プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)プライマリーヘルスケア拡大支援プロジェクト
(英)Primary Health Care Expansion Project

対象国名

スーダン

署名日(実施合意)

2016年3月1日

協力期間

2016年6月5日から2019年5月31日

相手国機関名

スーダン連邦保健省、ゲジラ州保健省、カッサラ州保健省、ハルツーム州保健省

背景

スーダンでは、プライマリーヘルスケア(注1)(PHC)サービスの中でも、特に母子保健サービスが限定的であり、母子保健に関わる指標が中東・北アフリカ地域の平均より劣る水準にあり、大幅な改善が必要となっている。また、多くのPHCサービス提供施設では、妊婦健診や乳幼児のケアが提供されていない。このため、スーダン政府は特定の州におけるPHCサービス拡大を通じた母子保健指標の改善のため、我が国へ技術協力プロジェクトを要請した。
スーダン政府との協議に基づき、PHCサービスの普及率、行政の能力、他の国際援助機関による支援の状況、治安等を考慮した結果、ハルツーム州に隣接し、特に妊産婦死亡率に課題の残るゲジラ州が対象として選定され、JICAがこれまでの技術協力プロジェクトで成果を上げてきたコミュニティ助産師(注2)(Community Midwife:CMW)の現任研修のほか、他の保健スタッフを含めた研修の実施と保健施設のサービス内容の改善を中心とする協力内容とした。さらに、一部の活動については、過去・現在における他の事業との相乗効果を図る観点から、JICA技術協力プロジェクト「カッサラ州基本行政サービス向上による復興支援プロジェクト(K-TOP)」(2011年〜2014年)で対象となった、かつて紛争が発生していたスーダン東部のカッサラ州および、JICA無償資金協力事業「ハルツーム州郊外保健サービス改善計画」(2015年〜2017年)の対象地である首都ハルツーム州の一部を加え、支援対象を3州とすることとした。
本プロジェクトは主として、対象地域における1)保健行政マネジメント能力の向上、2)PHCに関わる保健人材の能力強化、3)コミュニティの自発的な保健活動の促進、4)5S手法(注3)を通じた病院運営の改善に取り組むものであり、これによりPHCサービスの質の向上を図り、ひいては母子の健康改善に貢献することを目的としている。

(注1)健康は誰もが享受できる権利であることを明言した1978年のアルマ・マタ宣言で掲げられた8つの基本行動(健康教育、安全な水の確保、予防接種奨励を含む母子保健推進、風土病対策、必須医療品の供給、コミュニティ保健ワーカーの活用、一般的疾患への対策、栄養改善)を指す。これらは廉価で、貧困地域でも全ての住民が健康であるために最低限必要な活動と位置づけられている。
(注2)スーダン連邦保健省は、自宅分娩の介助者として「コミュニティ助産師(Community Midwife)」の育成を進めている。
(注3)日本の産業界で発展した職場環境改善の手法。「整理・整頓・清掃・清潔・躾」というサ行(S)で始まる5つの活動が基本となっている。

目標

上位目標

質の高いPHCサービスの拡大により、対象州における母子の疾病・死亡率が削減される。

プロジェクト目標

各対象州で質の高いPHCサービスが提供される。

成果

1.ローカリティ(注4)と保健行政地区マネジメントチーム(Health Area Management Team: HAMT)の、PHCサービスに関する計画・支援・評価に係る能力が向上する。(ゲジラ州)
2.質の高いPHCサービスを提供できる保健従事者の数が増加する。(ゲジラ州・カッサラ州)
3.自発的に地域保健活動を実施できるようになるコミュニティの数が増加する。(ゲジラ州・カッサラ州)
4.5S手法の導入により、保健医療サービスの質の改善と院内の資源管理が強化される。(ゲジラ州・カッサラ州・ハルツーム州)
5.インパクト評価が適切な時期に実施される。(ゲジラ州)

(注4)州の下に位置する行政単位を指す。

活動

【成果1に関連】

1-1 (ローカリティおよびHAMTが)現行のローカリティおよびHAMTの保健計画のレビューを行う
1-2 (ローカリティおよびHAMTが)利用可能なリソースと人材を考慮してローカリティおよびHAMTの保健計画の修正を行う
1-3 (州およびローカリティが)修正後の保健計画の実施を支援する
1-4 (州およびローカリティが)ローカリティおよびHAMTが作成した(使用している)報告システムをレビューする
1-5 (州およびローカリティが)報告フォーマットおよび報告システムの改訂を行う
1-6 (州、ローカリティおよびHAMTが)保健スタッフを毎月訪問し、改訂版報告フォーマットに基づくデータ収集および指導を行う
1-7 (州、ローカリティおよびHAMTが)ローカリティおよびHAMTにおけるデータ分析能力を強化する
1-8 (州、ローカリティおよびHAMTが)データ分析に基づく対策を講じる

