プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)カッサラ州基本行政サービス向上による復興支援プロジェクト

対象国名

スーダン

プロジェクトサイト

スーダン東部 カッサラ州

署名日(実施合意)

2011年2月23日

協力期間

2011年5月1日から2014年4月30日

相手国機関名

スーダン共和国カッサラ州政府

背景

カッサラ州はスーダン東部に位置し、エチオピア及びエリトリアと国境を接する面積42,282km2、人口約170万人の州である。同州の年間人口増加率は2.5%、人口密度37人/km2であり、都市及び農村に居住する人口の割合はそれぞれ35%、53%、遊牧民は12%を占める。同州は中央にアトバラ川、東側にガッシュ川を配し、土地利用形態は放牧地、農耕地、市街地に分けられ、その内訳は放牧地52%、農業適地39%、山林地及び農業不適地9%となっている。

スーダン東部(紅海州、カッサラ州及びゲダレフ州)では開発の遅れに対する政府への不満からベジャ族を中心とする現地部族の反政府勢力が1994年に武装蜂起した後、Eastern Front(東部戦線)を結成し、2005年以降政府軍との間で紛争が激化した。2006年10月14日にエリトリアの仲介によりスーダン政府と東部戦線の間で東部スーダン和平合意(ESPA:Eastern Sudan Peace Agreement)が締結され、これにより紛争が収束した。

ESPAの合意事項であるパワーシェアリング(統一スーダン政府の大臣1ポスト等)や資源の分配が概ね順調に履行されていること、また、統一スーダン政府とエリトリア政府の関係が概ね良好なことから、スーダン東部の治安情勢は安定している。しかしながら、バシール政権のダルフール人道問題から、多くのドナーが北部スーダンへの開発援助を敬遠していることもあり、東部の開発は停滞している。同地域の平和の定着のためには、内戦の要因となった貧困の緩和が喫緊の課題であり、開発援助の役割は大きい。

また、カッサラ州は国内外からの避難民を多数受け入れており、多くは旱魃、飢饉、エチオピア、エリトリア国境における紛争や政情不安により避難してきた人々である。現在の同州における国内避難民の数は約68,000人と推定され、一方エリトリアからの難民は約95,000人に上るとされる。同州の住民の主な現金収入源は農畜産業であるが、近年は日雇い労働、木材伐採、木炭生産、小規模ビジネスなど生計手段が多様化する傾向が見られる。このように生計手段多様化へのニーズが高まる一方、同州での職業訓練の機会は限られており職業訓練施設も老朽化しており、州政府は職業技能レベルの低さが同州の経済発展にマイナス影響を及ぼしていると指摘している。また同州の世帯レベルの食料安全保障に関するデータによると91%の世帯が食料を自給しておらず、食料増産や食料購入に必要な現金収入の増加が喫緊の課題となっている。さらに、安全な飲料水へのアクセスは同州の農村人口の36%に限られており、現在の飲料水の利用可能量と実際の需要を比較すると約4100万リットルの不足があると推定される。同州の保健分野では、罹病率、乳幼児死亡率、妊産婦死亡率の全てが高く、カッサラ州政府の復興・戦略計画(Kassala State Strategic Plan 2007-2011)の中でとくに母子保健分野について優先的な取り組みが求められている状況である。

このような状況下、2010年1月にカッサラ州政府はスーダン統一政府連邦統治省を通して「カッサラ州基本行政サービス向上による復興支援プロジェクト」を日本政府に対して正式要請し、同州政府が最優先課題として位置づけている水、農業、保健、職業訓練分野における行政機関のキャパシティ・ディベロップメントへの支援を要請した。

この要請を受け、2010年5月に採択された本プロジェクトは、緊急性の高い復興支援と位置づけられることから、プロジェクトの開始前の2010年10月から2011年3月までの6ヶ月間を準備フェイズと位置付け、詳細計画策定調査を通じてベースライン調査及びこれを踏まえた協力計画案の策定、活動拠点の整備、緊急性の高い課題に対するパイロット活動の実施とこれに必要な機材の調達を実施することとした。本案件は同州における緊要の課題とニーズに対応するものであると同時に、同州の平和の定着のために不可欠な基礎生活環境の改善(BHN支援)のための行政サービス向上の基礎となる行政機関の能力向上を目指すものである。

