プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ダルフール及び暫定統治三地域人材育成プロジェクト

対象国名

スーダン

署名日(実施合意)

2009年2月1日

協力期間

2009年6月1日から2012年5月30日

相手国機関名

(和)連邦統治省

背景

スーダンのダルフール地方では、2003年、スーダン政府と反政府勢力との間の紛争が激化。2006年にダルフール和平合意(DPA)が締結されたものの、同合意に署名したのは反政府勢力の一部のみであり、現在に至るまで紛争は終結していない。富や権力の分配をうたっている前述の和平合意についても、ほぼ履行されていない状況である。

6年に亘る紛争により、これまでに200万人から300万人の国内避難民および難民が発生している。スーダン世帯調査(SHHS、2006)によると、妊産婦死亡率はダルフール3州平均で10万対994(北部平均:590)、乳児死亡率は1千対89(北部平均:62)である。また、安全な水へのアクセス率は3州平均で44%(北部平均:58.7%)、就学率はダルフール全体で23%であり、北部の他地域に比してかなり劣る状況となっている。職業訓練においては3州で技能学校が9校あるほか、職業訓練センターが南ダルフール州に1校あるが、訓練機材の不足や既存施設の老朽化が目立ち、質の悪い訓練しか行われていない。このように、6年にわたる紛争で、給水や保健医療、職業訓練分野を含む基礎的な社会サービスへのアクセスが紛争前以上に悪化しており、2008年3月にJICAアフリカ部により実施された現況調査においても、ダルフール住民の生活維持・改善のためにはこれら3分野への支援優先度が高いことが確認された。

ダルフール地方は、北・南・西ダルフール州を含む3つの州政府(State)、49の地方(Locality)から構成される。ダルフールの紛争の主要要因として、低開発およびこれを放置してきた政府があげられるが、その背景には予算や人材等を含むリソースの配分の問題があげられる。実際、州政府と連邦政府のライン省庁と間の調整は充分は機能しておらず、連邦政府関係機関はダルフールの現状や具体的なニーズ等を充分把握できていない状況である。ダルフールを含む地方との調整や地方の人材育成計画・調整をマンデートとしている連邦統治省についても、同様の状況である。この結果、予算・人材等を含むリソースの配置及び配分は、現場のニーズが充分反映されていない状況である。行政サービスの向上のためには、(1)開発業務にかかる一連のシステムを強化及び段階的に改善していくこと、さらには(2)サービスを提供する現場の人材育成が必要とされている。また、紛争の背景にある、低開発及び政府に対する不信の緩和にあたって、行政サービスの向上は第一歩となり得る。

一方、スーダンの北部と南部の境界に位置する青ナイル州、南コルドファン州及びアビエイ地区は暫定統治3地域とよばれ、2005年のCPA合意後、南北の政府により合同で暫定統治がなされている。これら地域の安定化は南北間の和平推進に非常に重要であるが、内戦の影響で社会サービスにも深刻な影響が出ている。また、同地域では除隊兵士の社会復帰プログラムが実施されているが、武装解除された元兵士に社会復帰を施すための職業訓練施設が十分に整備されていない。2009年11月に行った青ナイル州、南コルドファン州での現地調査においては、水分野、母子保健分野ならびに除隊兵士も含む職業訓練のニーズが確認された。

以上を踏まえ、本プロジェクトにおいては、連邦統治省をカウンターパートとしつつ、事業実施主体は州の関係機関として、パイロット事業の実施ならびに研修を通じて、(1)関係機関のモニタリングや予算等のリソース配分に関する調整機能の強化、(2)給水・保健医療・職業訓練分野における技術者の研修(人材育成)の2つのアプローチにより、サービス提供機関の実施能力を強化することを目的とする。

目標

上位目標

ダルフール3州及び暫定統治地域2州の給水、保健医療、技術・職業訓練分野における行政サービスへのアクセスが改善される。

プロジェクト目標

ダルフール3州及び暫定統治地域2州の給水、保健医療、技術・職業訓練分野において、関係機関のサービスデリバリーの能力が向上する。

成果

  1. パイロット活動の管理及び研修を通じて、州政府の調整能力が強化される。
  2. パイロット活動の実施及び研修を通じて、給水、保健医療、技術・職業訓練分野の人材が育成される。

活動

1-1.
州地方自治省、州財務省に対し、プロジェクト運営管理・モニタリング研修を実施する。
1-2.
州地方自治省、州財務省との協同で、パイロット活動に応じたガイドラインおよびモニタリングシート(研修応募書類、研修生スクリーニング、活動報告書フォーマット等)を立案する。
1-3.
基礎サービスの調整・モニタリングに適した機材(コンピューター等)を整備する。
1-4.
州地方自治省、州財務省との協同で活動の調整ならびにパイロット活動の実施に必要なサポートを実施する。
1-5.
州地方自治省、州財務省が各分野におけるパイロット活動のフィールドモニタリングを行う。
2-1.
給水、保健医療、技術・職業訓練分野のサービスプロバイダー(州水公社、保健医療機関、技術・職業訓練校)に対し、技術研修を実施する。
2-2.
給水、保健医療、技術・職業訓練分野のパイロット事業(井戸の修復、病院の運営管理、技術学校車両・電気・機械訓練コースの運営)に必要とされる機材を整備する。
2-3.
各実施機関(州水公社、保健医療機関、技術・職業訓練校)がパイロット事業(給水:井戸の修復、妊産婦医療:助産師教育/TQM・5S手法による業務改善、技術・職業訓練:技術学校の電気・機械・車両の訓練コースの訓練改善)を実施する。
2-4.
州公共施設省、州教育省、州保健省、連邦政府関係機関がモニタリングを行う。

投入

日本側投入

  • 専門家派遣:
    • 能力強化計画策定・実施・モニタリング(計30M/M)
    • 暫定統治三地域 計画策定・実施・モニタリング・調達(計7.1M/M)
    • 井戸改修・研修計画(計0.8M/M)
    • 井戸データ収集・分析(計1.3M/M)
    • 井戸改修機材調達・積算(計1.3M/M)
    • 井戸管理用機材等調達支援(計3.1M/M)
    • TQM/5S(計6.4M/M)
    • 職業訓練人材育成・研修計画(1.3M/M)
    • 職業訓練情報収集・分析(2.4M/M)
  • 研修:
    • 本邦研修:プロジェクト運営管理・モニタリング
    • 第3国研修:技術・職業訓練運営管理、TQM・5S手法による妊産婦医療業務改善、地方給水
    • 現地国内研修:プロジェクト運営管理・モニタリング、予算管理、報告書作成・分析、井戸維持管理、電気・機械・車両の技術訓練および学校運営管理、助産師技術支援、保健医療業務改善
  • 機材供与:
    井戸維持機材、電気・機械・車両コース向けの資機材、助産師支援機材、事務所備品等(約2.2億円程度)

相手国側投入

  • カウンターパートの配置
  • 連邦統治省内の専門家活動スペース
  • パイロット事業の運営コスト
  • 訓練実施経費
  • 供与機材の設置・維持・管理
  • カウンターパート給与、免税措置、その他ローカルコスト