ゲジラ州・カッサラ州での地域住民による保健推進活動開始

2017年7月25日

2017年4月のキックオフ会議後、コミュニティでの活動も開始されました。

1)オリエンテーションワークショップ
4月18日にゲジラ州東ゲジラ地区で、19日は同州マナギル地区で、地区の関係者と、対象コミュニティからの代表に集まってもらい、オリエンテーションワークショップを開催しました。カッサラでは4月27日のキックオフ会議の際にオリエンテーションも兼ねました。ここでは、プロジェクト概要の説明と、ベースライン調査結果の共有を行いました。当日は、地元のテレビ局からの取材も入りました。

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ワークショップに集まった人たちへの期待を伝えるプロジェクトの副総括(マナギル地区)

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地元テレビ局の取材を受ける参加者(東ゲジラ地区)

2)地域保健活動計画づくりワークショップ
オリエンテーションの後は、コミュニティ保健委員会(CHC)の強化と地域参加型保健活動の計画づくりを目的としたワークショップを、1日1村ずつ巡回しながら計14か所で実施しました。片道3時間、州保健省と地区保健局の職員と一緒に、日の出とともに宿を出発し目指す村もありました。移動に使う白い車は、村に着く頃には茶色に様変わりしています。

村でのワークショップには、村長、保健センタースタッフ、コミュニティ助産師、保健ボランティア、教員、地域の青年団や女性委員会の代表、学生など約20〜30名が集まりました。彼らは、今後コミュニティでの保健活動の計画や実施に中心的にかかわっていくCHCメンバー候補者です。

このワークショップを実施する中で目指したことが3つあります。「地域保健の鍵を握る人たちの気持ちに『火』をつけること」、「地域の既存の資源の活用」、「チーム力の強化」です。

気持ちに「火」をつけるために使ったのは、ベースライン調査の結果です。自分たちの村の保健状況を知るにつれて、参加者は前のめりになってきました。例えば、保健の情報源には、8割の人が医者や保健施設と答え、次に多いのがテレビ、近所の人、家族、女性委員会、と続きます。本来この役割を担うはずのコミュニティ助産師は12%、保健ボランティアや学校の先生は4%という低い結果を知って「自分は20年も保健ボランティアをやってきていているのに、もっと頑張らないといけない」と発言している人もいました。

ベースライン調査結果の共有の後、参加者から今の気持ちが「うれしい」か「悲しい」か、また考えられる解決策について書いてもらいました。結果は「悲しい」と答える人がほとんどでした。この悲しいという思いを自覚することは、「これからもっと村を良くしていくために頑張りたい」「もっと人々の意識を変えていかければ」という、自分たちで保健活動を推進していくための強い思いになり得ます。

その後、実施団体(公益財団法人ジョイセフ)が開発したテンプレートを用いて、参加者全員で、コミュニケーション活動の戦略づくりを行いました。具体的には、「村における情報の送り手」、「情報の受け手」、「情報を受け取るルート」、「活動」、「活動強化に役立つ教材」を参加型で特定していきます。この作業を通して、宗教リーダーや青年団など、これまで必ずしも関与していなかった人たちも、保健活動のメッセージ伝達に役立つ人材として特定されました。また情報ルートとしては、モスク、「デワン」と呼ばれる集会所、クラブ(サッカー等)、学校、家庭、結婚式などの村の集いなど多くの場所が挙げられました。

こうして様々な既存の人材や場所が、地域保健活動の推進に役立つことが、参加者自身にもわかってきたところで、コミュニティごとに1年間の地域保健活動計画を作っていきました。空欄だった模造紙が、4〜5時間のワークショップの後には、村の人たち自身が作った計画で埋まりました。また、これらの計画の実施と管理に責任を持つ、コミュニティ保健委員会(CHC)の強化も、ワークショップ中に行いました。参加者全員の合意で、CHCの規約案を作り、役員と委員を選びました。

ワークショップ2日後には、早速コミュニティ助産師が、産前健診に来た妊婦さんたちを相手に健康教育活動を開始したという知らせが入りました。今後は、各CHCが計画通りに活動を進めていけるよう、地区、州保健局と協力して継続的にモニタリングと支援を行います。

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1日走ると白い車が茶色に変わる

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今年2月に参加した沖縄での研修の学びを共有する地区保健局長(ゲジラ州マナギル)

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活動計画を話し合う(ゲジラ州東ゲジラ)

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皆で作成した保健活動計画を背景に(カッサラ州ギルバ)