日本での研修-第2回本邦研修-

2018年6月1日

2017年11月19日から2017年12月9日の約3週間、スーダンのプロジェクト関係者を対象とし、東京・長野で第2回本邦研修が行われました。スーダン連邦保健省と、プロジェクトの対象地域(ゲジラ州、カッサラ州、ハルツーム州)の州保健省および病院から合計13名が参加しました。

研修では、主に母子保健に焦点をあてた日本の保健行政、住民主体の地域保健活動、5S-KAIZEN活動に関する講義、視察、討議等を行いました。また研修期間を通じて、研修員自らが帰国後に実施するアクションプランを策定しました。研修員は、スーダンと日本の保健医療体制の比較や、住民を巻き込んだ地域保健活動の現場視察等を通じ、スーダンにおけるプライマリーヘルスケアサービスの改善に向けた多くのことを学ぶ機会となりました。

フィールド視察では、東京から長野に移動し、日本でも有数の健康長寿を誇る佐久市を訪問しました。佐久市では、過去に脳卒中による高い死亡率や寄生虫症および感染症の蔓延といった健康課題を抱えていましたが、地域に密着した健診活動の促進、また住民自らが健康づくりの担い手として主体的な活動を行ってきた結果、地域ぐるみの減塩運動や健診受診率の向上、衛生改善活動の実施につながり、それらの課題を克服してきた歴史があります。佐久市では、保健所・保健センターの役割についての講義や、乳児健診・離乳食教室の見学、また地域住民とともに活動されている保健補導員・食生活改善推進員の方々との意見交換等を行いました。これらを通じ、助産師、保健師、栄養士、保育士等の多職種が連携し、統合的な母子保健サービスが提供されていること、またどのように住民主体の地域保健活動が醸成されてきたのかを学びました。さらに研修員たちは、国の施策を元に、県や市町村がそれぞれの地域のニーズや統計データをもとに保健計画をどのように策定し、実施しているかを理解しました。スーダンでも、国の施策に従うだけではなく、州や郡レベルでデータを活用して地域の実情に合わせた計画・実施を行うことの重要性を認識しました。また、地域の保健ボランティアが継続的に活動するためにはどうすればよいのか、佐久市や他の途上国の事例を参考に熱い議論が行われました。スーダンでは、金銭の支払いがボランティア活動参加の動機付けとなっていることが多く、それをどう主体的な参加へ変えていけるのか、という課題があります。継続的な研修機会や、活動を表彰し地域への貢献意識や達成感をもってもらうなど、金銭的報酬以外の面で継続性を高める工夫をする、といった活発な意見交換が行われました。

また研修期間を通じた日本滞在の中で、日本人がいつも礼儀正しく集団の和を大事にすること、感謝の気持ちを伝え合うこと、いつも時間を守るといった点を賞賛する声が多く挙がりました。研修員からは、帰国後今回の研修で学んだことをさっそく同僚と共有し、チームワークを意識して業務を行っている、といった声が聞かれています。プロジェクトでは、帰国した意欲あふれる研修員たちとともにプロジェクト成果の達成に向けて、引き続き現地での活動を続けています。彼らと協力し合いながら、本研修の学びを最大限に活かして、スーダンの保健医療サービスの改善につなげていきます。

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プロジェクトチームと研修員(JICA本部玄関前にて)

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佐久市での離乳食教室見学の様子。多職種が連携して実施されている。

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保健補導員、食生活改善指導員の方々とのディスカッションの様子

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アクションプラン策定に向け熱心に議論を行う研修生