目標

上位目標

カッサラ州政府による質の高い行政サービスに地域住民がアクセスできるようになり、住民の基本的ニーズが満足されるようになる

プロジェクト目標

カッサラ州における基礎生活分野の行政サービスの復興が住民に認識される

成果

  1. カッサラ州政府の開発計画・運営能力が強化される。
  2. カッサラ州政府の給水サービスを提供するキャパシティが強化される。
  3. カッサラ州政府の農業サービスを提供するキャパシティが強化される。
  4. カッサラ州政府の母子保健サービスを提供するキャパシティが強化される。
  5. カッサラ州政府の職業訓練サービスを提供するキャパシティが強化される。

活動

1-1.
州財務経済労働省経済計画・開発局(DPD)のプロジェクト全体に対する支援的モニタリングとフィードパックの機能を強化する。
1-2.
DPDに職員参加型の「カイゼン」手法を導入して、DPD職員の能力強化を図る。
1-3.
カウンターパート(DPD、州水公社、州農業林業灌漑省、州保健省、カッサラ職業訓練センター)と協力しながら、戦略計画審議会(SPC)の能力を強化する。
2-1.
カッサラ市内管網施設の維持管理にかかる州水公社(SWC)スタッフの能力が強化される。
2-2.
データ管理方法に係るSWCスタッフの能力が強化される。
2-3.
地方給水にかかる維持管理体制が強化される。
3-1.
農業普及サービスが向上する。
3-2.
生産性と利益向上のために改善された技術がパイロット地区に適用される。
4-1.
パイロット地域における母子保健ケアのモデルが確立される。
4-2.
母子保健のフロントライン・スタッフの能力が強化される。
5-1.
カッサラ職業訓練センター(KVTC)の能力が強化される。

投入

日本側投入

【専門家派遣】合計257MM

  1. リーダー/開発計画・マネジメント:1名、29MM
  2. コーディネーター/地方行政:1名、29MM
  3. 調達:1名、6MM
  4. 建築:1名、4MM
  5. 管網管理/施工管理:1名、12MM
  6. 地方給水維持管理:1名、21MM
  7. 物理探査:1名、9MM
  8. 財務管理:1名、2MM
  9. 作物栽培:1名、16MM
  10. マーケティング:1名、17MM
  11. 農村開発/農民組織:1名、15MM
  12. 機械化農業:1名、9MM
  13. ウォーターハーべスティング:1名、6MM
  14. 農民組合:1名、5MM
  15. 母子保健ケアシステム:1名、25MM
  16. 研修・管理マネジメント:1名、9.5MM
  17. 医療機材マネジメント:1名、6.5MM
  18. 戦略計画:1名、17MM
  19. カリキュラム・教材開発:1名、15MM
  20. 機材・施設:1名、4MM

【研修生の受け入れ】

  • 本邦、マレーシア(職業訓練)および近隣諸国などにおける第三国研修

【資機材の供与】

  • 州戦略計画審議会(SPC)事務局用資機材(家具、OA機器など)
  • 州水公社用資機材(事務用機材、顧客データ管理用機材、研修用機材、水質分析用機材、維持管理用機材、パイロットプロジェクト用機材など)
  • 州農業林業灌漑省用機材(農業機械化活動用資材(トラクターを含む)、農村開発用機材、研修・教材作成用機材、普及活動用機材(ピックアップトラック、バイクを含む)など)
  • 州保健省用機材(ギルバ郡病院、ワドエルヘレウ郡病院、サウジ産婦人科病院、クエート小児病院用の医療機材・事務用機材など)
  • カッサラ職業訓練センター用機材(自動車整備・溶接・食品加工・縫製コース用の機材など)

相手国側投入

  • カウンターパート配置(カッサラ州財務経済労働省、農業林業灌漑省、保健省、水公社、カッサラ職業訓練センター)
  • サポートスタッフの配置
  • 事務所スペースの確保(カッサラ州財務経済労働省、農業林業灌漑省、保健省、水公社、カッサラ職業訓練センターの5ヵ所)
  • ローカル・コスト負担
  • パイロット活動経費の確保(一部)