プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)フロントライン母子保健強化プロジェクト(マザーナイル・プロジェクト)フェーズ2

対象国名

スーダン

署名日(実施合意)

2011年6月6日

協力期間

2011年8月10日から2014年8月9日

相手国機関名

連邦保健省プライマリーヘルス部リプロダクティブヘルス課

背景

スーダン共和国(以下、「スーダン」とする)では妊産婦死亡率が1,107(対100,000出生)1歳未満児死亡率は81(対1,000出生)であり、いずれの数字も世界平均の、260、45に比して高い。その原因として地方の妊産婦や母親、新生児等が利用できる医療施設やサービスが限られていること、必要な保健医療人材が不足していること、住民の間で産前ケア(Antenatal Care:ANC)・産後ケア(Postnatal Care:PNC)や分娩介助などの医療サービスを受ける必要性に対する認識が低いこと、リファラルの体制が脆弱であること、医療資材や消耗品・医薬品などが不足していること、既存の医療施設と機材が老朽化や不足、または適切に管理されていないことなどが挙げられる。

スーダンの村落助産師(VMW)は、1年間(場合によっては2年間)の助産教育を受けたのち、出身村にて主に自宅出産を介助する者である。地方農村地域や低所得層に安全な分娩介助を提供することが可能な存在であるが、知識や技術レベルが十分でなく、能力にばらつきがあることなどから、その役割を十分果たしているとは言い難い。北部スーダンでは出産の76.5%が自宅で行われているため、スーダンにおける母子保健の向上のためには、自宅分娩を介助するVMWの妊産婦・新生児ケアに関る能力強化を行うことが不可欠である。またVMWやその上のレベルの保健医療人材の育成や配置に関する具体的な計画が存在せず、妊産婦と新生児の健康を支援する制度の構築や、VMWが必要としている支援を行うべき連邦保健省(FMOH)と州保健省(SMOH)の能力が脆弱であるため、それらも強化される必要がある。

本プロジェクトは、2008年6月から3年間実施されている「フロントライン母子保健強化プロジェクト」の後継案件である。フェーズ1では、パイロット州であるセナール州において、VMWの現任研修に加え、スーパーバイザーとVMWの関係強化、研修後の支援体制の強化、助産キットの更新等を行い、物的・技術的・心理的にVMWを支援する仕組み作りを行ってきた。これらの支援を通して、VMWのエンパワメントを実現し、VMWによるコミュニティレベルでの良質な母子新生児ケアの提供が可能になった。また、同プロジェクトで開発されたVMWエンパワメントモデルを北部スーダン全域15州に拡大する活動も開始している。

このように同プロジェクトは多くの成果を達成したものの、高次な医療処置を必要とするハイリスク妊産婦を搬送する先となる病院では、その施設・機材が老朽化または不足しているため、安全で清潔な処置を行うことが困難であるという課題が残っている。また、VMWエンパワメントモデルを全国展開するための計画策定がFMOHにより着手されているが、その計画に母子保健に関わる人材育成の計画等も含めた中長期的な視点を加味して支援していく必要性が高い。

上記の背景により、スーダン政府より我が国政府に対しフェーズ2の要請がなされ、この度実施が決定されたものである。

目標

上位目標

北部スーダンにおいて妊産婦と新生児の死亡率が減少する。

プロジェクト目標

北部スーダンの対象地域において、より多くの妊産婦と新生児が、妊娠、出産に関るケアを受けることができる。

成果

  1. 母子保健分野におけるFMOHとSMOHsの組織能力が強化される。
  2. 北部スーダン全州において、質の高い母子新生児ケアを提供するために、VMWsの能力が強化される。
  3. セナール州において、妊産婦・新生児の健康改善のための包括的モデルを形成する。

