・医薬品の在庫が無いために自費による購入が散見され、特にNCDにおいてその傾向が顕著であり、公立病院におけるNCDに対する継続的な服薬治療の管理という点で脆弱性が指摘されている。このため、必要な医薬品が必要な病院に適正量保管されることがNCD管理に求められている。

これらのことから、健診の現場からNCD疑い患者を診断・治療へ円滑に引き継ぐことにより、1次・2次医療施設のNCD管理の質を向上させ、持続可能な保健システムを確立することが喫緊の課題になっている。

このような状況のもと、スリランカ政府によるNCD予防モデルの拡大への取り組みと足並みを揃え、NCD対策(本プロジェクトにおけるNCDは、糖尿病、高血圧症、高脂質血症を対象とする)に必要となる早期治療体制の確立を図ることによる円借款事業の効果増大を目的とした円借款附帯プロジェクトを実施するものである。

目標

上位目標

HLC並びに1次及び2次医療施設を含む包括的なNCD管理が全国で実施される。

プロジェクト目標

対象4州4県の対象地域において、全国に応用可能な健康生活センター(HLC(注1))並びに1次及び2次医療施設を含むNCD管理モデルが開発・実施される。

(注1)血圧、血糖値などの測定による心疾患、糖尿病などの高リスクグループを特定する健診活動及びNCDに関する健康教育を行う施設。

成果

1.対象4基幹病院の管轄地域においてNCD患者のモニタリンクが向上する。
2.対象4基幹病院の管轄地域内にある一次医療施設のNCD患者のための検査サービスの利便性が向上する。
3.対象4基幹病院における医薬品供給管理が強化される。

活動

1.1 対象4BHの管轄地域内における(公立病院の)MC及びDCの患者調査を構築する。
1.2 一次医療施設及びBHのMCにリファーされる患者のフォローアップ体制を構築する。
2.1 プロジェクト・チームは、プロジェクト対象地域において現状調査を実施する。
2.2 中央レベルでWG(以下:CWG)を組織し、クルネガラ県のサテライト検査(検体集約)システムについて詳細調査を実施する。
2.3 CWGは、活動2-2での結果を参考に、検査ネットワークの試行モデル(ワークフロー)を設計し、(i)一次医療施設、BH及び県保健局向けのマニュアル/ガイドライン、記録・報告様式といったツール類(HLCにおけるNCD健診での総コレステロール値または脂質プロフィール検査のための適正ガイドライン及び検査前工程に関するマニュアルを含む)、(ii)検査ネットワークの設立・実施にあたって一次医療施設及びBHで必要となるその他の資源を特定する。
2.4 2-3でデザインされた試行モデルの導入準備を行う。
2.5 試行モデルの実施・微調整を行う。
2.6 プロジェクトの対象4地域における検査システムの導入及び微調整を行い、最終化する。
2.7 CWGは将来的なスリランカ政府による他地域への検査ネットワーク導入を見据えて、その構築・稼動に必要な資源を特定し、工程とともに文書化する。
3.1 プロジェクト・チームは、プロジェクト実施地域において現状調査を実施する。
3.2 WGを組織し、クルネガラ県及びラトナプラ県の既存の電子在庫管理システム及びMSMISを比較検討し、対象4BHに導入するのに最適なシステムを決定する。
3.3 WGは、選定されたシステムの試行的導入に関し、その進捗及び効果をモニターするためのシステム及びツールを作成する。
3.4 病院の改修状況に合わせ、対象BHの主要医薬品倉庫にMSMISを導入する準備を行う。
3.5 MSDは、WGと協働し、(i)対象BH及びRMSD、(ii)3-3で設立したモニタリングシステムからのフィードバックに基づき、必要に応じてシステムとユーザーマニュアルの微調整を行う。
3.6 MSDは、RMSDと協働して、他の対象BH及びRDHSへのシステム導入を支援すると同時に、WGとともにその稼働状況をモニターし、必要に応じて支援を行う。
3.7 将来的なMSMISのスリランカ全土への普及に備え、WGはMSDとともに、州管轄下の病院にMSMISを導入するにあたって必要となる資源やモニタリングツールを特定し、文書化する。

投入

日本側投入

・専門家派遣
・現地活動費
・資機材供与
・本邦研修

相手国側投入

・カウンターパート配置
・プロジェクト執務室及び設備
・執務室運営経費 など