コミュニティ内の関係を改善するソーシャルキャピタルを高める保健活動を実施中

2018年5月1日

近年のダルフールにおける武力衝突の大きな要因の一つが部族間の争いです。
ダルフールには40以上の部族がいるとされ、部族ごとに異なる風習があり、独自の言語を有することもあります。
大規模な部族間衝突が発生すると、他地域での部族間関係にも影響を及ぼすこともあり、部族間の関係性に配慮することは紛争を助長しないために非常に重要です。

ダルフールのコミュニティでは同じ部族が住む地域と、異なる部族が共同で住む地域があります。
紛争を助長しないために、保健セクターではコミュニティの部族間関係を良好に保つため、ソーシャルキャピタル(注)を高める手法を取り入れた保健教育を実施し、住民、部族、コミュニティ間の関係を改善し、地域のレジリエンスを高める活動を行っております(下図)。

ソーシャルキャピタルは、地域や文化の影響を大きく受けるため、SMAPIIではまずカウンターパートである州保健省から効果的なソーシャルキャピタルを高める手法について情報を収集しました。
それによると、コミュニティ人材の活用、部族間交流の促進、近隣コミュニティとの交流などが挙がりました。
プロジェクトはこれらの手法をまとめ、州保健省職員やコミュニティで保健活動をしている人たちにフィードバックをし、コミュニティのソーシャルキャピタルを高める取り組みを積極的に支援しています。

またプロジェクトではダルフールに合ったソーシャルキャピタル調査項目を日本の大学と共同で作成し、対象コミュニティの住民1,300名に対して2回の調査を実施しました。
結果として、社会的信頼に関する項目は改善していることが確認され、コミュニティにおけるソーシャルキャピタルは高まっています。
プロジェクトでは引き続きソーシャルキャピタルを考慮した保健活動を実施し、ダルフールの平和の定着を目指していきます。

(注)経済・社会開発にとって有用な資源と考えられる人と人の関係性や信頼、価値観、ネットワーク。

【画像】ソーシャルキャピタル(オレンジ線)が紡ぐ住民、地域、コミュニティ、州保健省のイメージ

【画像】

南ダルフールの保健施設。ソーシャルキャピタル調査は保健施設来訪者を対象に実施している。