【成果2に関連】

2-1 (専門技術継続開発センター(Continuous Professional Development Center:CPDC)およびリプロダクティブヘルス課が)CMWに対する現任研修を実施し、必要に応じて助産師キットを提供する(南ゲジラ、東ゲジラ、マナーギル、ワドエルヘレウ、ギルバその他のローカリティの900人を対象)
2-2 (州およびローカリティが)月例会議を通じてCMWに対するサポーティブスーパービジョンを実施する
2-3 (CPDCおよびリプロダクティブヘルス課が)東ゲジラおよびマナーギルローカリティの対象病院(1ローカリティにつき2病院)において村落病院パッケージ(注5)に関するトレーニングを実施し、国の基準に基づいた機材の供与を受ける
2-4 (CPDCおよびリプロダクティブヘルス課が)東ゲジラローカリティおよびマナーギルローカリティの対象ヘルスセンター(1ローカリティにつき約5施設)においてコミュニティ保健ワーカー(Community Health Worker:CHW)に対するCMAM(注6)トレーニングを実施し、CMAMのサービスのために必要な機材を供与する

【成果3に関連】

3-1 コミュニティ保健委員会(Community Health Committee:CHC)が新設される、もしくは既存の組織が強化される
3-2 (CHCおよびCMWが)コミュニティ保健活動の計画・運営を行う(例:コミュニティにおける緊急搬送システム)
3-3 (州保健省、リプロダクティブヘルス課、栄養課、ヘルスプロモーション課が)母子保健、母子栄養改善、衛生改善のための教材(フリップチャート等)を作成し、CMW、CHWおよび学校の教員に対して使い方を指導する
3-4 (ローカリティ、HAMTおよびCHWが)対象となるローカリティにおいて母子保健、母子栄養改善、衛生改善の活動を実施する
3-5 (教員が)対象となる学校において母子保健、母子栄養改善、衛生改善の活動を実施する

【成果4に関連】

4-1 (連邦保健省と州保健省の治療医学部が)オンドルマン産科病院を5S手法のモデルとして強化する
4-2 (州保健省の治療医学部が)(対象地域公立病院の)院長および行政幹部(州保健省およびローカリティの幹部)を対象とするワークショップを開催する
4-3 (病院が)ウンバダ、東ゲジラ、マナーギル、ワドエルヘレウ、ギルバローカリティの対象病院において質の改善チーム(Quality Improvement Team:QIT)および業務改善チーム(Work Improvement Team:WIT)を設置する
4-4 (連邦保健省と州保健省の治療医学部が)講師のための研修(Training of Trainers:TOT)を実施する
4-5 (州とローカリティが)各病院のパイロットエリア職員に対する5S手法研修を支援する
4-6 (州とローカリティが)モニタリング、運営指導のための定期的な訪問を行う(好事例には、賞の授与も検討する)

【成果5に関連】

5-1 ベースライン調査を実施する
5-2 エンドライン調査を実施する
5-3 プロジェクトの成果(インパクト評価)のとりまとめを行う

(注5)緊急産科・新生児ケア、出産ケア、緊急トリアージ、重篤な栄養不良に対する治療を統合したパッケージを指す。
(注6)地域を基盤とした急性栄養不良管理(Community-based Management of Acute Malnutrition:CMAM)

投入

日本側投入

・専門家派遣:チーフアドバイザー、業務調整/研修管理、質管理(5S手法)、ヘルスプロモーション/行動変容のためのコミュニケーション、インパクト評価、等
・本邦研修
・機材供与:必須PHCサービス提供のために必要となる資機材

相手国側投入

カウンターパートの配置(連邦保健省PHC局母子保健課課長(プロジェクトマネージャー)、ゲジラ州・カッサラ州・ハルツーム州保健省PHC課長・リプロダクティブヘルス課長)、プロジェクトのための執務スペースの確保、ローカルコスト負担(カウンターパート人件費、オフィス恒常経費等)