デモンストレーション圃場設置に向けた活動

2009年8月26日

「節水灌漑農業普及計画プロジェクト(フェーズ2)」では、近代的節水灌漑技術を実際に運用し、周辺農家への普及を行うデモンストレーション圃場(Demonstration Fields)の設置に向けた活動を進めているところです。フェーズ2では対象県や設置目的に応じて、「デモ圃場(Demo farm)」、「デモ試験圃場(Demo-Experiment Plot)」、「サテライトプロット(Satellite plot)」の3タイプのデモンストレーション圃場を計画しています。

デモ圃場(Demo farm)
シリア北部のアレッポ県、ラッカ県を対象として、スプリンクラーやドリップチューブといった近代的小規模圧力灌漑システムの実証展示を目的としたデモ圃場を、実際に農家が栽培している圃場に設置します。また、この地域では灌漑近代化がまだまだ遅れており、地表灌漑が主流であるため、節水効果が期待される近代的地表灌漑機材の実証展示も計画しています。さらに、これらの灌漑機材が栽培作物、灌漑ブロックに応じて、使い分け可能となるようなパイプラインネットワークも計画しています。

デモ試験圃場(Demo-Experiment Plot)
近代的地表灌漑技術は、まだ本格的に確立、普及する段階ではなく、開発・実証の余地があります。そのため、本プロジェクトでは、アレッポ県、ラッカ県の灌漑試験場(GCSAR、ANRR)に近代的地表灌漑用のデモ試験圃場の設置を計画しています。また、灌漑試験場は訪問農家に対する展示や、灌漑普及員研修の実習にも利用されることから、スプリンクラーやミニスプリンクラー、ドリップチューブなどの近代的小規模圧力灌漑システムを展示する圃場も併設する計画です。

サテライトプロット(Satellite Plot)
フェーズ1から対象としている3県(ハマ県、ダマスカス郊外県、ダラ県)では、農業農地改革省の近代的灌漑推進局(DMIC)による個別農家向けの小規模ローン事業の推進も加わり、スプリンクラーやドリップチューブの普及が進みつつあります。そして、次の段階として、確実に節水に結びつく水管理技術の普及、定着が求められています。そのため、DMICローン事業によってスプリンクラーやドリップチューブを導入した農家からサテライトプロットと称するモデル圃場を選定し、節水灌漑技術普及のフィールドとして活用することを計画しています。

2009年4月以降、各タイプのデモンストレーション圃場について、目的に適う選定基準を定め、県のカウンターパートが中心となり、それぞれ数ヶ所の候補農家の選抜を実施してきました。
その後、選抜された候補圃場を、中央のカウンターパートと日本人専門家が一緒に訪問・視察し、評価基準(圃場規模、営農形態、灌漑システム、節水意欲等々)に基づき、デモンストレーション圃場の絞り込みを行いました。

そして、選定された圃場について、さらに詳細な調査(圃場の形状、水源の能力、栽培計画、灌漑システムの運営状況など)が実施されました。カウンターパート機関のひとつであるDMICのダマスカス郊外県支所では、アルネ村のサテライトプロット調査のために専門の委員会を作り、現地調査(既存灌漑施設、果樹の本数、圃場標高)にあたっています。

プロジェクトは、こうした活動を通じて得られた情報に基づき、各デモンストレーション圃場において、設立・運用目的に適う近代的灌漑システム整備計画を策定したところです。今後は、この整備計画に基づき、必要な灌漑機材の調達を行うことになります。

写真写真:カウンターパート、専門家、農業普及所の職員が一緒に、デモ圃場の候補地を視察し、農家に圃場規模、営農形態、灌漑システム等についてインタビューを行っているところ。

写真写真:ハマ県に設置されるサテライトプロットサイトにて、カウンターパート(GCSAR)が農家と県農業局の職員から灌漑施設や栽培計画について情報を集めているところ。

写真写真:ラッカ県に設置されるデモ圃場にて、カウンターパート(左:GCSAR)が揚水ポンプの能力を確認するため、ポータブル流量計(プロジェクト機材)にて流量を計測しているところ。中央は農業普及所の所長、右はデモ圃場農家