ダルフールの女性向け統合型起業訓練が修了式を迎えました!

2016年11月10日

2.5ヶ月間の訓練を終え、迎えた訓練修了式。堂々と訓練の成果を見せている女性たちの自信にあふれた笑顔が印象的です。

ダルフール各州には、長い紛争の影響を受けて夫を亡くした女性や、夫が働けず女性が稼ぎ頭となっている家庭が多いという特徴があります。しかし、『家計を支えるために働きたい』と思っても、男性に比べて女性には就職の機会が平等に与えられているわけではありません。また、多くの女性が子育てや家族の世話に追われて、長時間家を留守にすることができません。こうした状況の女性たちに最適な訓練コースを作るにあたって、ダルフール州の労働局(ハローワークのような機能を持った機関)、女性組合、マイクロファイナンス機関などがアイデアを出し合い、訓練を形にしてきました。

訓練内容について、バスケットやジュース作り、皮革加工、コンピューターコースなど、いろいろな案が挙がるなかで、最後に選ばれたのは『毎日食べるおやつと、特別な日のお菓子作りコース』でした。これが選ばれた理由は、時間の制約があっても自宅でできること、初期投資が比較的少なくてできること、多くの女性が家庭での菓子作りの経験を持ち、ビジネス開始への心理的なハードルが低いこと、などが挙げられました。

訓練はSMAPIIが対象とするダルフール各州にある女性組合が実施を請け負って開催され、SMAPIIの開催した指導者研修を受けた指導員が連日奮闘して、なんとか最終日までこぎつけました。実は女性組合は訓練の実施経験があまりなく、また「訓練=技術を学ぶ」という固定概念にも縛られていました。SMAPIIの目指す、起業に必要な知識・技術・フォローアップを提供するという「統合型起業訓練」のアイデアは女性組合にとっては新しく、組合スタッフは個人個人では理解しているつもりでも、組織としてアイデアをうまく形にすることが出来ず、訓練の提供に四苦八苦しており、ハルツームのSMAPIIのプロジェクト事務所へは、毎日ひっきりなしに、「こういうときはどうしたらいい?」「訓練生のインターンシップの受け入れ先がない!」など、電話やSNSで相談がありました。

いろいろな困難や問題を乗り越えて実施してきた訓練、インターンシップを終えて向かえた修了式。訓練を実施してきた女性組合スタッフや訓練を受けてきた女性などすべての参加者に、やり遂げた達成感と何かができるようになったという自信がみなぎっていました。参加者の一人が言った言葉が印象的です。「これまで、こんな華やかなお菓子は『他の誰かの手に入るもの』だった。でも、今やこれは『私が作り出すもの』になった」。

訓練を受けた女性が起業するのが目的ですので、ここで終わりではなく、技術訓練の終わりはスタート地点でもあります。ここからの彼女たちの挑戦を、SMAPIIはまだまだ支援していきます。

【画像】

菓子作りの研修をうける女性たち

【画像】

研修生の作った菓子