中央病院にて夜勤帯の観察を実施

2018年7月9日

レバカンド市及びクショニヨン郡中央病院にて、プロジェクトの専門家(新生児ケア)とコンサルタントによる夜勤帯の観察を実施しました。

2018年4月8日、9日の2日間で、レバカンド市中央病院及びクショニヨン郡中央病院の夜勤時間帯(午後7時ごろから翌朝9時ごろまで)の様子を観察しました。観察実施日には、レバカンドで4件、クショニヨンで1件の分娩が観察でき、うちレバカンドの1件は、吸引分娩(注1)を実施し、出産に至りました。

今回、夜勤時間帯現場を実際に見ることで初めてわかったことがいくつかありました。

・5件の分娩全てで、常に産科医か助産師が妊婦さんに付き添い、何か起こった場合にすぐに対応できる体制を取っていました。
・スタッフは、分娩の際に妊婦さんが希望する立会人を同席させるなど、妊婦さんにとって快適な環境を可能な限り提供するよう配慮していました。
・クショニヨン郡中央病院では、陣痛が始まった妊婦さんが来院する場面にちょうど遭遇しました。妊婦さんがその際持参していたものは、産前健診を受けた保健所からの紹介状と、産前健診の記録が記載された母子手帳でした。

また、この2日間の観察により、プロジェクト活動のヒントとなりうることとして、次の点が考えられます。

1.治療を行う際の、医療スタッフの意思決定のタイミング。
例えば、レバカンド市中央病院では、遷延分娩(注2)に対する帝王切開の実施決定が遅れ、結果的に吸引分娩をすることになりました。医療現場では、判断が難しい状況がとても多いですが、安全にお産をするためにも、意思決定をする訓練が医療スタッフに必要だと思いました。

2.医療機器の日常的な動作チェック。
同じ遷延分娩の例ですが、赤ちゃんに対して酸素吸入が必要になりました。しかしいざ使用しようとした時に、機器が作動しませんでした。このことからも日常的に現場で簡単な点検を行うことの重要性を改めて考えました。

3.患者さんを観察する環境。
夜間の観察でしたので、部屋は総じて暗く、生まれてきた赤ちゃんの状態がはっきりと確認し辛い環境でした。そのため、もう少し明るいところで状態を観察したほうがよいのではないかと思いました。また、赤ちゃんは生まれてすぐお包みに包まれてしまっており、赤ちゃんの状態が観察しにくくなっていました。

新生児ケアの専門家、山崎医師による臨場感あふれる夜勤帯観察記録を、資料集(以下にリンク)に添付します。

(注1)胎児頭部に吸引カップを、陰圧をかけることにより吸着させ,カップの柄を牽引することにより胎児を娩出させる手法です。

(注2)初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかっても生まれないことをいいます。

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病院訪問時の様子

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妊婦の脈拍測定の様子