プラプラ若者を社会の人財に

2018年6月1日

「今日もいつもと同じ一日が始まった。家にいてもしょうがないから、ただ町をプラプラと歩く。でも特に行く場所はない。自分だけが無目的に町を歩いているような気がする」
このような若者を私達は『プラプラ若者』と呼んでいます。ニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)というとより分かりやすいでしょうか。この記事を書く私も10数年前、大学卒業後はニートでした。平日の日中に目的なく外を歩くときの言葉では表現できない気持ちは良く分かります。ただし、ダルフールと日本で大きく違うのは、ダルフールでは紛争により就学の機会が失われたことや紛争後に停滞する経済がこのような若者を生む原因になっているということです。紛争の5年以内の再発率は約40%と言われており、経済・社会活動参加をしたくても参加できない若者のストレスは、社会が不安定になる大きな要因となります。そこで、このような若者を社会活動に参加させ、社会の『人財』とするため、様々な団体が若者に対して職業訓練を通して、働くための技術習得の機会を提供しています。

SMAPプロジェクトではダルフールの労働局および技術高校とともに、紛争により就業機会に恵まれなかった若者に対し、自動車整備・電気・溶接の3つの分野で職業訓練を提供しています。訓練を修了した若者が、スムースに職に就けるように、通常の技術訓練に、次の2つの活動を付け加えました。

1)社会の一員となるために必要な基礎的能力(コミュニケーション、集団での振る舞い、相手を思いやる態度、保健の知識等)の習得
2)企業での就業体験(インターンシップ)

技術高校の先生は、SMAPIIから若者の自信や集団での協調性を高める指導法を習い、技術のみならず社会の一員となるための基礎能力が身につくようにグループでの創作活動や保健教育などを訓練に取り入れました。また、技術高校での3ヶ月間の訓練後に、企業で2ヶ月間のインターンシップをする機会を設け、若者が実際に社会で働く経験を得るだけではなく、インターン先企業とインターンとして働く若者のマッチングの機会とし、企業側が気に入ればインターンをそのまま雇用してもらうように働きかけました。多くの若者がインターン先でそのまま就職をすることができています。

プラプラ若者はダルフールにまだまだ沢山います。一人でも多くの若者が仕事を得て、社会の中で外に出る目的を持った生活が出来るように、労働局と技術高校が様々な力を借りながらSMAPIIプロジェクトを通じて実践した訓練モデルを継続して実施していけるように、プロジェクトは今後も支援を続けていきます。

【画像】

溶接訓練を受ける若者達