「研修から実践へ(Training to Utilization)」連邦農業省の個人研修活動

2013年1月31日

連邦農業省の実施能力強化に向けて行っている個人研修・組織強化活動ですが、3年目を迎えた2012年度の研修のテーマは「研修から実践へ(Training to Utilization)」でした。

過去2年間、プロジェクトの1年目はPCM(Project Cycle Management)などを中心とした基礎研修、2年目は基礎研修に加えてマネージメントや交渉術(Negotiation)、調整術(Coordination)などの中級研修を実施してきました。そして3年目はより実践的な内容の上級研修として、品質管理、農業政策立案、戦略的経営の3コースを実施しました。

今年度の研修の特徴は、テーマに掲げている「研修から実践へ」です。つまり、研修で学んだことを実践(職員の実際の職場)で活用できるようにすることが目的です。そのため、研修中に5人ずつのグループを作らせ、研修終了時にそれぞれのグループの職場で喫緊の課題となっているものを取り上げ、それを解決するためのアクションプランを作成しました。上記3コース合わせて計23のアクションプラン・グループができ、研修終了後に1ヶ月〜2ヶ月間をかけて各々の職場でアクションプランを職場実践しました。プロジェクトはそれをOJT(On the Job Training、実地指導)の形でサポートしました。

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研修の様子(品質管理コース)

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研修にて作成したアクションプランを発表する参加者(農業政策立案コース)

これらのアクションプランの一部を紹介すると、1)品質管理・貿易促進課のグループは品質管理に関する既存資料の整理・電子化、2)園芸局のグループは輸出の可能性を広げるため、レモングラス油の抽出工程の品質管理の見直し、3)技術移転普及局のグループは農民の生産性を高めるためマイクロ・ファイナンスの実状について調査、4)国際協力投資局のグループは国内外からの投資を促進するためFacebookを通じた広報活動の開始、などに取り組みました。

結果として、このアクションプランを職場で実践させるという取り組みは大成功でした。PCMは頭で理解していても、それを利用して実際の計画を作り、職場で実践することは参加者達にとって初めての試みでした。アクションプランを実践したことで、座学の研修と実際の仕事が結び付き、特に若手職員たちは自信を深めました。中には計画が大きすぎて実施途中に計画の見直しを行ったグループもありましたが、実践してみて経験を積んだことで、次の計画立案時にその反省を活かすことができると考えています。
またアクションプランの職場実践終了後には各部局において局長を始め幹部の前で発表を行いました。いくつかのアクションプランは連邦農業省の次官にも認められ実践のための予算を獲得したり、中には局をあげて取り組むものも出てきました。

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品質管理に係る資料室の設置を実現

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国立植物園にて各種子の生殖細胞の摂取を行う様子

1年の研修活動の終わりには、毎年キャパシティ・アセスメント(能力評価)を行い、参加者たちの能力が昨年度と比べてどれだけ上がったかを自己評価してもらっています。
下のグラフは、2010年から研修に参加した人たちと、2011年から研修に参加した人たちの能力の伸びを表しています。プロジェクトでは各人が少なくともレベル4に達することを目指していますが(注)、2010年からのグループはついにレベル4を突破しました。特に今年度の研修の効果は大きく、伸び率が高くなっています。研修後のアクションプランの実践を通して、研修参加者が学んだ知識をいかに自分のものにしたかがうかがえます。

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(注)
Level 5:研修内容を活用し、プラスのインパクトを発現させている
Level 4:研修内容を日常業務に活用している
Level 3:スキルと知識を得ている
Level 2:興味をもっている
Level 1:興味がない