2013年度、ゲジラ州の収穫祭

2013年11月20日

昨年に引き続き、今年も11月6日にゲジラ州にて陸稲栽培の収穫祭が開催されました。陸稲栽培への取り組みが4年目となるゲジラ州では、今年度は9つの農民デモンストレーション圃場にて陸稲栽培を展開してきました。これらのデモンストレーション圃場では、後藤・安藤両稲作栽培専門家の指導の下、ゲジラ州農業省の農業普及員と各サイトの農民が力を合わせて、陸稲の栽培に取り組みました。収穫祭はこれらの活動の成果の集大成であり、スーダンにおいて陸稲栽培が着実に根付きつつあるとともに、政府・民間関係者の関心や期待が非常に高まっていることを示すものとなりました。

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収穫祭会場の全景。

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収穫祭のテント内の様子。

今年度の収穫祭の会場となったのは、最も結果の良かった圃場の1つであるワドアルナイム(Wad Al Naim)地区の4フェッダン(=1.68ヘクタール)の圃場です。この圃場の農民は昨年度も陸稲栽培に取り組んでおり、陸稲栽培初年度の昨年に続き今年も3.3トン/ヘクタール以上の高い収量をあげました。彼は専門家や同圃場担当の普及員の指示を忠実に守る勤勉な農民であり、今年度も陸稲栽培の基本重要事項である土地の均平化、雑草取り、灌漑、施肥を適確にこなし、見事に収穫祭の会場として選定されました。

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たわわに実った稲穂。収穫祭の会場となった圃場にて。

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会場となった圃場の農民(左)と同圃場を担当する普及員。

収穫祭にはゲジラ州知事(前連邦農業灌漑省大臣)やゲジラ州農業大臣をはじめとして、日本サイドからは堀江日本大使とJICAスーダン事務所森所長などが参加し、スーダンサイドからは、連邦農業省の幹部、センナール州・ゲダレフ州・リバーナイル州農業省の幹部、ゲジラ州議会議長、連邦政府の農業試験研究機関である農業研究機構の関係者、ゲジラ灌漑スキームマネージャーといった政府関係者に加えて、民間からもアラブ団体加盟団体、農業機械と農薬等販売会社など、約300名もの人々が参加しました。また18社のメディア(テレビ、ラジオ、新聞)も取材に訪れました。

ゲジラ州知事のスピーチでは、JICAの技術協力が陸稲導入に多大な貢献をしていると評価するとともに、今後の支援への大きな期待が示されました。また、州知事は、1)今後2年以内で1,000人の農民に陸稲栽培30,000フェッダン(=12,600ヘクタール)を展開していくこと、2)半農民協同組合設置に向け10万SDG(約150万円)の予算を確保したこと、3)農業普及員に2万SDG(約30万円)、農民(イベント圃場栽培者)に5,000SDG(約75,000円)の奨励金を提供すること、4)精米所建設(Regional Rice Technology Center)をゲジラ州にしていくこと、を今後の同州の方針として打ち出しました。
堀江日本大使はスピーチの最後でゲジラ州知事に桜の描かれた時計をプレゼントし、日本とスーダンの友好関係に会場は大きな拍手に包まれました。

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ゲジラ州アルズバイール知事(左)に友好の記として贈り物を手渡す堀江大使(右)。

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主要な参加者のスピーチの様子。左上から、ゲジラ州アルズバイール知事、堀江大使、ゲジラ州アブダラ農業大臣、JICAスーダン事務所森所長、プロジェクトの中垣総括。

会場では、コンバインハーベスターのデモンストレーション(ゲジラ州知事と堀江日本大使が操縦)、収穫後処理プロセスの展示やデモンストレーション、精米機の試運転、精米後の白米や米ぬかの展示が行われました。

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コンバインハーベスターを操縦する堀江大使とゲジラ州アルズバイール知事。

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コンバインハーベスターで収穫したお米を集めているところ。

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精米機のデモを見学する参加者達。

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ゲジラ州が収穫した米の展示を見学する参加者達。

また、収穫祭の開始前には、ゲジラ州の迎賓館にて主要ゲストに対して食事がふるまわれました。その中で、ゲジラ州農業省の担当普及員(女性)が腕によりをかけて用意した数種類のお米の料理が出され、好評を博しました。ピラフだけでなく、米で作ったアスィダ(普通はソルガムかミレットの粉から作る練り物。東アフリカで食するシマやウガリに類似)、お米を混ぜたジュースや、お米で作ったデザートなど、固定観念にとらわれないお米料理の幅の広さ・可能性を見せてくれました。

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迎賓館での食事の様子。中央は左から2人目は森所長、中央は堀江大使とゲジラ州知事。

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米料理を食べるゲストたち。

【画像】左から米のピラフ、真ん中上はデザート、同下はアスィダ、そしてジュースと、米を用いた数々の創作料理が並んだ。

収穫祭に参加した農民や連邦・州農業省関係者からは、知事の方針を大変高く評価する声が聞かれました。農業研究機構関係者も、陸稲の良好な生育状況に感銘を受け、プロジェクトと今後も継続して協力していく方針を再確認しました。また、民間関係者からは、陸稲の可能性を目の当たりにし、政府と協力しつつ陸稲生産の拡大に取り組んでいく姿勢が示されました。
メディアでは、収穫祭当日・翌日にテレビ局6社がニュースを放映し、全国・地方紙も計13社が陸稲栽培全般、陸稲の収益性、ゲジラ州知事のスピーチの内容などを報道しました。中には、2ページ全面記事を掲載した新聞もありました。