パイロット活動を開始しました

2019年4月30日

本プロジェクトでは、成果目標の一つに「漏水対策能力の向上」を掲げています。日本人専門家チームはこの目標達成に向け、選定された現場(プロジェクトニュース「パイロット活動に向けた準備作業(2018年11月30日)」を参照)にて、カウンターパートとパイロット活動を開始しました。

活動について

まずは初期段階として各作業内容や手順、使用機材の理解、課題の把握を主な目的とし、活動をスタートしました。

最初の作業は、漏水対策の一般的な方法として採用されている、区域内への流入量を計測する方法を実施することにしました。まず、流入量計測メータと区域内を細分化するバルブの設置から始め、給水区域を他地域から独立させました。これらの設置作業により、区域内への流入量と細分化した地区のどの地区で漏水が多く発生しているか把握できるようになりました。(作業写真1)この作業に続き、各種機器を使用して、各家庭の水道メータでの聴音による給水管漏水調査、公道上での漏水音探知による口径の大きい配水管の漏水調査を実施しました。(作業写真2)この調査で「漏水ではないか?」という場所をマーキングし、(作業写真3)後日道路上に親指大の穴を開け、その穴から地下に埋まっている水道管の漏水有無を確かめる等の念入りな追加調査を実施しました。(作業写真4)こうして発見した漏水は修理し、それを記録して今後の維持管理に役立てていきます。

今後の進め方について

これまで実施した調査方法は、機械を介して人の耳で漏水音を捉える手法です。始めたばかりのカウンターパートにとってはなかなか難しい作業もあり、苦労している場面もありました。音による漏水調査はある程度の時間と現場経験を積む必要があり、地道な作業となるため忍耐力が求められ、日本人が調査員として毎日現場で経験を積んでも、それなりの成果が出せるようになるまで3年程度はかかる長い道のりです。

しかし、漏水は、浄水·送水コストをかけて漏水箇所まで到着した浄水を無駄にしているということです。これを発見し、削減することは、資源とコストの有効利用につながります。水道事業体の業務運営に影響する大事な作業であるため、今後パイロット活動を通してカウンターパートの能力向上をサポートするとともに、作業結果を踏まえ、スリランカに適した手法の検討を進めていきます。

作成:コンサルタント専門家

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作業写真1(流量測定)

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作業写真2(漏水調査)

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作業写真3(漏水箇所マーキング)

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作業写真4(漏水確定調査)

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現場風景