2015年1月20日
2015年1月13日に、首都のハルツームで今期の成果取りまとめワークショップを開催しました。ワークショップには、スーダン側からは連邦農業灌漑省大臣、同副大臣、関係4州の農業大臣を始めとする全カウンターパート機関(連邦農業灌漑省、各州農業省、国立農業試験研究機構[ARC]、国家コメプロジェクト[NRP])の幹部から圃場のリーダー、大学関係者など、日本側からは、伊藤日本大使、JICAスーダン事務所小池所長など、57名が参加者しました。
ワークショップでは、6つの対象州(ゲジラ、センナール、ゲダレフ、リバーナイル、北部、白ナイル)とARC、そしてNRPの今期の活動を振り返り、各機関が2015年度及び2015〜2019年までの5ヶ年の陸稲栽培のアクションプランを発表しました。また発表後のディスカッションパートでは、各アクションプランをサポートし、陸稲生産を拡大させていくための施策を協議しました。具体的には、財政面も含めた連邦農業灌漑省(中央)と州農業省(地方)の連携の強化、その役割を担うためのNRPの再活性化、技術的な課題(雑草防除や収穫後処理)への対処、などです。
ワークショップ翌日には3紙の新聞が「スーダン政府がコメの増産に政治的に力を入れる」という記事を掲載しました。またSudan TV(国営放送)は当日に全国ニュースとし、他2局も翌日以降にワークショップのことを報道しました。
ワークショップに関する詳細は、当ウェブサイトの英語版ページに掲載しているNewsletter No.15もご覧ください。
ワークショップの様子。ホテルのホールを借りて実施した。
左から、連邦農業灌漑省大臣、センナール州農業大臣、伊藤日本大使、小池JICAスーダン事務所所長。同連邦大臣が開会の辞を述べているところ。
カウンターパート機関による発表の様子。写真はゲダレフ州。
ディスカッションパートで参加者からの質問に答える中垣総括(右)。
最後に、今期の収量結果を報告します。数字の詳細は、当ウェブサイトの英語版ページに掲載しているNewsletter No.15に記載していますので、そちらもあわせてご覧ください。
特筆すべきはゲジラ州のArea 44のデモ圃場です。収量5.5トン/haは、日本の水準に匹敵します。同農家圃場には副大統領も訪れるなど、スーダン側も注目しています。また、同州では種子生産圃場(3.15ha)で約3.3トン/haを収穫し、試験圃場では9トン/ha以上を記録しました。自然環境の厳しいスーダンですが、灌漑水を確保し、日々の栽培管理をしっかり行えば、陸稲栽培は十二分に可能性があることを示してくれたと言えるでしょう。
他には、ゲジラ州では8デモ圃場中6つで2トン/ha以上を達成し(昨年は9デモ圃場中6圃場で1トン/ha以下)、ゲダレフ州で陸稲に初めて取り組んだ農家が約2トン/haの収量をあげました。プロジェクトが実施している日々のOJTや研修が、普及員の力として着実に身に付きつつあると言えるでしょう。
ゲダレフ州デモ圃場(Al Fau[農家圃場])における担当普及員らによる坪刈り収量調査(圃場でのサンプリング)の様子。
ゲジラ州デモ圃場(Area 44)での収穫の様子。