プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)フロントライン母子保健強化プロジェクト

対象国名

スーダン

署名日(実施合意)

2008年4月9日

協力期間

2008年6月10日から2011年6月9日

相手国機関名

(和)保健省リプロダクティブ・ヘルス局

背景

  1. スーダン国は、1983年以降、政府と反政府勢力であるスーダン人民解放戦線(SPLM)の間で長い内戦が続いたが、2005年1月に南北包括和平合意(CPA)が成立し、復興に向けた取り組みが開始された。北部スーダン地域の大半は、内戦において直接の戦火は免れたものの、その保健水準は低く、特に母子保健指標については、2007年で妊産婦死亡率590/10万、乳児死亡率62/1,000、5歳以下死亡率90/1,000と低い水準に留まっている。
  2. FMOHは、”Health Sector Strategy 2007-11”において母子保健改善を最優先課題として位置づけ、2005年には”Sudan National Reproductive Health Policy”を策定して、保健システム強化と併せた母子保健サービス提供強化のための施策を実施しているが、妊産婦ケアにおける「3つの遅れ」に起因する問題をはじめ、特に地方部の母子保健状況は依然劣悪な状況にある。
  3. かかる認識を踏まえ、2006年に、北部スーダンを管轄するスーダン連邦政府は 、地域の妊産婦救急医療を主にハード面から強化する案件として本件を要請したが、2007年9月にJICAが実施した予備調査及び12月に実施した事前評価調査において、コミュニティ住民が保健サービスにアクセスできていない(保健システムの枠外に取り残されている)状況がボトルネックとして確認された。その上で、同国で活動する19,000人のVMWsが、コミュニティと保健システムとのつなぎ役として機能し得る現状唯一のヘルスワーカーであること、その一方、VMW向けの研修体制や施設・機材整備は、政府とドナーにより一部行われているが散発的であり、FMOHとSMOHによるスーパービジョン体制の脆弱さも含め、システムとして機能するには至っていないこと、また、州同士、VMWs同士、更には立場を超えたアクター同士の恒常的なコミュニケーションメカニズムがなく、各者の問題意識や経験が共有されにくい構造にあることが問題点として確認された。
  4. 政府は、VMWsの活動を妊産婦ケアに限定せず、PHCの一部サービスを含めた地域での母子保健向上の担い手として育成・再教育する方針を有していることも確認されたことから、本プロジェクトではこの政府の方針に沿う形で、VMWsの能力強化とこれを支える行政・制度等保健システムの強化を支援する方向性を合意した。

目標

上位目標

パイロット州の母子の死亡率が減少する。

プロジェクト目標

パイロット州において、PHCの担い手として強化・組織化されたVMWを通じて、継続的な母子保健サービスが提供される。

成果

  1. 母子保健サービス提供のためのFMOHとSMOHの行政能力とVMWに関する制度が強化される。
  2. パイロット州において、強化・組織化されたVMWを通じて母子保健サービスが提供される。
  3. 母子保健に関する州間及び開発パートナー等関係機関との間のネットワークが強化される。

活動

1-1
FMOHとSMOHは、PHC強化の観点を踏まえたVMWsの再教育(in-service)制度の整備と、基礎教育(pre-service)制度のレビューと見直しを行う。
1-2
FMOHとSMOHは、養成学校と連携してVMWsのモニタリング・評価メカニズムのレビューと見直しを行う。
1-3
FMOHとSMOHは、VMWs活動に関する諸制度(採用計画、研修・資格の認証、給与支給等待遇改善)のレビューと、見直しのためのリソース調達を行う。
1-4
以上の活動を踏まえ、FMOHは開発パートナーを含む”Technical Working Group”と協調の上、VMW活動に関する政策・ガイドラインをPHC強化の観点からレビューし、見直す。
1-5
FMOHは、VMWs活動強化のために、VMW活動に関する政策・ガイドラインに沿ったSMOHへのスーパービジョンの体制を整備する。
2-1
SMOHは、VMWsの配置図作成及び現有能力のアセスメントを実施し、ベースライン情報として活用する。
2-2
SMOHは、FMOHの支援を受け、PHC強化の観点を踏まえた新たなVMWの再教育を導入する。
2-3
FMOHとSMOHは、地域の実情を踏まえたVMWsの基礎教育を継続して実施する。
2-4
パイロット州内の住民に対し、VMWsを通じた母子保健に係る啓発活動を行う。
2-5
SMOH、特にHealth Visitors(HVs)とAssistant Health Visitors(AHVs)は、継続的なスーパーバイズを通じて、VMWsの能力開発を支援する。
2-6
SMOHは、VMWs間の経験共有とネットワーク形成のための定期会合を開催する。
3-1
SMOHは、地域展開に向けて、州内で実施したVMWsの活動強化の成果をFMOHと開発パートナーに提示する。
3-2
FMOHは、現場の母子保健課題を協議するため、開発パートナー等関係機関を集めた会議を、年2回開催する。
3-3
FMOHは、パイロット州での取り組みと、各州間の母子保健活動の共有のため、州同士の定期的なサイト訪問を企画・実施する。
3-4
FMOHは、プロジェクトで作成した政策・ガイドラインを認定し、各州及び開発パートナーに配布する。

投入

日本側投入

  1. 専門家派遣
    総括、副総括/母子保健、研修計画/業務調整、IEC/BCC、コミュニティ開発
  2. 日本又は第三国での技術研修
  3. 人材の基礎教育、再教育及び施設改修に係る費用の一部
  4. その他プロジェクト運営に必要な経常費用の一部

相手国側投入

  1. カウンターパート、事務管理要員の配置
  2. 連邦保健省と州保健省内での専門家/プロジェクトオフィスの提供
  3. パイロット州での専門家宿舎の手配(費用はJICAが負担)
  4. プロジェクトの運営に必要な経常費用
  5. 人材の育成、再教育及び施設改修に係る費用
  6. VMWsの活動に必要な機材