(科学技術)根寄生雑草克服によるスーダン乾燥地農業開発
スーダン
スーダン科学技術大学農学部、ゲダーレフ州
2009年11月10日
2010年3月1日から2015年2月28日
スーダン科学技術大学
スーダンで最もソルガム生産が盛んなゲダーレフ州でのストライガ被害状況(2010年10月19日撮影)
日本人短期専門家(写真左)から新しく導入された機具の使用法について教わっているスーダン人研究者
スーダンの可耕地は約8,400万ヘクタールに及びますが、このうち定期的に耕作されているのは1,000〜1,400万ヘクタール程度であるとされています。スーダンの農業部門は、伝統的天水農業(700万ヘクタール、全耕作面積の約50パーセント)、機械化天水農業(500万ヘクタール、同35パーセント)、灌漑農業(195万ヘクタール、同15パーセント)の3つのサブセクターに分類されています。主要作物は、ソルガム、ミレット等の主穀物、小麦、綿花、アラビアゴム等の輸出・工芸作物、ゴマ、落花生等の自給兼換金作物であり、合計作付面積は730万ヘクタール(全耕作面積の50パーセント以上)にのぼります。このうち、伝統的天水農業で生産されるソルガム、ミレットの作付面積は550万ヘクタール以上(全耕作面積の40パーセント、伝統天水面積の80パーセント)と推計され、スーダンの食糧生産の中心的位置付けにありますが、乾燥地に特有の年間降雨量の年較差が大きいことにより生産は常に不安定な状況にあります。
根寄生雑草「ストライガ」は、サブサハラ乾燥地のソルガム、ミレットの生産を阻害する最大の生物的要因とされ、スーダン国の食糧安全保障、貧困問題に深刻な影響を与えています。それは、スーダン国の伝統的天水農業が農村部貧困層の中核をなす小規模農家を担い手としており、乾燥条件下、低投入により同じ土地で主穀物を連作せざるを得ない状況がストライガの発生を助長するとされるためです。これによって、経営状況の苦しい小農ほど生産が低下するという悪循環が形成されています。
また、ストライガは、乾燥条件下で栽培されるイネ科植物を宿主とするため、現在まで陸稲栽培地域での発生も確認されており、今後サブサハラ地域での陸稲の導入・普及に伴う被害の拡大が懸念されます。
ストライガの生理生態は未だ科学的に解明されていない部分が多く、現在まで効果的な防除方法が確立されていません。こうした状況下、スーダン科学技術大学は日本の神戸大学との共同研究を1994年以来行ってきており、ストライガの生理生態学的特性の解明に大きく貢献してきました。また、研究の過程を通じて、日本側研究者からは天然物化学、生化学、分子生物学を応用した解析技術が提供されました。このような成果を踏まえ、2008年スーダン国から日本政府に対して科学技術協力プロジェクトの枠組みによる共同研究が要請されるに至りました。
ストライガ防除法が国内外で広く利用される
スーダン科学技術大学(SUST)のストライガ対策に関わる研究・開発・普及(RDE)能力が向上する
成果1:革新的なストライガ防除技術が開発される
成果2:農民学校の実施地区において農民のストライガ管理のための取組が改善される