活動

【成果1に関連】

1-1.
VMWが提供するサービス内容(ANC、分娩介助、PNC、新生児ケア、リファラル)をモニターするための保健情報システムを標準化し、強化する。
1-2.
14州においてVMWのリストを作成し、その情報を保健人材観測センターの保健人材データベースに提供する。
1-3.
FMOHがVMWのインセンティブや給与支払いを制度化する。
1-4.
FMOHが助産師キットの器具や消耗品の供与を制度化する。
1-5.
FMOHメディカルエンジニアリング作業部会を設置する。
1-6.
医療機材と施設メンテナンスに関する第三国への視察研修を実施する。
1-7.
FMOHメディカルエンジニアリング作業部会が第三国への視察研修の学びを活かし、医療機材と施設メンテナンスに関する現状分析を行い、アクションプランを作成する。
1-8.
VMWとSBA(VMWを除く、助産教育を受けた分娩介助者)の人材育成戦略がFMOHの人材戦略の中に組み込まれる。
1-9.
FMOHがFMOHとSMOHsの定期的なコミュニケーションを促進する。
1-10.
FMOHが開発パートナーと関係者間の調整を行う。

【成果2に関連】

2-1.
VMWの現任研修のための講師研修が8州で実施される。
2-2.
VMWの現任研修に必要な資材や道具を8州で提供する。
2-3.
他ドナー資金と連携したVMWの現任研修実施を13州で支援する。
2-4.
VMWの助産師キットを13州で必要に応じて交換する。
2-5.
VMWを指導する能力を習得させることを目的にして、講師研修を受けないヘルスビジターとアシスタントヘルスビジター対象のVMW現任研修を8州で実施する。
2-6.
スーパービジョンと現任研修のモニタリングを行う技能を習得することを目的に、ナショナルファシリテーターがVMWの1回目の現任研修のモニターを通じて13州のリプロダクティブヘルス・コーディネーターを訓練する。
2-7.
FMOHとSMOHは13州での現任研修を監督およびモニターする。
2-8.
モデル地域を選定し、VMWへのスーパービジョンを定期的に実施する。
2-9.
選定されたモデル地域におけるスーパービジョンを通じて、VMWと医療施設の連携を強化する。
2-10.
FMOH・SMOHsを対象に、選定されたモデル地域への視察研修を実施する。

【成果3に関連】

3-1.
セナール州で対象病院を選定し、施設を改善する。
3-2.
セナール州の選定された病院に必要な医療機材を提供する。
3-3.
セナール州の選定された病院を対象とした医療機材の維持管理のための研修を実施する。
3-4.
セナール州の産婦人科医師を対象とした講師研修をオムドゥルマン産科病院にて実施する。
3-5.
地域病院の一般医師や看護助産師を対象とした現任研修をセナール州で実施する。
3-6.
セナール州のSMOHはVMWへのスーパービジョンを継続して実施する。
3-7.
セナール州において、妊産婦登録とコミュニティ緊急搬送を促進するために村落委員会とVMW、保健医療施設の協力関係の構築を促進する。
3-8.
セナール州の妊産婦・新生児の健康改善のための包括的アプローチの効果についてアウトカム評価を実施する。
3-9.
セナール州での活動から得られる経験と教訓を成果品としてまとめる。
3-10.
セナール州での経験を他州と共有する。

投入

日本側投入

  • 専門家派遣
  • スーダン国関係者の能力強化のための技術支援
  • 講師研修や現任研修を実施するための追加的に必要な運営経費
  • プロジェクト実施のために必要な支出の一部
  • 本邦または第3国への研修員受け入れ
  • セナール州の医療施設と機材を改善するために必要な工事、資機材

相手国側投入

  • 15州でのプロジェクト実施のために十分な数のカウンターパートと支援要員
  • FMOHとSMOH内でのJICA専門家の執務スペースの提供
  • JICA専門家が他州を訪問する際に必要な宿泊のアレンジ
  • プロジェクト実施に必要な活動運営費
  • 卒前研修と現任研修の実施に必要な運営経費
  • VMWのキットに必要な機材、消耗品の供給やインセンティブの提供
  • セナール州にメディカルエンジニア、医療施設メンテナンス担当者を配置