プロジェクト活動を開始し、目標達成へ向けて関係者間で足並みを揃えました。

2017年9月1日

タジキスタン南部に位置するハトロン州は、1990年代の内戦の影響により、医療従事者の流出や医療施設インフラの悪化等医療サービス提供の能力の低下が深刻化し、5歳児未満死亡率、乳児死亡率が、同国において最も高い地域となっています。医療従事者の能力の欠如や研修の機会の不足を初め、旧ソビエト連邦時代に整備された医療機器・施設の老朽化、給水や給電というインフラの問題、住民側の知識の不足等が同国母子保健ケアで目標としている乳児・妊産婦死亡率の低下を妨げています。同地域では2012年から2016年まで「母子保健システム改善プロジェクト(フェーズ1)」が実施されましたが、そのなかで得た成果を活用しながら、上記のような残された課題に対応するため、2017年8月よりプロジェクトのフェーズ2が開始されました。

本プロジェクトでは、医療機材の維持管理やリスクの高い妊産婦や低出生体重児への医療サービスに関する成果を拡大しつつ、医療施設間の患者搬送システムの強化や母子保健にかかる医療サービスの質確保のための州・県の行政能力の強化に取り組みます。

2017年8月、プロジェクトの活動開始にあたり、保健省 第一副大臣、母子保健局長、ハトロン州保健局長、対象県の県病院長など、プロジェクト関係者を訪問し、プロジェクトの活動計画とスケジュールについて情報共有を行いました。日本人専門家との協議を通じて、それぞれの関係者が、プロジェクト活動における自分たちの役割について認識し、協力を強く約束してくれました。

今後は、プロジェクト事務所を設置し、対象地域の施設設備・機材から分娩・産前健診記録の有無やその質などのプロジェクトに関連する諸々の現状を把握するため、ベースライン調査を日本人の専門医とともに実施していく予定です。

文責:杉野 吉治

【画像】

保健社会保護省第一副大臣との面談